第13話 この街道は相当古いようです
私とヴァーテルは、ラーウス街道を歩いていました。
ラーウス街道は今から約100年前、当時の国王が北部の交流を活発にするためにと言う理由で整備させた街道で、旧王都から伸びる北部街道の終着点にあるラーウスから東の旧国境のすぐ近くにある村まで伸びており、これまで交流が少なかった北部と南部の交流を活発にさせた街道だそうです。
もともと、北部は厳しい自然環境の関係で人口が少なく、中間点となる丘を下りてからは針葉樹林の中を登ったり、降りたりしながら町と町をつないでいるそうです。
「結構、きついというかなんというか…。」
多少のアップダウンがあろうと問題ないのですが、この街道は山肌を縫うように通っているので崖っぷちで危ない道やら今にも崩壊しそうな橋やら何かと危ないです。
「足元気を付けろよ…しかし、ラーウス街道の東半分は少々きついと聞いてはいたがここまでとは…。」
商会から情報を得ていたヴァーテルですが、さすがに、これは予想外だったようです。
この世界では、全ての商人はいずれかの商会に所属しており、多数の商会が存在します。
商会の主な仕事は、都市での店頭販売や行商と言った商売なのですが、各地の事情を熟知しているため、旅人への情報提供も行っているそうです。
どうやらヴァーテルは、昨日、あの町に支部を置くポームム商会を訪れこの街道についていろいろ聞いていたようです。
「さすが、100年前整備されてから手つかずの街道…並大抵じゃないな…。」
「えっ! この街道そんな前からほっとかれてるの?」
100年前からそのままって…それだけの期間手つかずでよく人が通れますね…
「まぁな…この街道を整備した王国が滅んじまったからな…現在このあたりを治めている国王はこの地域にはほとんど無関心だ…。」
そう言う事情でしたか…
つまり今、このあたりを統治している国からすれば北部は利用価値のないというわけです…
だとしたら気になるのはかつてこの街道を整備させた国王は、何のためにこの街道を作ったのでしょうか?
確かに、ヴァーテルの言う通り北部との交流を活発にさせるというのはわからないこともないですが、ヴァーテルの話を聞く限りそうする利点がないようにすら思えます…
「かつての国王は、この地域にどんな利用価値があると考えていたのでしょうか…。」
私が思わず口に出すとヴァーテルは、笑っていた。
「さぁな! 利用価値云々じゃなくて本当に国民同士の交流だけが目的なんじゃないのか? だって当時からこのあたり一帯は大した産業もなければ、なにか特別な物が採れるわけでもないからな! まっ確かに国王が、北部を視察したとたんに最優先事項として街道整備を命令したのは少し引っかかるが…。」
なんだかヴァーテルはいろいろと裏事情を知っていそうです…
「ヴァーテルはいろいろ知ってるのね?」
「あぁ…俺の祖父がかつての政府に勤めていてな、まぁ大臣とかそう言うのではないんだが、街道整備に関係した職場だったからそのあたりは詳しいんだ…。」
なるほど…街道整備に関係した職場に勤めていた祖父が情報源でしたか…
でも、最優先事項と言うことはやはりこのあたり一帯には何かあるのでしょうか?
「まぁ事情はどうであれ、この街道があるおかげで、北部を旅できるんだ…まぁ道のりは険しいがこの山を越えれば次の町だからな…もう少しの辛抱だ…。」
ヴァーテルは力強く歩いていきます。
私も負けじとついていくのでした…
理由は知りませんが、この街道はおそらくかつての王国にとってとても大きな意味があったのでしょう…
近代魔法が急激に発達したのが、現在より100ほど前とあの本に書いてあったのでもしかしたら、そのあたりと何か関係があるのかもしれません…
どちらにせよ、この街道は本来の目的を果たさぬまま埋もれてゆくのでしょうか?
私の疑問に答える人間は誰もいません…
読んでいただきありがとうございました。
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