第49話 西へ向かうことになりました
過去から戻ってきた次の日…
私たちは、ラーウス街道の起点となっている西の都市ラーウスへ向かうことにしました。
「ラーウスまでどのくらいで着くの?」
「そうだな…大体1週間ぐらいじゃないか?」
このあたりの道は比較的平らで歩きやすいせいか皆足取り軽く西の方へ歩いています。
「ところでラーウスに着いたらどうする気?」
後ろを歩いていた竜也にそう聞かれましたが、私とて明確な答えは思い浮かびません。
旅の目的は、ヴァーテルが昔あった少女を探すというものだった気がしますが、そちらについてはまったくと言っていいほど情報が入ってこないので、何とも言えません…
「そうだな…ラーウスに着いたらしばらく滞在したのち南下して旧王都に行って見たいと思う…ちょうどあっちに会いたい奴もいるしな…。」
前を歩いていたヴァーテルがそう答えました。
旅をしているからなのか知りませんが、やはり、ヴァーテルはあちらこちらに知り合いがいるようです。
「そう言えば牡丹は1週間もどこにいたの?」
言われてみればヴァーテルたちにどこに行っていたのか話していませんでした…
「それなんだけどね…実は、あの遺跡の小部屋でまぶしい光に包まれた後に目が覚めたら…」
私は、歩きながら過去の世界であったことを皆に話しました。
一連の話を聞いたヴァーテルはこう言いました。
「北上亮…どこかで聞いたことあるような気がするな…。」
「えっ?」
ヴァーテルが彼の名前を知っているのは意外でしたが、近代魔術の生みの親として有名なのかもしれません。
「100年以上前って言うとそう言う事じゃないの?」
「確かにな…。」
どうやら竜也にも何かしら思い当たる節があるらしく、首をかしげていました。
「なにか思い当たる節があるの?」
「あぁ…確か、旧王国最後の王の名前がそんな名前だったような…。」
えっ? 亮が旧王国最後の王?
「そんな雰囲気なかったけどな…。」
「そりゃそうでしょ! 北上亮は、今でいう近代魔術を開発してその腕を見込まれて国王になった人だからね…その際に自分が親しかった人間をそばに置いたり、地方を任せたりしたらしいよ。」
竜也の言う通りだとすると亮はあの後、旧王国の国王になったというわけですか…
あれ? そうなると私は王族の親せきと言うことになるのでしょうか?
「まぁ名前をきっちり覚えてるわけじゃないから人違いかもしれないからな…それよりも気になるのはお前があったというフルートだな…。」
「フルートがどうかしたの?」
私が聞くとヴァーテルはため息をつきました。
「どうしたもこうしたもフルートは俺の祖母だ…場所が変わっていないとしたら間違いない…ばあちゃんと国王が仲良かったから俺のじいちゃんが、街道の整備の仕事に携わっていたんだしな…。」
そう言う経緯があったのですか…そうなると、亮が国王になるという話がますます現実味を帯びてきました。
「国王となる男と直接会えるなんてうらやましい限りだよ…。」
「そうだよ! アウラも会いたかった!」
偶然って言うのは恐ろしいですね…そう言えばヒメリはあの後どうなったのでしょうか?
この場で名前が上がらないということは、あのままあそこで暮らしていたと言う事なのでしょうか?
「それにしても、亮が国王だったとは…。」
正確に言えば国王になる人ですが、どんな経緯で彼が国王にまで上り詰めることができたのでしょうか?
ヴァーテルが行っていたような理由なら、本来国王などではなく、国が研究の補助をする。といった方法を取るような気がするからです。
亮に対する疑問が増えつつも私たちは西へ進むのでした。
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