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ひだまりの国  作者: 白波
第7章 紫の壁
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第59話 百々からの伝言があるようです

 ナデシコの隣町にあたるあの港町…これで訪れるのは…えっと3度目だったはず…

 今回はゆっくりしている暇はないので、先に行こうと思ったのですが、そこである変化に気づきました。


「流氷が…ない…。」

「確かに、最初に来た時もその次の時も決まって浮いていたからな…いくら紫の遮断壁(パープルバリア)を使っていても、自然の産物である流氷を阻めるはずがない…。」

「でも、季節を冬にしていた人間と紫の遮断壁(パープルバリア)を使った人間が同じだとすると、これほどの範囲で、これほどの魔法を同時に使うことができないんじゃないのかな?」


 竜也の言う通りなのかもしれません…

 今、考えれ見れば、この状態を作り出すための下準備なのかもしれませんが、しかし、ここで一つの疑問が生じます…なぜ、季節を冬のままにしておく必要があったのでしょうか?


「なぜ、季節を冬のままになんて、お思いでありませんこと?」

「そうなんだよね…なんで季節が…って、えっ!」


 私が振り向くと、そこには腰ぐらいまである黒髪で、頭のあたりにピンクのカチューシャをつけている少女…雪草(ゆきぐさ)蓮華が立っていました。


「蓮華!?」

「お久しぶりです…牡丹さん…。」


 ものすごくベタなお嬢様口調が特徴の彼女は、北上家の分家の一つ雪草家の次期党首で、竜也の幼馴染と言ったところでしょうか…


「こっちこそ久しぶり! 元気してた?」

「あら…百々から聞いておりましたが、ずいぶんと明るくなりましたわね…忘れるところでしたが、百々から言伝を頼まれていますので、お伝えいたしますわ…。」


 そう言うと蓮華は、ポケットからメモ帳を取り出しました。


「えっと…牡丹…牡丹がこの話を聞いているときには、私は、旧国境を越えて遠くにいることだろう…できれば、直接言いたかったが、言葉を覚えていてほしい…以前私は、別れの言葉なんかいらないと言っていた…まぁそれは今も変わらないんだが、どうやら牡丹は意味を取り違えていたのではないかと言う事に気づいた…だから、改めて言わせてもらう…「さよなら」なんて言葉はいらない…「また会おう!」…だそうですわ…百々は、この壁が出現する前に、旧王国領を出て遠くの方に旅立っていきましたわ…急に決まったことらしくて、あなたにまともに別れが言えないからっと言う事で言伝を頼まれましたの…。」


 偶然と言うものは、ものすごいものです…おそらく、旧国境を越えて旅立つ百々と彼女を探していた蓮華が偶然出会ったのでしょう…2人は、仲が悪かったように記憶していますが、言伝を頼むなら蓮華しかいない…そんな考えから、私へのメッセージを託したのだと思います…


「そうなんだ…百々は、この騒動には巻き込まれていないってことだよね…。」

「まぁ私といたしましては、あの子はトラブルの渦中にいるイメージが強いので、違和感がありますわ…。」


 口でこそそんなことを言っているものの、蓮華は安堵の表情を浮かべていました。


「さてと…ナデシコまであと少し…頑張ろうか!」

「そうだな…あと半日も歩けばナデシコだ…急ぐぞ。」


 そう言ってヴァーテルが歩き始めました。

 そのすぐ後を、私たちは追いかけて行きました。


「皆様! 私は急ぎの用事があるので、反対方面に向かいますわ! ごきげんよう!」


 追いかけ始めた矢先、蓮華はUターンして西へ向かいました。


「相変わらず見たいね…。」

「まぁあれの方が蓮華らしくていいけど…。」

「ほんとお前の周りにはまともな人間はいないのか?」

「ばいばーい!」


 各々そう述べた後、丘の上を通ってラーウス街道を東へ進むのでした…

 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします。

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