第10話 拘束下の反応
白光灯に照らされる研究室。
拘束器具は、すでに被験者の四肢と腰部をしっかりと固定していた。金属と生体素材が複合した器具は、ただ縛るだけではなく、動脈や筋肉の微細な反応を計測しつつ圧を加減する。
深雪は記録用のペンを片手に、静かに告げた。
「――ロックは容認していただいている。今日は、下半身への影響を重点的に観察する」
久慈は小さく息を吐いた。
「……ちょっと、きつすぎないかしら」
その声には抗議よりも戸惑いが混じっていた。
深雪は口元にわずかな笑みを浮かべる。
「一般的な治験の拘束と大差はないわ。あなたも医師なら理解できるはず」
そう返され、久慈はそれ以上強くは言わなかった。だが、下半身を覆う拘束の圧迫が、逆に肌の感覚を研ぎ澄ませていくのを、自覚せざるを得なかった。
外見こそ冷たい器具だが、先端に備わる吸着面が皮膚に密着すると、生理的な反応がじわじわと広がる。太腿の内側に貼りついた感覚が、微弱な電気信号とともに肉体へ伝わり、熱と疼きを伴って意識を攪乱する。
久慈の手がシーツをぎゅっと掴んだ。
「……もう、終わりよね?」
耐えるように発した声は震え、普段の強気な主任医師の顔からはかけ離れていた。
深雪はその反応を見逃さず、冷静に観察を続ける。
「手の収縮反応、良好。筋緊張と性感の増大が並行している。……興味深い」
記録を取りながらも、彼女の眼差しは被験者の揺れる吐息を逃さない。
拘束は単なる固定ではなく、快楽を増幅させる媒介に変わりつつあった。




