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女医乃深雪の記録ー快楽の追及ー日常侵食編  作者: 女医乃深雪


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第27話 メール


研究室の灯りは白く冷たかった。 装置のモニターには脈打つ波形が揺れている。 深雪は静かに端末を開き、指先を走らせた。


件名:初期データ取得 協力依頼

差出人:女医乃 深雪


―――――――――――――――

以下、初期実験条件につきご協力をお願いします。


生体反応(心拍・呼吸・筋電)の同時記録。


電極は胸部および下腹部を中心に装着。位置詳細は別添図を参照。


拘束具は過不足なく装着し、20分以上の安定状態を維持すること。


刺激は段階的に実施。対象の主観反応は逐一口頭で報告を。


追って詳細調整いたしますので、都合のよい日程をお知らせください。

―――――――――――――――


送信ボタンを押す指先は冷静だった。 だが胸の奥で、波形と自分の鼓動が重なるのを感じていた。 「……これで舞台は整った」 小さな声は白光灯に吸い込まれていった。


◇


その夜、久慈は医局の机に端末を置き、ためらいがちに受信箱を開いた。 件名の文字が目に飛び込む。 「初期データ取得 協力依頼」


開いた瞬間、項目が目に刺さった。 生体反応の記録、拘束具の使用、二十分快の安定。 ――形式は臨床研究の報告書だ。だが読むほどに、背筋を冷たい汗が伝った。


首筋に、前回の痕跡が疼く気がした。 深雪の冷たい眼差しと、院長の「深入りするな」という声が重なる。


それでも久慈は端末を閉じ、長い吐息を漏らした。 「……わかったわ」


言葉にならない承諾は、誰に聞かせるでもなく、ただ研究室の低い唸りを思い出させるだけだった。



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