第34話 やってきましたナデシコに
さて、スイレンを出発してから3日…私たちは、ナデシコの町に着きました。
「久しぶりに来た!」
「と言うか戻って来るとは思っていなかった…。」
「すごーい! 大きい!」
「こりゃ牡丹が迷子になりそうな…いや、これだけ大きいと勝手に離れることも…って言うかコスモスでは、アウラと別れた後普通に帰ってきたらしいし…異世界に行くと方向音痴が直るのか? いや…。」
ナデシコの町に入った時、それぞれ口にした言葉がこれでした。
「とりあえず、セコンデさんのところ寄って行く?」
「そうだな…少し不足しているものもあるからな…。」
後ろで、クエスチョンマークを浮かべている二人に軽くセコンデさんの事を説明してから私たちは商業地区へ向かいました。
ナデシコに到着してから約1時間…ナデシコの中心部の人ごみで時々はぐれそうになりながらも、何とかセコンデさんの店にたどり着くことが出来ました。
「やっと着いた…。」
そう言いながらヴァーテルは、店に入って行きました。
「セコンデのじいさんいるか?」
ヴァーテルが奥の方に話しかけるが返答がなかった。
「いないみたいね…。」
まったく返事が返ってこないところを考えると彼は留守なのでしょう…
だったら店先にでも、そんなことを示す看板成なんなり置いておけばいいと思うのですが…
「まぁいないなら仕方ない…別のところで買うとするか…。」
ヴァーテルが、そう言って歩き始めると私たちもそれに続いて店を後にしました。
さて、足りないものを買い足した私たちは、無理な日程でアウラが疲れをためていたようなので、前ナデシコに来たときの宿に泊まることになりました。
「へーこりゃすごいな…。」
竜也は興味津々と言った様子で宿の内部を見ています。
「あぁ…何度見てもすごいな…。」
ヴァーテルも、窓から外を眺めています。
「私は、アウラと部屋に行ってるよ!」
そう言い残して、私はアウラの手を引いて部屋に戻って行きました。
宿の一番奥にあり、窓から見える海は、漆黒に染まっています。
私は、横で寝息を立てて眠っているアウラの寝顔を見ながらコスモスで船に乗る前にした竜也との会話を思い出していました。
ヴァーテルとアウラが、2人で宿の方に向かった後、私は竜也に呼び止められました。
「何か用?」
「用って言うのは…なんだっけ?」
やばい…本気でイライラしてきた…
「忘れちゃ困るんだけど…。」
先ほども蓮華の目的を聞き出すだけで1時間かかったのだ…簡単な情報のためにどれだけの時間を費やさなければならないのか…
「あぁ! 思い出した! 水城に耐雷装備をすればいいと思うんだよね~」
竜也は、いつもの口調でそう言った。
「耐雷? 水城に? どういうこと?」
「そのまんまの意味のつもりだけど…あれか…あれが気になるのか?」
あれが何か気になりますが、水で構築している水城に雷対策とは…竜也らしい突飛な発想です。
「具体的には?」
「具体的に言うと、今使っている水を電流を通さない水にする…。」
「どうやって?」
私は、前に乗り出して聞こうとします。
「どうにかして!」
はぁ…どうにかって…どう考えても水は電気を通すと思うのですが…
「まぁこれは僕個人の意見として聞き流してほしいけど、不純物を徹底的に取り除くことぐらいすればいいかもね…。」
そう言ったのを最後に竜也は口を閉ざしました。
不純物をね…いったいどうやって…それ以前に理由は?
あれ…でも、何かあったような…
「蒸留…。」
蒸留…竜也の好きな実験の一つで、確か混合液をいったん蒸発させてから凝縮して、物質を分離する…と言うようなものだった気がします…
考え始めてから約1時間…私はようやく結論にたどり着いたのです。
「その通り…純粋な水を取り出すには、これを応用すればいいと思う…純粋な水は電気を通さないから…。」
ここに来て竜也の才能が発揮されてきました。
竜也の才能は基本的に科学的な実験の経過観察やデータの集計に特化していて、人間観察はそのおまけのようなもので、私の身近にいる人間の中で、科学知識を語らせれば右に出る者はいません。
「まぁ魔法使ってやるから、どうやって不純物を取り出すかは正確なことは言えないけれど、僕としてはできないことはないと思うんだ…そうだ…僕も荷物まとめないと…そろそろ行くね…。」
そう言い残して竜也は去って行った。
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