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ひだまりの国  作者: 白波
第3章 実りの秋
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23/68

第23話 旧国境からの景色は素晴らしいものでした

 途中、盗賊に襲われるというトラブルがあったとはいえ、私とヴァーテルは順調に東へ進んでいました。


「結構きつい山道ね…。」


 私たちは、今、山を登っている途中です。


「あぁ…この山脈のてっぺんが旧国境なんだ…だから、国防のためにこのあたりの街道はわざと通りにくくなっているわけだ…それと、ラーウス街道は、この山のてっぺんまでで、そこからは、別の街道になるんだが…まぁ歩くだけなら関係ないだろう…。」


 確かにそうです…別にどの街道だろうが、問題なく歩けるなら別にいいのですが、一つ気になっているになっていることがあります。

 確か、前にヴァーテルが、旧王国領だけ春が来ないと言っていましたが、旧国境付近はどうなっているのでしょうか…もしかしたら、突然季節が変わったりするのでしょうか?

 そんな疑問を抱きつつ、山の頂上を目指します。






 旧国境となっている山を登り始めてから数時間…

 山の頂上にある旧国境にたどり着いたとき、現実とは思えない風景が視界いっぱいに広がっていました。


「なにこれ…。」

「旧王国領の現状そのものだ…。」


 ヴァーテルは、静かにその風景を見ていました。

 私は、ちょうど旧国境の上に北の方を向いて立っているのですが、その足元を境に季節が変わっていました。

 向かって左側には、雪が降っていて2mは積もっていますが、右側は葉は色づいていて多数の木の実が落ちているといった風景が広がっているのです。


「でも、きれい…。」


 山の山頂を境に季節が入れ替わるその風景は、まるでどこかの芸術作品のような輝かしさがありました。


「あぁ…だが、この現状をどうにかしないといけないのも事実だ…まぁ俺たちには関係ないと言えばないんだろうが…。」

「これも魔法なの?」

「さぁな…天気を雪にするだけだったら、気象魔術の天気 雪(ウェザー・スノー)でいいと思うが、季節を冬にできるような魔法は、聞いたことがないからな…原因はこれと言って思いつかないな…まぁ俺とてすべての魔法を知ってるわけじゃないから何とも言えないが…。」


 仮に魔法を使って行っているとしたら、目的はなんなのでしょうか?

 私が、そんなことを考えている間にヴァーテルは、旧王国領の外の方へ向かって山を下り始めていました。


「待ってよ!」


 もう少しこの風景を見ていたいという気持ちもありましたが、これ以上山の上にいたら日が暮れるまでに中腹にある集落につかないので、やや急ぎ目に山を下りて行くのでした…






 中腹の村につくと旧王国領との違いに驚きました。

 ずっと冬の風景だった旧王国領にいたせいか、秋風に吹かれて色づいた葉っぱが舞い踊る風景は、かなり新鮮に思えました。


「なんだか、春と夏を飛ばしていきなり秋だから変な感じね…。」

「まぁな…時期的にはこのあたりは、もうすぐ冬だろうな…。」

「冬か…。」


 私の一個人としての意見では、冬は嫌いでは、ないです。むしろ、春夏秋冬の中では、冬が一番好きでなのですが、すぐ身近に向島百々(冬が嫌いな人)がいたため春が好きだなんて言っていましたが…

 この時期から百々は、すでにこたつに入っていた気がします…

 あんな寒がりな彼女が、旧王国領でちゃんと外に出れていたのは、この世界にこたつがないからでしょうか?


 そんなことを考えながら、私はヴァーテルの後ろを歩いていた。






 私は、確かに冬が好きですが、それは、春の鮮やかな色どりや、夏の暑さ、そして、秋の実りがあるからこそ感じられるものなんだと思います。

 だから、ずっと冬と言うもの考え物です…


 旧王国領に春よ来たれ…


 この旅の最後にある意味では、その願いをかなえることになるのですが、そんなことは知るよしもなく私は、頭上の空に浮かぶうろこ雲に思いをはせるのでした…

 読んでいただきありがとうございました。


 これからもよろしくお願いします。

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