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ひだまりの国  作者: 白波
第2章 東へ
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第16話 ここにしばらく滞在するようです

 朝、私は、目を覚ますと食堂へ向かう。

 食堂の机の上には、周辺の海で取れた海産物が並んでいる。


「いただきます!」


 基本的には、魚が並んでいるのだが、はっきり言ってみたことないものばかりである。

 これまで食べていたパンや木の実などは、まだ、私が元いた世界でもよく見た形(木の実に関しては、味がずいぶんと違っていました)でしたが、魚はあからさまに違うように見えますし、私は魚介類全般が苦手です。


「えっと…。」

「どうした? 食べないのか?」


 目の前に座っているヴァーテルは平然と食べています。


「これなんかなかなか…。」


 魚を前に対応に困っている私を横目に見つつヴァーテルは、目の前の魚に手を伸ばします。


「じゃあこれから…。」


 ヴァーテルが食べていた魚を恐る恐る食べてみました。

 この世界に来てから初めて食べる魚…その味はと言うと…


「意外とおいしい…。」


 魚を口に含むと弾力があり、ほのかに甘みがありました。


「だろ?」


 結構おいしかったので、私とヴァーテルはどんどん食べ進めていきます。


「ごちそう様でした…。」


 それなりの量があったのですが、見た目の寄らずおいしかったのであっという間に完食してしまいました。見た目で判断するのはよくないですね。


「そうだ…これからの予定だが…。」

「すぐ東に向かうの?」

「いや…ナデシコは大きな町だからしばらく滞在して旅に必要なものを買い集める…それに、この場所は人が少ないからより都合がいい…。」


 つまり、一旦ここで足を止めてさらなる旅へ向けた準備と魔法の練習を同時進行で行うわけですか…よくよく考えたら昨日かおとといぐらいに同じ話を聞いている気がします…

 それはそうとどうせ魔法の練習するならもう少し港前の町にいた方が良かった気もするのですが、おそらくそれには、ヴァーテルなりの考えがあるのだろうと思います。


「そうだとすると今日はどうするの?」

「そうだな…あいにくながら一人で旅するつもりだったから野宿をするための道具が一人分しかない、それにお前もそろそろ新しい服もほしいころだろ…。」


 なるほど…わざわざナデシコまで移動した理由がわかりました…

 確かに、この世界に来てから最初に来ていた服以外は基本的にヴァーテルから借りている状態です。

 ちなみにあの港町からナデシコまで約半日で着くので、港町の奥様方は時々、何人かでナデシコまで買い物に来るそうなのですが、最近では、ラーウス街道の状態がひどいためだんだんとその回数が減っているそうです。


「店については俺のなじみの店があるからそこで旅の用意は万端になるはずだ…。」


 ヴァーテルは、得意げな顔でそう言いました。


「さて、食事も終わったし買い物に向かうぞ…距離的にはナデシコから少し離れているからな…。」

「わかった。」


 私は、町へ行く準備をするために席を立って自分の部屋へ向かいます。

 その時、ふと後ろを振り向くとヴァーテルが別の男性と談笑していました。


「先に行ってるからね!」


 私は、そう言い残して食堂を出ました。






 それから約1時間後…宿の入口の前で、私はヴァーテルを待っています。


「遅いわね…。」


 食堂を出てからすでに1時間近く経過しているのにヴァーテルは、一向に出てきません…どうなっているのでしょうか?

 そう考えていた時、宿からヴァーテルが出てきました。


「すまん…知り合いに会ってな…話しているうちに遅くなった…。」

「それにしても遅すぎる…。」


 知り合いと話すのはいいですが、人を待たせているということを忘れるのはどうかと思います…。


「いや…とりあえず急ぐぞ…時間がない。」


 誰のせいだと思っているんですか?

 そんなことはお構いなしでヴァーテルは歩き出しました。


「ちょっとヴァーテル!」


 私も急いでヴァーテルを追いかけます。


「これぐらいのペースで大丈夫か?」

「一応大丈夫!」


 私は、置いて行かれまいと必死に追いかけます。

 こんな森の中で迷子になったらシャレになりません…


「わかった…とりあえずナデシコまでは、直進だからな…変なところで曲がるなよ。」


 ヴァーテルの頭の中にはあの小さな港町で迷子になった私への気遣いがあるのでしょうが、さすがにこんな森の中で道から外れることはないと思います。


 あんな大きな町のすぐそばにあるとは思えないような森の中にある道を私とヴァーテルは、やや速足で抜けて行きました。

 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします。

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