↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女医乃深雪の記録ー快楽の追及ー日常侵食編  作者: 女医乃深雪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/147

第35話 制御成功


研究室の冷却装置が低く唸りをあげる。 深雪は吸着型の触手片を三つに切り分け、培養槽へ一つずつ沈めた。横一列に並ぶ三槽は、すべて同じ起点から分けられたもの。条件を揃えた上で、三種類の血漿を滴下するためだった。


机上に並んだ三本のチューブ。 一本目は通常血漿、二本目は基礎成分だけを残した維持血漿、三本目は成長因子だけに分離した血漿。 深雪は呼吸を整え、各槽へ一滴ずつ滴下した。


通常血漿


投入から十分。 通常血漿の槽では、触手が緩やかな脈動を繰り返し、安定した収縮と吸着を保っていた。 「……基準通り」 深雪は端末に記録した。


維持血漿


次に視線を移す。 触手は変化を見せることなく、一定の収縮を淡々と繰り返している。膨張も分裂も起こさず、ただ最初の状態を保っていた。


「現状維持。活動安定」 深雪は小さく頷いた。


成長因子血漿


しかし成長因子の槽は違った。 投入直後から激しい膨張と収縮を繰り返し、壁面に張り付いて暴れる。表層には微細な突起が溢れ、増殖の衝動に駆られるようだった。


「……成長過多反応」 深雪が呟く間にも、触手は痙攣し、膨張部は裂け、内液を漏出して崩れ落ちた。 三十分も経たぬうちに、完全な沈黙。


結論


深雪は三つの槽を見渡し、端末に一行を打ち込む。 「制御成功」


小さく息を吐き、口元にわずかな笑みを浮かべた。 冷めきったコーヒーを口に含み、苦味の奥にかすかな甘みを覚える。 「……これで、次に進める」


蛍光灯の光が培養槽を照らし、冷却装置の唸りだけが室内に残った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。