第45話 森というより密林です
さて、今、私は亮とフルートさんに連れられて亮が魔法の研究を行っている場所へ行くことになりました。
「亮…どこまで行く気なの?」
「心配しなくてももうすぐ着くよ!」
亮の代わりに答えたのはフルートでした。
フルートは、金髪の女性で誰かに似ている気がするのですが、思い出せません…
「まぁこんな場所をずっと歩いていればそうもなるわね…。」
昨日歩いていた場所もうっそうとした森でしたが、こちらに至っては密林と言っていいレベルです…
亮が、風魔術で草木を切り、道を切り開いていて、その後ろを私とフルートがついてきているといった状況です。
「亮はな、この世界に来てから、すぐに魔法の研究を始めたらしいんだ…なんでも、元の世界に戻るチャンスもあったらしいんだが、彼は、ここにとどまる選択をしたらしい…まぁ彼はその方法について何も言わないから、私は知らないけど…。」
「そうなんですか…。」
私は、亮の背中を見ながらそうつぶやきました。
元の世界に戻る方法を見つけたのに、その方法を行使しない…元の世界に戻らない…そのような選択肢もあるのかもしれません…
「そう言う選択もあるのかな?」
「元のところに戻らないってやつ? まぁ考えておくぐらいにしておきなよ…今は、100年後に戻ることだけ考えればいいだろ?」
「そうですね…」
どちらにするにしても、100年後の世界には、ヴァーテルもアウラも百々も竜也もいる…
どのような選択をするにしても、ヴァーテルたちのとこに帰らなければなりません…
「まぁ君がどっちを選ぶのかは知らないけど、その方法を他人が見つけた方法に頼るのはいただけないかな?」
「えっ?」
「いや…別にそんなこと思ってなかったならいいんだけどさ…君は、私たちと違って旅をしている…亮も昔はそうだったらしい…だからさ…君も、もっとこの世界を旅した方がいいと思うんだ…聞いた話だと、君たちのいた世界では、旅するのは結構大変みたいだし…。」
確かに、私たちのいた世界で旅となれば、旅番組のイメージしかわきません…まぁ本当に歩いて旅している人も当然ながらいますけど…
「それって亮の勝手なイメージじゃないの? 私たちの世界にだって旅してる人はいるよ、こっちの世界程じゃないけど…。」
「そうなんだ…つまり、ただ身近にあるわけじゃないってことか…。」
「そうね…私は、お父さんが世界中を飛び回っていたけど、亮はそう言うのと縁がなかったのかもね…。」
私がそう言うとフルートは、立ち止まってこちらを向きました。
「どういうこと?」
「その辺のことゴチャゴチャ行っても仕方ないでしょ…。」
私がそう言った時、前を歩いていた亮が口を開きました。
「北上グループ総裁の北上実…その娘である北上牡丹…それがそいつだ…。」
「北上グループ?」
「まぁな…おそらくそれで間違いないと思う…顔をはっきりと覚えていなかったから確証はなかったけどな…。」
どうやらばれていたようです…
北上グループの次期総裁であるお姉ちゃんのようにメディアの前に姿を現すことのないのになぜわかったのでしょうか?
「その顔見る限り覚えていないみたいだな…まぁ当然だろうな…俺がこっちの世界に来た時は、まだ、お前は小さかったから覚えていないのも無理ないか…。」
「覚えてないって…どういうこと?」
「…俺は、お前のいとこだ…。」
えっ…亮って私のいとこだったんですか?
でも、私の身近で行方不明の人って…
「あっ…思い出した…。」
「やっとか…結構時間がかかったな…。」
思い出しました。
私が小さいときによく遊んでくれてた男の人が突然来なくなって、お姉ちゃんたちと一緒に探していた気がします…
「それで…あかねちゃんは元気なの?」
「なんていうか…相変わらずと言えばそうだし、違うと言えば違うし…。」
「なんとなくわかった気がする…。」
しかし、当時の年齢から考えると、10年近くあっていなかったということになります…
つまり、相手は、名前も聞いたうえで、もしかしたらと思っていたのに、私の方は完全に忘れていたと言うことみたいです…
そんなやり取りの後、再び私たちは亮の研究所に向けて歩みを進めるのでした。
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