第39話 きれいな空です…
百々と再会を果たした次の日…
「おはよう…。」
「遅い!」
私が部屋から出てくるとすでに百々が待ち構えていました。
「あっ…百々いつの間に…。」
「30分前からいたけど…それよりも、私は急ぎの用があるから西へ向かうけど、お前らはどうするんだ?」
そう言えば考えていませんでした…
理由は詳しく語ってはくれませんが、百々たちの行商人はそう急いでいるようです(多分…)
「何でそんなに急いでるの?」
「その辺については、親方しか知らないからな…とりあえず何かあったら連絡するから、お前らも私も今まで通りやって行くってことでいいじゃないか? またどこかで会おう!」
それだけ言い残して百々は去って行きました。
「百々! また会おうね!」
私も負けじと去ってゆく百々に声をかけました。
「百々さん行っちゃった…お姉ちゃんはさびしくないの?」
いつの間にか起きていたアウラが、私の顔を見ながらそう言いました。
「どうして?」
「だって…別れる時なのに、お姉ちゃん笑ってるもん…。」
あれ? 言われてみてガラスを見ると、そこに映っているのは微笑んでる自分でした。
「百々はね、あぁ見えて一人じゃ何もできなかったのよ…なのに、立派な行商になったなって…だからうれしいのよ…それに、きっとすぐに会えるから…だって、私と百々は親友なんだもの…。」
行商人として、西へ東へと駆け回っているからか、百々は昔に比べて変わりました。
やはり、環境と言うものは人を変えるのでしょうか?
「もう一眠りしようか?」
「うん! そうする!」
私とアウラは、再び宿の中に入って行きました。
それから3時間ほどたって…
「おーい! 牡丹! アウラ! いつまで寝てるんだ?」
竜也の声で私たちは目を覚ました。
「まったく…いつまで寝てるんだよ…本当に牡丹はよく寝るなぁ…そう言えば修学旅行の時も…。」
「ちょっと! 何でまた修学旅行の話が出るのよ! それに部屋別だったはずなのに何で知ってるの?」
「蓮華から聞いた。」
結局蓮華ですか…彼女は、何かと口が軽すぎる気がします…
「まぁいいや…それは置いといてこれからどうする?」
「そうだな…どうしよう…。」
蓮華とは結局会えず仕舞いでしたし、百々は早々に西へ旅立ってしまいました。
「でもさぁ…最近思うんだけど、もしかしたらこの世界にずっといてもいいんじゃないかなって感じる時があるんだよね…牡丹もそう思わない?」
「…そうだね…私も、時々そう思う…でもね、私がいないとお父さんにもお母さんにも、向こうの世界に残っている友達にも会えないから、ちょっと複雑な気分だな…。」
確かに、アウラやヴァーテルとの別れはつらいです。
ですが、元々の世界の友人とも会いたいという感情の両方で板挟みになっているといった状態です。
仮に元の世界に戻る方法が見つかったとして、その時どうしたいのかだなんてその時にならないとわからないものなのかもしれません…。
「まぁ今は、元の世界に帰れる方法を全力で探すだけだな…そのためにも他の奴らに会わないと…。」
「そうね…絶対に会わないと…。」
こちらの世界に来ているのが何人なのかは、はっきりとは分かりかねますが、その人たちもきっと元の世界に戻ることを望んでいるはずです…
「あと、どのくらいこの世界にいることになるんだろうな…そして、決断の時が来た時、僕たちはどうするんだろう…。」
雲一つない澄み渡った空を仰ぎながら私たちは、向こうの世界で待っているであろう人々を思い浮かべました。
「お姉ちゃん! ヴァーテルが呼んでるよ!」
アウラに言われて私は、いつの間にか部屋に入ってきていたヴァーテルの方を見ました。
「考え事か?」
ヴァーテルは微笑みながらこちらを見ています。
「うん…ちょっとね…。」
私がそう答えると、ヴァーテルは、私と同じように窓から空を見上げます。
「きれいな空だな…。」
「そうね…とっても綺麗な空…。」
暦上も冬になった今日この頃、皆さまが風邪などひかずに過ごしていることを願います…
読んでいただきありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




