第37話 百々に追いついていたようです
ラーウス街道起点の町ラーウス…その町から西に3つほどの町スズラン…ナデシコ同様に旧王国の国王が整備を命じたというこの町は、ナデシコと同じように木造の建物が並んでいました。
違いをあげるならば、城がないことと規模が小さめだと言う事でしょうか…
「何と言うかナデシコの時も感じたが、純和風だな…。」
「まぁ確かに…。」
なぜ、異世界なのに純和風の町が突然あるのかは疑問ですが、竜也はなにかが引っかかっているのか顎に手を当てながら歩いています。
「珍しく難しい顔してどうしたの?」
「いや…あれがあれだもんんだから、どうしたものかと…。」
すいません…あれがどうとか言われてもわかりません…
彼には、肝心な時にもう少しわかりやすくしゃべってもらえればいいのですが、まぁ無理な願いでしょう…
「そんなことより、いったんこの町にあるパームム商会のスズラン支部に寄って行くぞ…何か情報が入るかもしれないしな…。」
確かに百々たちがどの辺を移動しているかと言う情報は重要ですが、そんなに都合よく情報が入るのでしょうか?
あーでも、スイレン支部でもきっちりとした情報が入ってきていましたし、もしかしたら支部によって報告などをしながら進んでいるのかもしれません…
「まだ来てない?」
「はい…百々さんが所属している第23行商団は、まだスズランには来ていないですね…。」
スズラン支部の担当者の答えはこうでした。
どうやら、一個前の町にあるルーフス支部には、到着の連絡があったようですが、スズラン支部にはまだそれがないそうです。
つまり、私たちはルーフスからスズランに来るまでの間に百々の一行を追い抜いたことになります。
「なるほどな…それでは、ここに来たら連絡を入れてくれるか?」
「はい…そうなりますと、どちらまで連絡すればよろしいでしょうか?」
「あぁ…そこの宿に泊まっている牡丹に連絡をくれ…。」
ヴァーテルがそう言うと担当者は、メモを取ってから
「わかりました。到着したらご連絡いたします。」
と言ってから奥に入って行きました。
さて、百々たちが到着するのを待つ間、私たちは、町の中を散策することになりました。
この町の構造は、ナデシコと似たり寄ったりですが、どことなく雰囲気が違うような気がしました。
町の人に話を聞くと古くからの景観を大切にしてきたナデシコに対してスズランは、新しいものを積極的に取り込んできたからだという答えが返ってきました。
確かに、造りこそ木造ですが、一歩中に入れば他の町と大差ないそうです。
「だとすると、中は石造りなのかな?」
そんなことはさすがにないと思いますが、それはそれで面白そうです。
なぜ、このような違いが生まれたのかは、北部の地形に関係あるそうです。
旧王国領の文化圏は大まかに北部と南部に分けられるらしいのですが、ナデシコのすぐ西に位置する山脈を境に北東部と北西部に分かれるそうです。
山脈については、今となっては街道が整備され、一番険しい山もトンネルで通過できますが、昔はそれらの設備がないために物理的に隔離されていて、特に北東部の住民からすれば、時折王都から届く物資は非常に貴重でした。
そうしているうちに始まりは同じ民族だった北部の民は、その山脈を境に文化圏が分かれる結果になったという話を聞くことが出来ました。
やはり、いつの時代のどんな場所でも地形と言うのは大きな障害になりうるときがあると言う事なのでしょう…
「おーい! 牡丹! あんまりあれしてるとおいてくぞ!」
「今行く!」
竜也にそう言われて、私はヴァーテルたちの方へ駆け寄ります。
「もーお姉ちゃんボーとし過ぎ! 迷子になっちゃうよ!」
私は、迷子にはならないのと言いたいですが、実際、港町でそうなっているので、反論できません…
「迷子ね…確かに、小学校の修学旅行で牡丹を探したのは懐かしいよ…僕が真っ先に見つけようなんて考えていたけど、あの時、牡丹を見つけたのはあいつだったっけ?」
「あーそう言えばそうだったわね…本当にあの時は大変だった…。」
まさか、このタイミングで修学旅行の話を出されるとは…
その後、しばらく私を探した時のエピソードが語られたのは言うまでもありません…
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