第60話 空の正体が明らかになりました
さて、私たちは今、薄暗いトンネルの中を歩いています。
「しかし、トンネルを抜けたら雪景色じゃなくて町だもんな…。」
「逆ならあるんじゃないの? 残念ながら、このあたりは山のどちら側も雪は積もらないみたいだけど…。」
竜也があからさまに残念そうな顔をしていますが、トンネルを超えたとたんに雪景色なるというのは、あまりないので、そんな簡単に見れる場面ではないと思います。
トンネルの中は、音が反響するせいなのか、竜也のため息が遠くの方まで響いている気がしました…
「なぜ、トンネルの外に出たときの天気を気にしているかわからんが、もうすぐナデシコだ…向こうに着いたらとりあえず宿を探すぞ…。」
「港町出たときには、もう昼過ぎだったもんね…。」
「そう言う事だ…。」
そんな会話をしているうちにも私たちは、トンネルを抜けてナデシコの町に到着しました。
ですが、前来た時と明らかに様子が違います…
以前、多くの人が往来していた道にも人はまばらで、閑散としていました。
「どうなってるんだ?」
「さぁ…。」
これまでの町は、紫の遮断壁が見えていただけでそこまで大きな変化がなかったように見えましたが、ここ違います…海から遠い分紫の遮断壁は見えませんが、人がいないというのは明らかに異常です。
「…単純ですよ…我々がそう仕向けたのですから…。」
「誰!?」
誰もいないはずの後ろから声がしましたが、振り向いても誰もいません…
「話は簡単です…あなたに…北上牡丹に私たちの味方になってほしい…。」
先ほど向いていた方から声が聞こえたので、そちらを向き直ると…
「空…空なの?」
「あなたには、そう名乗っていましたね…改めて自己紹介させていただきましょうか…私の名はスティーリア…ナデシコを中心とする旧王国領北部を治めているナデシコ城の城主であるとともに、王国復興委員会の委員長も務めさせていただいております…。」
王国復興委員会? まさか…その名前の通りだとすれば…
「そのまさかですよ…私たち王国復興委員会は、失われた王国の復活及び独立を目指して活動しています…季節の事も紫の遮断壁の事も同様に私たちが仕組んだものです…。」
空…いや…スティーリアは、私が疑問を口に出す前に答えを出しました。
「あら? どうしてって顔ね…実は、心身魔術の心の診察を使って、先ほどからあなた方の思考を見させてもらってるの…だから、口に出して会話しましょう?」
どうやら相手は、ランクSSSの神話級魔法を使う上に上級魔法である心身魔術を唱和破棄できるようです…
しかし、私に味方になれと言うのはどういうことなのでしょうか?
「口で会話しようって、提案しませんでしたか? それはともかく、あなたはお気づきではないかもしれませんが、あなたはこちら側に着く十分な根拠も実力もあるはずですね…最後の国王である北上亮様の御親戚で魔法属性はランクSSの時空魔術…しかも、時空魔術はあなたのために造られたものだと聞き及んでいます…これだけでは足りませんか?」
「何で…何でそこまで知ってるの?」
「当然です…私と初めて会った時のことをお忘れですか?」
最初に会ったとき…そう言えば…『探査魔術 記憶探査』『探査魔術 属性調査』『創造魔術 私の世界』…あの時、彼女が使っていた魔法はこれだけだったような…
「実際問題、その三つは口に出していたというだけで、実際はもっと違う魔法を使わせていただきました…まぁそれについてごちゃごちゃと語る気はありません…そろそろお答えをいただきましょうか…。」
そう言う事か…探査魔術の記憶探査…これを使われたとすれば、私が過去に行ったこともそこでの出来事もすべて知ることができてもおかしくありません…
「…私は…私の答えは…。」
私は、スティーリアに自らの答えを告げました。
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