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転職したーいって叫んだら、異世界の傾国の王になった件  作者: MOKO773
第一章 王の国へ

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7. 王、城を壊す

早朝、建物を壊す大きな騒音で、旧大臣達が飛び起きる。


従来の大臣達は、ほぼ解任された。

解任に納得できない旧大臣達は、王城に居座り続け、日々王に物申す。


(去らぬなら、去らせてみましょう・・・・・・いや違う。あれは『鳴く』だ。信長の行動力、秀吉の創意工夫、家康の忍耐力、どれも大事だな)


王は脳内で、転生前の記憶を辿りながら、あーだこーだと考える。

信長ほど過激ではないが、今日は行動あるのみ。王自ら、現場に乗り込む。


長距離走ができそうな王城の長い廊下を、側近のサクラや女官のセラフィーナと共に歩く。


今日は、お掃除の日。

王城に棲みつく旧大臣及びその取り巻き達の強制退去と、無駄に肥大化した王城縮小の大規模な工事『減築』をする。

女官セラフィーナには、回収した衣類や装飾品など、細々した物の整理をする召使いの取り纏め役を任せる。

側近サクラに査定人を伴わせ、旧大臣の私利私欲まみれの部屋から、美術品などのオークションにかけられるものを没収する。


「王の執務室と寝室、謁見の間、それと、他に残す場所はーー」


図面を持った職人達が、わらわらと旧外務大臣の部屋に入ってくる。


「この部屋の家具は全部持ち出すように。衣類もリサイクルに回すので分別」


彼らは黄色いヘルメットを被り、腰には安全帯をつけている。今から工事をする格好である。

外では足場が組み終わり、窓から解体職人が出入りする。外壁をぐるっと囲うように足場を組み、再利用できそうな外壁材を丁寧に剥がす。

隣室では、騒音を出しながら外壁を砕き始めている。

内装を剥がす音、天井材を落とす音、さまざまな騒音が鳴り響く。


「あれ?昨日が期日の退去命令が出ていたかと思うのですが・・・・・・」

小麦色に焼けた肌の職人長が、家具や美術品の運び出しを職人達に指示しながら、寝ぼけた顔の旧外務大臣に言う。


呆然としている旧外務大臣は、職人達がどんどん運ぶ家具のひとつ、鏡のついた化粧台の上にあるとある物を見て叫ぶ。

「な、何をしている!それは、私のカツラだ!持っていくなーーあああああ」

旧外務大臣は必死に手を伸ばして叫ぶ。

職人の一人が、彼の大事なカツラをベッドまでお届けする。


「旧大臣達の職権乱用と公費の浪費により空となった国庫への補填、及び赤字財政の回復のため、王城を減築します」


白いヘルメットを被り白い作業着を着た王が、水玉模様のパジャマ姿の旧外務大臣に説明する。


ベッドの枕元には、大きな茶色いクマさんのぬいぐるみが鎮座する。

「な!なななな、何の権限で!」

くたびれたクマさんを抱きしめながら、会食でぷくぷくに肥えた旧外務大臣が怒鳴る。

「王の権限です」

がくんと肩を落として、旧外務大臣はベッドから滑り落ち、ふかふかのカーペットに座り込んだ。つぶらな瞳のクマさんも一緒に落ち、カーペットに着地する。

先端にボンボンのついた三角の帽子を被った大臣は、手にカツラを握りしめる。


「そのカーペットもオークションに出すので、申し訳ないけれど、どいてください。クマさんとカツラは不要です」

王はふかふかカーペットの端を掴み、ぐいぐい引っ張る。


王城の減築は全体の3分の2に至ったが、ところどころに空室がまだある状態だった。

王は、空室を利用して防災倉庫の整備を側近サクラに指示する。


管理する建物と王城に巣食う貴族や務める使用人の減少により、光熱費、清掃費、人件費、食費が大幅に減る。

解約した取引先には新しい仕事を、解雇した使用人には新たな働き口を紹介した。


次は、最も苦手な身内を説得しなければならない。

面倒な説得の前に、王は解体職人と査定人を数名連れて、後宮の下見に行くことにした。

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