第44話 時空魔術の起源がわかりました
遺跡の探索を開始してから約2時間…
結局、成果が得られずに遺跡から出てきました。
どうやら、あの仕掛けはもっと後の時代の人がしたらしく、それらしきものがなかったのです。
「困ったな…。」
家に帰って、作戦を考えますが、どうしようもない気がします。
亮は、時間魔法は使えるそうですが、魔法の性質上正確な時と場所に飛ばせないので、この方法は、難しいとのことです。
「牡丹ちゃん…入るよ…。」
亮が、大量の資料を抱えるようにして部屋に入って来ました。
「それどうしたの?」
「俺が魔法の研究に使っていた資料一式だ…何かヒントはないかと探していたんだが…そんな中で面白いものを見つけてな…。」
そう言いながら亮は、その資料から分厚いファイルを2冊取り出して、開きました。
「この二つなんだが…。」
亮が開いたページを見ると、何やら複雑な式が書かれていました。
「えっと…これは?」
「これは、時間魔術の時渡りと空間魔術の瞬間移動の魔法術式だ…少し気になっていて調べていたんだが、この術式を見る限り、この2つを併せるのは不可能じゃないはずだ…具体的に言えば、時間魔術の33行目と空間魔術の24行目は同じ文面だからな…こういった具合で、この二つを併せれば、時間を飛んだうえで場所を指定できるはずだ…。」
時間魔術と空間魔術って…
「えっと…仮に完成したらどういう名前にする気なの?」
私が聞くと、亮は、少し考えてからこう答えました。
「…そうだな…時間と空間だから、時空魔術なんてどうだ? わかりやすくていいだろ!」
時空魔術の理論が成立した瞬間でした…
と言うか、魔法の術式を見るのは初めてですが、意外と複雑です…
本来ならこれだけの量を唱和しなくてはならないのに、現在ではかなり簡略されているようです…
「そうね…確かに、わかりやすいというかなんというか…。」
ここで、もし、時空魔術についていろいろ言ってしまったら、歴史が変わってしまう恐れがあるので、この話題にはできる限り触れない方がいいと思います。
「そうなんだ…頑張ってね…。」
時空魔術では、未来へはいけないと知っていますが、私は彼にエールを送ります。
「おう! なるべく早く実現させるからな! だから、心配せずに待っていろ!」
そう言って亮は、部屋から出て行きました。
「心配することなんてないのに…だって、時空魔術は絶対に成功するもの…だって、私の魔法属性はそれなんだから…。」
私は、亮が出て行った扉を見つめながらそう言いました。
ところ変わって、亮の家のすぐそば…
亮が部屋にこもっている間、少々暇だったので、外に散歩に出ることにしました。
「きれいな花…。」
私の足元に一輪の花が咲いていました。
黄色い花びらをしたその花は、小さいながらもひまわりのように、おひさまを目指して伸びて行っているように見えました。
「あっ! 牡丹お姉ちゃん!」
どうやらヒメリも家の外に出ていたらしく、私の方へ駆け寄ってきました。
「ヒメちゃん…どうしたの?」
「亮お兄ちゃんもフルートお姉ちゃんも遊んでくれないんだもん…。」
ヒメリは、頬を膨らませながらそう言いました。
「2人とも忙しいんだから仕方ないでしょ?」
「だって…」
「だってじゃない…。」
私は、ヒメリの頬を指で触りました。
「…じゃあ牡丹お姉ちゃんが一緒に遊んで…。」
「もー仕方ないな…。」
その後、私とヒメリは、暗くなるまで遊んでいました。
鬼ごっこ、かくれんぼ、缶けり…私が提案した、懐かしい遊びと、この世界独特の変わった遊びを交互にしながら日々を過ごしていくのでした…
読んでいただきありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




