第20話 東の方へ向かいます
私が、風邪をひいて寝込んでいた数日後…
少し予定より遅れましたが旅立つことになりました。
どうやら、この町でも有力な情報を得られずラーウス街道を東進することに決めたようです。
「体調の方は大丈夫か?」
「全然問題ないから大丈夫!」
熱は、あの後すぐに引いたのですが、ヴァーテルが旅立ってからもしものことがあっても困るからと言ったので、予定より数日間多くナデシコにいました。
「東の町まで一緒に来るやつがいるからまずはそいつに会いに行くぞ…。」
そう言ってヴァーテルは町の方へ歩き出しました。
「誰と一緒に行くの?」
「それはあってから説明する…一応東門の前で待ち合わせになってるから急ぐぞ。」
そう言うとヴァーテルは歩調を速めたので、私は必死になってついていきました。
ナデシコの東端にある東門は、かなりの大きさで見張り台も兼ねているようです。
そんな門の前に人影がみえました。
「もしかしてあの人?」
「多分な…。」
少し離れていて顔がはっきりと見えないので、ヴァーテルも確信は持っていないようですが、おそらくこれから東の方へ一緒に旅立つことになる人だと思います。
「えっセコンデさん!?」
門に近づいて顔が見えました…
どうやら東の方へ一緒に行くのはセコンデのようです…
「おぅ! ヴァーテルに牡丹ちゃん! 遅いじゃないか!」
セコンデが、私たちの方に手を振っています。
「あぁ…セコンデのじいさんが東の町まで仕入れに行くとかでせっかくだから一緒に行きたいそうだ…。」
「あれ? でも、ナデシコはこんな大きな町なのに手に入らないものなの?」
「あぁ…国産の者は大体で回っているが、外国産の者となるとナデシコより隣のスイレンの方がいいからな…。」
見た限りナデシコには港がないので、おそらくスイレンは港町なのでしょう…
「でも、港なら最初に行ったところも港町じゃなかった?」
「あぁ…確かにあの町にも港はあるが、あちらは漁船ばかりだからな…それに対してスイレンは、北部最大の貿易港なんだ…。」
なるほど…つまりあの港町よりも大きな町だと言う事ですか…
「何日ぐらいかかるの?」
「まぁ馬車を使えば別だが、歩きだと3日はかかるだろうな…。」
「その間に町や村は?」
「ない…ひたすら森の中だ…。」
次の町まで3日ですか…なかなか距離がありますね…
「そう言う事だからすぐに出発するぞ…。」
そう言ってヴァーテルは足元に置いていた荷物を背中にしょって歩き始めます。
その後にセコンデが続き一番後ろに私が来る形となりました。
ナデシコから数キロほど歩いた場所…右を見ても左を見ても森で時々左側に海が見えるといったこの道を3人で歩いています。
「そう言えば、牡丹ちゃんはどこ出身なんじゃ? 最初会った時にはジパング人かと思ったが少々違うようにも感じるのう…。」
どう説明しましょうか…素直に異世界から来たと言ってもいいかもしれませんが、それはそれで面倒な気が…
「えっと…。」
「まぁそんなことはどうでもいいがの…それにしても相変わらずの風景じゃのう…。」
私が、口ごもるとすぐにセコンデは、話題を変えました。
何やら面倒事を抱えてると思われたのでしょうか?
「あぁ…動物は絶賛冬眠中だからな…生きているかどうかはしらんが…。」
「確かに気になるのう…何せ2年前からこの調子じゃからのう…野生動物はどうなっておる事か…。」
「2年前?」
2年前からこの調子っていったいどういう事でしょうか?
「そう言えばお前は知らなかったな…実はこのあたり一帯は2年前から春が来ないんだ…。」
春が来ない?
つまり…
「ずっと冬のままなの?」
「…そう言う事だ…旧王国領は2年前からずっと冬なんだ…原因は不明…まぁ本国はこんな辺境の地なんて興味ないから調査と言う調査も行われていないがな…。」
最初に流氷の上に飛ばされたときは季節のずれか何かだと思っていましたが、この国には春がないようです…
多くの疑問を抱えつつ私は東へ向かうのでした…
読んでいただきありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。




