第56話 大陸では異変が起きていました
さて、今私たちは、炎竜に乗って、空を飛んでいるといった状況です。
下の方を見ると、青い海に浮かぶ流氷を大きな船が氷を割りながら進んでいるのがみえました。
「うーん気持ちいい風…ちょっと寒いけど…。」
「でしょ~私は、毎日乗ってるんで寒さの方には慣れましたけど、炎竜の体温は高いので、それがなかったら凍死してるぐらいの場所ですからね~」
なんか今、恐ろしげな単語が聞こえた気がしますが、きっと気のせいだと思います…
「ギャー! 落ちる! 落ちる! 怖い! 高い!」
それはともかく、飛び立ってからずっと、竜也がそんな声をあげているといった状況で…
今になって考えてみれば、飛行機に乗った時やヘリに乗った時もこんな調子だった気がします。
「うるさいぞ! それ以上言うようなら振り落すぞ!」
それは、完全に火に油を注ぐだけです。
「ギャーもう嫌だー!」
そんな竜也の断末魔に似たような声と共に炎竜は、大陸方面へと飛んでいくのでした…
氷結の島を飛び立ってから約30分後…私たちはラーウスの町はずれに到着しました。
「中心部の乗りつけるのは目立ちすぎますからね~ここまでですよ~それでは、そろそろ行きますので~」
そう言い残してお姉ちゃんは、炎竜にまたがって飛び去って行きました。
「また、嵐のように去って行ったな…。」
「結局のところ大陸の異変ってなんだろ? 見たところ問題なさそうだけど…。」
「多分、港で何かトラブルが起きたのじゃないかな? とりあえず行ってみればわかると思うけど…。」
そう言いながら竜也が町の方に歩き始めました。
「そうだな…とりあえず港に行ってみるか…。」
「それじゃあ出発!」
ヴァーテルとアウラが歩き出して、私も行こうとしたのですが…
「なんだろ? あれ…。」
ふと、後ろの方を見ると、紫色の光の壁が空高く昇って行くように見えました。
「お姉ちゃん! 早く!」
「ごめん! 今いくから!」
壁の事は気になりましたが、みんなを待たせていたようなので、町の方へ走って行きました。
港へ行くとお姉ちゃんが言っていた異変とやらの正体がすぐにわかりました。
「これは…いったい?」
港の外をかこう形で紫色の光の壁が立っていました。
船が出入りできていないところを見ると、港は使用不能とみて間違いないのでしょう…
「おそらく魔法だろうな…だが、術者は見当たらないしこれほどの魔法を遠隔操作で発動させられるとは思えない…。」
「この紫の壁…さっきも見た気がする…。」
私のそう言うと、ヴァーテル達は私に注目しました。
「見たって…どこで?」
「えっと…炎竜から降りてみんなが歩き出した後、後ろを見たらこの壁があったから…。」
「と言うことは…かなりの広範囲に魔法を発動させているという訳か…だが、術者がその中心にいたとしても、これほどの魔法を使うのは現実的に考えて不可能に近い…なにか、からくりがあると思うんだが…。」
ヴァーテルも竜也もアウラもみなそれぞれ今回の件について考え始めました…
とりあえず動機は置いておいて方法を探ってみることにします…
術者を中心に広範囲に魔法の効果を及ぼす方法…
「魔導球…あれなら可能なんじゃない?」
「でも、魔導球の場合はせいぜい半径50mが限界のはずだから、これほどの範囲となると…。」
「いや…不可能じゃない…。」
竜也の言葉をさえぎってヴァーテルはこう続けました。
「確かに魔導球が単体の場合は竜也の言うとおりだ…だが、それが集まって集合体になったら話は別だ…多少の技術はいるが、魔導球から別の魔導球へと一筆書きの要領で大きな障害に見舞われることなく魔力をつないでいけば、不可能じゃないはずだ…。」
「障害って言うと…どういうこと?」
「魔導球を通した場合、魔力は平たんにしか動かせれない…つまり、山や河川は超えられないんだ…まぁ川の場合は、川の岸に魔導球を設置して向こう岸まで効果範囲ならば、そこからさらに次のものまでつなげることの不可能ではないな…さらに、魔法の効果範囲は、前に通った魔導球の魔法の効果範囲を維持しながら移動するから、かなり厄介だな…。」
ヴァーテルの言う通りだとすれば、今回の事を仕組んだ人物はおそらく山のこちら側にいるのでしょう…
この壁がどれだけの範囲に及んでいるのかは知りませんが、これがただ事じゃないというのは確実なのだと言う事だけがわかっていました…
読んでいただきありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




