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ひだまりの国  作者: 白波
第1章 始まり
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第11話 意外な再会を果たしました

 ヴァーテルが明日にはこの町から旅立つから少し町の中を見てきたらどうだ? というので、私は、少し町を歩いてみることにしました。


「おっ! 姉ちゃん! いい薬草入ってるよ! 昨日よりも安くするよ!」

「だから買いませんので…。」


「おっ! 牡丹じゃねーか! この魚買ってけよ!」

「いえ…だからそう言うのは…。」


 なんとなく想像はついていたのですが、町の人たちに次々声をかけられます…

 ってあれ?

 さっきの人ってもしかしたら…


 なんだか、知り合いがいた気がするので急いで先ほどの場所まで引き返しました。


「なんだよ! 牡丹ったら冷たいなー無視して行っちゃうなんて…。」


 戻って行くと魚を売っていた店主が愚痴をこぼしていました。


「こんなところまで来て、何をやってるんですか?」


 私が、店主であろう女性に話しかけるとその女性の顔がどんどん晴れやかなものになり…


「牡丹! 久しぶり!」


 ものすごい勢いで私に抱きついてきたのです。


「ちょっと! 百々(もも)! いきなり何よ!」

「もーさみしかったんだから!」


 どうやら私の親友である向島(むかいじま)百々(もも)もこの世界に来ていたようです…


「と言うか、百々はここで何をしているのですか?」


 私が話しかけると百々がクスッと笑いました。


「いつもは丁寧な口調なくせして突然豹変するくせして急に戻るところ相変わらずだなぁ!」


 どうやら彼女は今、自分が置かれている身のことよりも、私との再会出来た喜びの方が大きいようです…

 もちろん私もですけど…


「それでさ! 牡丹の方はどうなんだよ? この世界来て何かやったか?」


 私ですか…と言うか牡丹の方はってまだ、私の質問の答えを聞いていないような気がしますが…

 それは、ともかくとして、私が異世界に来てやったことと言えば流氷に乗って流されて…この小さな港町で迷子になって…一番ランクの低い魔法を使えるようになって…それから…

 あれ? 私ってもしかしたらこの世界に来てからまともなことをしていない?


「どうしたの? もしかしてまともなことしてないからどうしようとか考えているの?」

「えっ? いや…その…。」


 図星をつかれました。

 なんというか百々は昔から人の心を見透かすのが得意でしたっけ…


「いやーさぁ私の魔法属性がさぁ心身魔術なものだもんで、魔法を使っていなくともなんとなくその人の考えていることが分かったりするんだよ…スゲーだろ! 心身魔術って言ったらランクAAA(トリプルエー)の上級魔法だからな! 習得するのは大変だけど、絶対ものにして見せるぜ! ところで牡丹はそう言うの調べたの?」


 心身魔術ですか…帰ったらヴァーテルの詳細を聞いてみることにします…と言うか、昔からそういうところがあるのでおそらく魔法は関係ないと思います。

 確かに調べはしましたが、さすがに気が引けるので隠そう…なんて思ったのですが、彼女に隠し事はできないので素直に白状します。


「えっと…時空魔術です…。」

「ふーん? それってどのくらいすごいの?」


 どうやら百々は時空魔術の事を詳しくは知らないようです…

 当然と言えば当然ですが…


「そんなことよ、どうして百々がこんなところで商売をしているんですか?」


 これ以上聞かれたくないので私は、話題をすり替えます。


「それがさぁ…突然異世界に来て右も左もわからなくてな…偶然、この町に向かう行商の一行に拾われたんだよ! いやー一時はどうなるかと思ったけどさ…あーそうそう、しばらくはこのあたりに店を出しているつもりだからちょこちょこ顔だしてな!」


 そこまで言って百々はハッと何かに気づいたようです。


「私はそろそろ戻るから! さすがに、これ以上店をほおっておくとさすがに親方に怒られるから!」


 百々は、露天の方にかなり焦った様子で戻って行きました。


「まったく…あの男勝りな口調と、せっかちなところは相変わらずと言うことですか…。」


 異世界に来ても変わらない友人をしばらくの間見ていようとも思いましたが、商売の邪魔になってもいけないので私は、クルリと背を向けてその場から去って行きました。


「百々…頑張りなさいよ…またどこかで会いましょう…。」


 私の声は、往来する人々の活気にかき消され、彼女の下には届かなかったでしょう…

 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします。

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