第42話 ヒメリはわがままです
私は、朝から鳴いている鳥の鳴き声で目が覚めました。
「やっぱり過去のまんまか…。」
周りを見ますが、私がいる部屋は昨日一日過ごしていた部屋のままです。
亮が、案外一晩寝たら元に戻っているのでは? と言ったので、早めに寝たのですが、結果的には、100年前のままのようです。
「はぁ…結局このままなのね…。」
「そうみたいだな…。」
亮が、朝食を持って部屋に入って来ました。
「ありがとう…。」
私は、お礼を言いながらそれを受け取ります。
「それにしても、あれだな…お前が未来人だなんていまだに思えないよ…。」
亮は、私の顔をじっくりとみています。
「私だって、過去に飛ばされてるっていまだに信じれないもの…どっちもどっちよ…。」
「確かにそうだな…まぁ出身は同じ2000年代の日本だから、そんなに差はないな。」
私と亮は、何がおかしかったのか、笑い始めました。
「いやー同じ時代に同じ国から飛ばされてるのに100年以上も差があるなんてな…。」
「ほんと! 不思議ね!」
ちょうどその時、部屋の扉が勢いよく開かれました。
「ねーねー何か面白いことでもやってるの?」
どうやら、朝早くから大声で笑いすぎたようです…
隣の部屋で寝ていたヒメリが眠たそうに眼をこすりながら部屋に入って来ました。
寝癖のせいなのか、空色の髪の毛が見事にボサボサになっています。
「ちょっと、お話ししてただけよ…。」
「えー! だってだって亮お兄ちゃんも牡丹お姉ちゃんも笑ってたんだもん! 絶対面白いことやってたに決まってるもん!」
どうやらヒメリの中では、笑っている=面白いことをやっている。と言った方程式が成り立っているらしく、私の答えでは納得できないようです。
「いや…だからね…。」
「だから何?」
「えっと…。」
ヒメリが、どんどんと迫ってきています。
相手は、子供だから、あまり厳しく言うわけにもいきませんし、だからと言って、面白いことをやっていたわけでもないので、それに加えることは難しいと思います…
かくなるうえは…
「なにか面白いことをやっていたことにしましょう?」
私は、ヒメリに聞こえないように亮に話しかけました。
「面白いことって何を?」
「亮の方がヒメリと長い間一緒にいるんだから、亮が考えてよ。」
「かんべんしてくれよ…見た目こそかわいいけど、ヒメリは結構気難しいんだ…。」
「何を話してるの?」
ヒメリ抜きで話をしているのが気に入らないのか、ヒメリは不機嫌そうな顔をしています。
「えっと…私と亮がもともといた世界の話よ…。」
「ほんとうに!? もっと聞かせて!」
苦し紛れの回答だったのですが、ヒメリは興味津々と言ったまなざしでこちらを見ています。
「そっそれじゃぁヒメリも来た…」
「ヒメちゃんって呼んで!」
「ごめん…ヒメちゃんも来たことだし、また、最初から話す?」
私は、亮の方へ視線を送ります。
「そうだな…さて、どこから話をしようか…。」
それから、私たちはたくさんの話をした。
泣いたり、笑ったり、感動したり、滑稽だったり…
私と亮が話す日本の話は、ヒメリにとっては相当刺激的だったらしくヒメリは、終始それでそれで? などと言いながら話を聞いていました。
「そろそろ終わりにしようか…ヒメちゃんはまだ朝ごはん食べてないだろ?」
そう言いながら亮がヒメリの頭をなでました。
すると、ヒメリは少し不満そうにしながらもうなづいて、部屋から出て行きました。
「はぁ…やっと行った…。」
亮が、椅子にもたれかかります。
「まぁいいんじゃないの? 楽しかったし…。」
「そうか? 俺は、ヒメリの相手は嫌いじゃなけどわがままだから…。」
確かに、ヒメリは少々わがままな一面があるように感じます。
「子供のころならかわいいぐらいで済むと思うけどな。」
「そうか? ありゃ一生治らずに周りの人間を振り回すタイプだろ…。」
「確かにそうかもね…。」
私があまりにもあっさりと折れたので、亮は少々拍子抜けしている様子です。
「どうしたの? そんな顔して」
「いや…なんでもない…少しヒメリの様子を見てくる…。」
亮はそう言い残して部屋から出て行きました。
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