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変化する町

 青山博士は虹の雪の協力を得てパソコン教室を開いた。スマホで基本操作をするので精一杯な利用者と町の人達に基本から教える。妻の由美は小さな診療所を開いて町の人達の悩みを聴きながら治療を始めている。遠くの街の精神科に通っていた利用者の何割かは近くの由美の診療所に通い始めた。


 潤子は青山夫婦の世話になっている。月に一回の頻度で由美の診察を受け、週に三回の頻度で仕事の後に博士からパソコンを学んでいる。情報技術を嫌っていたけれども、博士の教え方が上手いのか三ヶ月以上は続いている。


 博士は自分で教材を作って生徒達に勉強させている。遠隔リモートで出来る生徒には自宅でやらせるが、独学が苦手な生徒には通わせている。定期的に試験を受けさせて生徒達一人一人に合わせた教材を作っている。潤子は教室に通い、紙媒体や電子媒体の両方を使って学んでいる。


 博士は試験も授業もゲームをやるかの様に学ばせている。表計算もプログラミングも全く出来なかった潤子は今では虹の雪と提携している農家と一緒にサイトを作ったり、事務作業を手伝ったりしている。


 生徒達が徐々に知識を身につけているので、博士は不満はなかった。授業料を安くしてもらっているが、色々と見返りも有る。農家からは米や野菜や果物をもらい、猟友会員からは肉をもらっている。また町の人達は青山夫婦を祭や行事に誘ったり、生活の留意点を教えたりした。SNSをキッカケに町の人達の間では交流が深まり、対面式でも経済活性化について話し合う機会も増えた。農家と中小企業の社長と個人事業主とが集まって新しい事業を模索している。


 余所者を排除したり逆に移住者を酷使したりもしない。双方共に利益になる相互扶助。青山夫婦が熱心に呼びかけなくても町の人達の発信で移住者が何人も来た。


 景吾の実家の町は少しずつ変わっていった。引退を考えていた農家達も、希望を持って移住者や若手に経験と知識を教えている。新しくて安全な機械を町工場と共同開発したり共同購入したりして作業を軽減させている。身に付いた情報技術が役に立ち、煩雑な事務作業も楽になった。精神的にも肉体的にもむしろ余裕が出てきた。


 この実績を活かして政界に出ないかと景吾の父親は誘ったが、青山夫婦は丁重に断った。国家規模の複雑な利害調整と町の活性化は違う。むしろ夫婦は広い世界での競争に疑問を持っていた。町の人達が試行錯誤しながら向上していくのを手助けした方がやり甲斐がある。


 秋に衆議院選挙が行われたが再び景吾の父親は当選した。貧富の格差や少子高齢を嘆いたり国や富裕層に経済的支援を求めたり与党を非難したりする野党の候補が負けたのだ。富裕層と接触し知恵の投資を受けて自分達で工夫する。そんな経験をした人達は野党に魅力を感じなかった。援助も妨害もしなかった景吾の父親が選ばれたのだ。

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