表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/32

雪掻き

 景吾は老夫婦の家の場所を母親から教わり、準備をすると早めに出て行った。母親は虹の雪に一度寄って利用者達を車に乗せて行く。


 景吾は帰省する前にタイヤに鎖を巻いて雪道用に変えたが、慣れない。慎重に遅めに運転する。主な道路は機械で雪掻きされているので走れるが、狭い裏道は人力で雪をどかす。景吾は近くまで来ると、何もない空間に停車した。目的の家まで続く道がまだ除雪されていない。雪掻きをしていた虹の雪の職員らしい人達が降りてきた景吾に振り向く。景吾は挨拶した。


 景吾はスコップを持つと指示された所を掘って籠に入れていく。職員がそれを運んで邪魔にならない所に捨てていく。暫く続けていくと、車が一台二台とやって来た。二台目からは所長である母親と利用者が降りてきた。中には潤子がいる。


 母親はテキパキと皆に支持を出しながら自分も雪を運んでいく。腰痛にならないように掘り方や運び方を言葉だけでなく身振り手振りで細かく説明する。利用者達はそれに従う。少し頼りないが皆、真面目にやっている。


 老夫婦達が挨拶しに来た。皆、返事をする。景吾は辺りを見渡す。利用者達はすぐに仕事に戻り、母親は老夫婦と確認をする。気が付けば、家の前まで掘り進めてきた。母親は男性職員を集める。いかにも逞しそうな男性二人が梯子はしごをしっかり押さえて他の男性が登っていく。老夫婦は心配そうに様子をうかがう。女性職員達はいつの間にか落下しても大丈夫なようにマットを敷いている。利用者達は離れた所で作業を続けたり休んだりしている。


 景吾も登ることになった。既に屋根にいる職員がそれを手伝う。雪をどんどん落としていく。母親が合図したり掛け声をかけたりする。上からの作業が中断すると下が雪を運んで決められた場所に捨てる。それが済んだら上が再開する。母親が指揮する。老夫婦は敷地の隅から危険がないか周りを見渡している。雪の塊に落ちると溺死の危険がある。油断は禁物だ。


 久々の雪掻きなので景吾は生きた心地がしなかったが、次第に慣れた。昼過ぎには作業が終わった。屋根にいた景吾達は慎重に降りていく。老夫婦は皆に礼を言った。


 老夫婦の家は広く、二十人以上もいる虹の雪の人達が全員入れるほどだった。老夫婦は事前に準備していたおせち料理を振る舞った。母親は老夫婦に礼を言った。遅い昼食を摂る。一品一品、手作り独特の懐かしさを覚えるような深い味わいがあり、確かに美味い。


 早めに食事を切り上げて薬を飲む者、居眠りをする者、少人数だけで談笑する者達、黙々と食べ続ける者。利用者達の態度はそれぞれだ。皆、疲れているがそれなりに充実感はあるようだ。老夫婦達は嬉しそうに利用者達を見ながら職員達に再度礼を言っている。


 今日、潤子を含めた利用者の中で景吾に興味を持つ者はいなかった。与えられた自分達の仕事をこなすだけで、余計な詮索をしない。職員達は景吾を時折労うぐらいだ。


 昼食が終わると母親は利用者達と職員達に後片付けを手伝わせようとした。老夫婦はそれを制した。利用者達も帰りたがったり、眠たそうにしている。母親はすぐに帰る班と少し残る班に分けた。半分以上は帰ることにしたが、残りは老夫婦と一緒に片付けをして暫く休むことにした。


 潤子と景吾は何となく残る班に加わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ