第61話 ナデシコ城へ行きます
さて、私たちは人っ子一人いなくなったナデシコの町を中心部にある城を目指して歩いています。
「まさか、あのスティーリア姫と全面対決なんてな…。」
ヴァーテルがそうぼやきました。
「まぁ牡丹の性格からして、断るのは目に見えてたけどね…。」
「そうそう! アウラもそう思ってる!」
私は、彼女の…スティーリアの話を断りました…
旧王国の復活…この考え方はともかく、やり方がなんというか嫌いでした…
全体を冬にして役人がまともに調査に来ないことを確認した後に、旧王国領と外部の連絡をシャットアウトして、その間に独立のための準備を進める…このやり方には、どうしても賛成できません…
「まぁ牡丹が話を受けたら全力で止めるから結果は同じなのかもな…それは置いといてどうやって戦うんだ?」
「私は物騒なこと嫌いだから、平和的に交渉で行きましょう…たとえ難しくも私たちが力づくで対処したら、手段を択ばない相手と同じになっちゃうし…。」
今のは自分でもいいことを言ったような気がします。
そんなことを考えている間にもナデシコ城が近くに見えてきました。
ナデシコ城の城門の前…立派な門を衛兵さん達が守っていました。
「まずは、どうやって中に入るかだな…。」
「すいませーん! 中に入れてくれませんか!」
ヴァーテルが侵入方法を考え始めた横から、竜也が衛兵に話しかけました。
「怪しいやつ! 何者だ!」
あーまったく竜也ったら…もう少し考えてから行動してほしいものです…何でこういう重要な場面で、何も考えずに行動してしまうのでしょうか?
そんなことを考えている間にも衛兵が集まり始めてしまいました。
「こうなったら正面突破で行くわよ! 『水魔術 水流弾』」
竜也が、余分なことをしなければ、こっそりと侵入したりと他に手があった気がしますが、今となっては後の祭りです。
私は、襲い掛かってきた兵士に向けて、水流弾を飛ばしました。
「平和的な交渉はどこ行った!」
「この状況で、どうやって交渉するのよ!『火魔術 火炎弾』」
私は、騒ぎを聞きつけて集まってきた男たちを魔法でなぎ倒して城内を本丸へ向けて進んでいきました。
ナデシコ城は、見た目通り中も純和風と言った感じで日本庭園があって、茶の間があって…見た目の割には、かなり広いように感じます…おそらくこれに関しても魔法でどうこうしているのでしょう…
「あーあ…これじゃどっちが悪役かわかったもんじゃないよ…。」
「言えてるかもしれんな…だが、魔王の城を攻めるために敵をなぎ倒していく勇者にも見えるな…。」
「勇者か…言われてみればそうかもしれないけど…。」
牡丹が敵を倒していくのを見ながら、二人はそんな会話をしていました。
「ひるむな! 相手は女1人だ!」
「おー!」
あれ? もしかしたら私以外は、敵として見られていないようです…一体、私とヴァーテルたちとで、どのような違いがあるというのでしょうか?
「まぁいいわ! 『水魔術 水流弾』」
「これ以上好き勝手させるわけにはいきませんね…。」
私が放った水流弾は、本丸から出てきた白髪交じりの初老とみられる男性の手によって止められました。
「あなたは?」
「私ですか…私は、王国復興委員会常務委員のヒスイと申します…以後お見知りおきを…。」
そう言ってヒスイと名乗った男は、頭を下げました。
「王国復興委員会の常務委員って言うことはあなたは、幹部なのね?」
「えぇ…付け加えるとするならば、王国復興委員会には、私を含めて4人の常務委員が所属していて、そこに副委員長と委員長であらせられるスティーリア様を加えた6人で構成されております。それはさておき、私は寛大ですから今帰っていただけるのならこの件は不問にいたしましょう…3分間ほど待ちますので、皆さまで結論を出してください…。」
ヒスイは、横にいた兵士が用意した椅子に腰かけて空を見上げています。
「そうそう…私が3分間待つと言えば、その間はこの椅子から動かないのでどうぞお好きに…。」
私たちの方を見てそう言ったかと思うと再び彼は空を見上げました。
空に何かあるのかと気になったが、彼が待っている間に横を通り過ぎて城内に入って行きました。
「おやおや…そちらの道を選びますか…。」
そんな声が後ろから聞こえてきました。
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