第41話 気が付いたら過去に来ていました
私が、目を開けると、どこかの建物の天井がみえました。
「おーやっと目覚めたか!」
どうやら、私は、どこかの家のベットに寝かされているらしく、一人の男性が部屋に入って来ました。
「えっと…ここは?」
「ここか? ここは、俺の家だ…。」
私が、体を起こしながらそう言うと男性はそう答えました。
「アウラ!? アウラはどこにいるの? えっと…小っちゃい女の子も一緒にいませんでしたか?」
体を起こして周りを見ますが、アウラの姿は見えません。
「小さい女の子? さぁ見なかったなぁ…神殿の前に君が倒れていて、家まで運んだんだが…。」
「そうですか…。」
アウラはどこへ行ってしまったのでしょうか?
もしかしたら、私が起きないから遺跡の外まで運んでから、ヴァーテル達を呼びに…
「あれ? そうなるとおかしいような…。」
アウラの力を考えれば、おそらく、私を遺跡の外まで引っ張り出すのは不可能でしょう…
魔法を使ったとも考えられますが、これまで彼女が使って見せた魔法はすべて補助系の魔法です。
「ところで、君は?」
「えっ?」
考え事をしている中で唐突に聞かれたので、一瞬何を言われたのかわかりませんでした。
「あーごめんごめん…こういう時は、こちらから名乗るもんだよね…僕は、北上亮…君は?」
「私は、北上牡丹です…。」
私がそう答えると、亮はなにかを考え始めたようですが、すぐに私の方を向きました。
「牡丹ちゃんか…よろしく…。」
亮は、そう言いながら右手を差し出してきたので、私は、その手を取って握手をしながらこう言いました。
「こちらこそよろしく…。」
その後、彼からいろいろな話を聞くことが出来ました。
亮も私たちがいた世界からやってきたと言う事、亮は魔法の研究開発をやっていると言う事…
そして、何より驚いたのが…
「100年!?」
「そうだな…正確なことは言えないけど、牡丹ちゃんが言う王国がまだ健在なんだから、少なくとも牡丹ちゃんがいた時代より100年は、さかのぼっているはずだよ…なにか思い当たる節はないの?」
思い当たる節はと、言われましても…
「そう言えば…。」
「何かあるのか?」
亮が身を乗り出してきました。
「…そう言えば、気を失う直前に、遺跡の小部屋でノートを開いてた…。」
はっきり言って、思い当たる要因はそれしかありえません…
なぜなら、遺跡に入った時点でタイムスリップしたのであれば、アウラも一緒でなければおかしいですし、そもそも日記を見たときの光は強力だったとはいえ、空が創造魔術を使った時と似たようなものを感じました。
「遺跡の小部屋でね…そう考えると、誰かが何かしらの意図をもってノートを開いた人間が、この時代に飛ばされるように仕組んだんだろうな…。」
「だとしたらどんな目的が…。」
「それはわからん…。」
なんで、あのノートにそのような仕掛けがあったのでしょうか?
過去にとんだ瞬間に目の前に術者がいるなら、なんとなくわかるような気もしますが、そうではなさそうです。
と言うことは、もっと別の人間を呼ぼうとして、偶然私が来てしまったと言う事なのでしょうか?
「亮お兄ちゃん! フルートが呼んでるよ!」
突然、アウラと同じぐらいの年の女の子が、扉を勢いよく開けて入って来ました。
「フルートが?」
「うん! だから、急いで!」
女の子(あとから聞いたらヒメリという名前らしいです)は、亮の服の袖を引っ張っています。
「しばらくこの部屋にいてくれ…すぐに戻ってくる…。」
亮は、私の方を見てそう言った後、ヒメリと一緒に部屋から出て行きました。
扉が閉められると、ふたたび部屋の中を静寂が支配しました。
「どうしたものかな…。」
私は、窓の外に広がる新緑の森を眺めながらそうつぶやきました。
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