第32話 船旅に船酔いはつきものです
さて、四苦八苦すること約1時間…ようやく私は、竜也から蓮華の居場所を聞き出すことに成功しました。
「ところで僕の仮説は聞かないの?」
「蓮華抜きで聞き出せるわけないでしょ! さっさと旧王国領へ向かうわよ!」
竜也が言うには蓮華は、牡丹と会うために旧王国領にいるようです。
「結局戻るのかよ…別にいいが…。」
「今度は、山の向こうだー!」
私は、竜也と行くといったのですが、ヴァーテルもアウラもついてくるとのことで、(竜也が先ほど稼いだお金で)旧王国領行きの船に乗るため船着き場に来ています。
「この船に乗って降りると冬なのよね…。」
「雪遊び! 雪遊び!」
アウラは、冬から雪と言う単語を想像してとても楽しそうです…まだ、船に乗ってすらいないのに…
「はぁ…雪かぁ…冬は嫌いじゃないんだけど、雪が降ってると滑ったりとか…あれ? 雪じゃなくて滑っちゃうのは氷の方か…それは置いといて…。」
「うるさい!」
はぁ…早く蓮華に会いたい…じゃないとストレスで死にそうです…
かくして、私たち4人を乗せた船はコスモス港を出港し、スイレン港に向かって航行を始めたのでした。
「ちょっとやばいかも…。」
「大丈夫か? やはり部屋で休んだ方が…。」
出港から約10分…私は、今絶賛船酔い中です。
「相変わらずあれだな…。」
「あれって何?」
「あれはあれだ。」
心配しているようなしていないような会話が後ろから聞こえてきます。
「お前ら少しは心配しろよ…。」
「そりゃ当然心配はしてる…多分…。」
「アウラもちゃんとお姉ちゃんのこと心配してるよ!」
口ではそう言っているものの竜也の顔には心配の色などありませんでした…
「アウラも、お姉ちゃんと部屋にいる!」
アウラがそう言うので、私とアウラは、甲板にヴァーテルと竜也を残して船室に向かいました…
今、考えるとあの二人だけを甲板に残していったのは、間違いだったのかもしれません…
ようやく旧王国領のスイレンに着いた頃…
「つまり、旧王国領がずっと冬だって言うのの原因は…あれだと思うんだ…。」
「いや…だから、あれってなんだ?」
「あれはだな…なんだっけ?」
竜也とヴァーテルは仲良く(?)なったらしく2人で話をしている。
「しばらくこの状態なのよね…。」
「んなことよりこいつを何とかしろ!」
「何だよ…って言うか、僕は何を言おうとしていたんだ?」
前言撤回…仲悪そうです…
「仲悪いのね…。」
「もっと早く気づけ!」
私が鈍感だと言いたいのでしょうか?
まったく…何を言ってるんだか…
「それで…蓮華の行く先にあてはあるの?」
「うーん…行先は確か…。」
「確か?」
竜也に皆の視線が集まります。
「わかんない!」
やっぱり…
私は、ヴァーテルの方を見ますが…
「まぁ蓮華がどんな奴かしらんが、むしろ知らないから当てはないな…。」
まぁ当然と言えば当然でしょう…
「確か蓮華は百々を探してるのよね。」
「うーん…絶対…いや…多分…おそらく…きっと…できれば…そうであってほしい…。」
はぁ…まぁ本人に自信がないだけで、蓮華が百々を探しているのは事実でしょう…
「じゃあ蓮華じゃなくて百々を探したほうがいいかもね…百々なら当てがあるし…。」
「会ったことあるのか?」
ヴァーテルは、私の顔を見ました。
「えぇ…前はこの町でね…今、彼女はパームム商会所属の行商よ…。」
「なるほど…つまり、パームム商会に行けば行方が分かるかもしれないってことか…。」
「まぁ蓮華が百々と一緒に行動していれば手間がだいぶ省けるんだけど…。」
ここで、立ち話したところで進まないので、パームム商会のスイレン支部に向かうことにしました。
町の中心部から少し離れた石造りの巨大な建物…パームム商会スイレン支部の入っている建物の前に私たちは立っていました。
「すごい…。」
「おっきい!」
その大きさと存在感に圧倒されそうになります。
「行くぞ…。」
ヴァーテルが、先に入り、私アウラ、竜也が後から続く形で入って行きました。
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