宇宙の地平線
地球という時空間から見える範囲は限られており、その向こう側は見ることができない。しかし、そこを見る方法がないこともない。
果て無き宇宙を延々と旅することができたなら・・・、
いつしか、地平線の向こうに到達できるかもしれない。
地平線の向こうには、宇宙の根源があるかもしれない。
ぼくらが、まだ見ぬ世界があるかもしれない。
夢は遥か。
手を伸ばしても、簡単に届く距離ではない。
しかし、届かぬものに手を伸ばし、答えを追い求めるのが人であろう。
イメージできるのであれば、宇宙空間なるものを頭の中に浮かべてほしい。
燦然と輝く巨大な恒星、太陽。
その周囲を回る惑星達。
ゆっくりと、回転しながら、ゆっくりと太陽の周りを周回している。
実に、壮大で静寂なる世界である。
それが、太陽系という空間である。
こんな恒星系が、宇宙には幾千億、いやもっともっとあるというのだから、その壮大さは想像の域を超えている。
太陽と地球の距離はとても遠く、約1億5000万km(地球を約3750周)。
光でも、8分19秒かかる距離だ。
最も外側を回る惑星海王星と太陽の距離は45億km以上あり、太陽の光が到達するまでには約4時間を要する。
冬の空に見えるオリオン座に位置するシリウスまでの距離は、光で8.6年。
8.6光年という距離である。もはや、kmで表すには桁が大きすぎるので、光の到達時間で表すのが一般的である。
更に、夏の大三角形を形成する七夕の織姫星までの距離となると25光年である。
このベガと地球をイメージするとわかるが、宇宙という規模になると、光は案外と遅いもので、織姫星と地球との間を25年もかけて、ゆっくりと進むのだ。
広大な宇宙を思い描けば、光も遅いということになってしまう。
お星さまキラキラ、短冊に願いを込めたなら、織姫星を見上げてみよう。
しかし、この目に映る織姫星の姿は、25年前の姿であり、今現在の織姫星を見ることはできない。それが実現できるのは、25年後になる。
少なくとも、地球上にいれば、そういうことになる。
宇宙が生まれてから、135億年とか、260億年とか。
1000億年なんて説もある。
要するに、確定できないのだけど、仮に135億年だとしよう。
もし、150億光年先に、星があったとしても、それは、見ることができない。何しろ、150億年前には宇宙すら存在しないのだから、少なくとも、あと15億年待たなければ光は地球に到達できない。
今のところ、光速を超える手段は発見されていない。
量子力学の理屈においても、150億光年先に情報を相互伝達することはできない。
だから、宇宙空間というものをイメージする時、同時に存在する空間というものは、あまり意味がない。
何しろ、絶対に見ることも知ることもできないのだ。
要するに、今見える宇宙。
それが、ぼくらのいる地球から見た宇宙の全貌である。
実は、宇宙では、時間の進みも、空間の大きさも均一ではない。あちらこちらで、時間も空間(距離)も歪みまくっている。
それも考慮して、もう一度、宇宙なるものをイメージしてみよう。
今見える宇宙が、宇宙そのものである。即ち、空間に時間が分布して広がる世界である。尚且つ、どの場所でも同じように時が流れるという常識が通用しない空間。
難しく考えることもなく、まずは、今見えているものが宇宙であり、場所によって時間の流れが異なっていると理解すればいい。
この時間の流れの差については、おいおい説明していきたいと思う。
135億光年先、これが宇宙の果て。
というより、宇宙の地平線と言った方が良いだろうか?
地平線の向こう側にも宇宙は存在するだろうが、見ることはできない。
そして、この地平線とぼくらの間には、135億年というタイムラグがある。
実は地上でもタイムラグは存在する。
1m先であれば、3億分の1秒程度のタイムラグである。要するに、1m先の物を見た時、それは、3億分の1秒前の景色であり、正確には、今ではない。
まあ、地上であれば、ほとんど無視して良いタイムラグなのだが、宇宙規模になると、無視もできないということだ。
そう、宇宙では光もゆっくりと進むから・・・。
実は、電波により、スマホに高速データを送信する際には、地上でもタイムラグが問題になったりもするのだが、一般の方はあまり気にする必要はないだろう。
話を戻すと、我々は同時に存在する宇宙を見ることはできないし、知ることもできない。だから、同時に存在する宇宙を考える必要もない。
今のところ、地平線の向こうは、想像するしかない世界である。しかし、嘗て、船に乗った旅人が水平線の向こう側に辿り着いたように、いつか、到達できるかもしれない。
少なくとも、過去に戻るよりも、ずっと容易いことである。
今のところ、実現困難ではあるが、理論的に、不可能なわけではない。
次の章では、そこのところを追求してみたいと思う。




