第25話 新たな仲間が加わりました
さて、お財布がすっからかんと言う最悪の事態を回避した私とヴァーテルは、中腹の村を後にして旅立つことにしました。
「さて、それじゃぁまた、西へ東へ当てのない旅と行くか…。」
「次は、財布のピンチにならない程度にね…。」
一応くぎを刺しておきます。
最初に財布が空っぽに近い状態と言われたときはどんなに驚いたことか…
本当に親切な村人が泊めてくれなかったらいまごろどうなっていたでしょうか…
「さよならー元気でやりなよー」
後ろを振り向くと村に滞在していた間、泊めてくれていたおばちゃんが手を振っています。
「さよならー!」
私は、全力で手を振りかえしました。
短い期間でしたが、村人の温かい心に触れられてよかったです。
まぁとんでもない再会もありましたが…
それと、一つ報告が…
「やったー! 旅だ旅だ!」
旅仲間が増えました。
なぜ、女の子がついてきたのかと言うのは、村を発つ少し前までさかのぼります。
村の建物は、すべて簡易な作りですが、意外と密閉性が高く、家の中に入れば結構ぬくぬくとして温かいです。
「お姉ちゃん! お帰り!」
出迎えたこの子は、泊めてくれているおばさんの娘のアウラです。
「ただいま、アウラちゃん。」
私がアウラの頭をなでるとアウラは、嬉しそうに私の顔を見ます。
「あら…牡丹ちゃん戻ったの? ヴァーテルさんは?」
「ヴァーテルは、商人のところによってから帰ると言ってました。ずいぶんと稼いだので、もうすぐ出発できると思います…。」
「そうなの…それは、よかったわね…。」
おばさんがそう答えたとき…
「お姉ちゃん、どっかいっちゃうの?」
アウラが私の袖をつかみながら話しかけてきました。
「う…うん。そうなんだ…もうすぐ旅に出るの…。」
「ねぇ…アウラも一緒に行っちゃダメ?」
アウラは上目づかいで私を見ます。
えっちょっと…断りづらいんですけど…
おばさん! この状況をどうにか…
「そうね…かわいい子には旅をさせろというし…いいかもしれないねぇ…。」
そう言えば、おばさんは、かなりの放任主義でした…
あれ? と言うことはもしかして…
「今戻ったぞ…。」
空気を読んでいるのかいないのか…
ヴァーテルが、帰ってきました。
「ヴァーテルさんちょうどよかった!」
ヴァーテルが、家に入るなりおばさんは、ヴァーテルの方に駆け寄りました。
「どうしたんですか?」
「実はですね…あなた方の旅にアウラも連れて行ってほしいんです。お願いします!」
おばさんは、ヴァーテルに頭を下げています。
「いいですよ。」
ヴァーテルは、かなりあっさりと返事を出しました。
「やった! お姉ちゃんと一緒に行けるの?」
「そうよ…さぁさ、早く準備しないと…。」
そんな会話をしながら二人は奥に入って行きました。
「ヴァーテル…。」
「アウラがついてくることには問題ない…そもそも、お前のように突然飛ばされたとかでない限りは、あのぐらいの年ならある程度の下級魔法が使えるからな…それに、見たところアウラは、それなりの魔法属性を持っているはずだ…。」
あぁ、なるほど…つまり、私のような年の人が、下級魔術の練習をしっかりとやってるのは逆に珍しいと言う事ですか…それに、アウラの魔法属性がそれなりと言うのは大体どのくらいなんでしょうか?
「そんなことより俺たちも支度するぞ。」
そう言ってヴァーテルは、その場から立ち去りました。
その後、少し考えてみましたが、アウラがついてきても悪いことがあるようには思えなかったので、深くは追及しないことにしました。
そんな経緯があり、8歳の少女アウラが旅に加わったのです。
「アウラはね、強い魔女さんになるの!」
アウラは、無邪気に夢を語っています。
この世界では、魔女や魔法使いはあこがれの的のようです。
まぁ魔法が台頭している世界ですから当たり前なんでしょうけど…
姉との再会やアウラとの出会い…
この二つの出会いをもたらしてくれた村から出発し、ふもとの町へ向けて歩いてゆくのでした…
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