彼方送り
バケモノは小さくなっていたけれど、
まだ、煙をシューシュー吐きながら
藤井さんの側に行こうとして
床を這いつくばっていた。
「ミレアとか、イグニくらい?小さくなったなぁ、バケモノ…」
颯太がポツリと言っていた。
「いや、完全に終わらせないと
また藤井さんに取り憑いて元にもどっちゃうから、今のうちに、さっさと天界に飛ばそう。」
「どうやって?」
「僕たちで、囲んで彼方送り。小さいから
攻撃されても、どうってことないよ。
それから
藤井さん、ごめんなさい。僕たちから少し離れてもらえますか?」
藤井さんは、まだだるそうな体で
朔夜に言われた通り、スタジオの隅へ移動した。
「ギャッギャツ!!」小さい化け物が威嚇してくる
「俺は、弱き者には強いからっ!!」
颯太が威張っている。
「色々素直だな! ところで彼方送り
早くすませた方がよくね?」
朔夜が
「早速やりますか!!」
そのひと言で
俺と颯太がスマホをポケットから出した。
朔夜が目を丸くする
「えっ?スマホ出してどうしたの?
まさか、バケモノの画像撮るの?」
「いや。俺達、呪文覚えてないから。
スマホないと、無理す。」
颯太がスマホを掲げる。
朔夜は困った顔で
「んー。ミレア、イグニ。澪央と颯太の
教育しっかりお願いね。」
朔夜は呆れて苦笑いした。
ミレアとイグニは真顔でコクコク頷いていた。
朔夜は、「じゃ、始めようか」
『カエルム・レミット!!』
バケモノが、シュゥゥゥゥと更に縮む
苦しそうだ。緑の煙も吐かない。
朔夜が、俺と颯太に目配せをした。
彼方送りの、合図だ。
ミレア、イグニ、ユエも参加している。
すぅーっと呼吸を整える。
魔法陣がブゥゥンと音をだして
光が増す。
『大地に仇なす者よ。
星の記憶より外れ、
月の光より遠く、
銀河の果てへと去れ。
ここは、お前たちの居場所ではない。
我らが星に残る闇を、
宇宙の彼方へと還す。』
バケモノは、ギャアァァァァァァ!!と
叫びながら、真っ直ぐ上に向かって
天井の辺りでフッと消えた。
シンとなるスタジオ。
お、おわったぁぁぁぁ!!!
「朔夜!! 焼肉! 焼肉!!やきにくぅぅぅ!!」
俺は、もう焼肉しか頭になかった。
颯太も
「焼肉のシメに冷麺食いたい!!」
気持ちは、焼肉屋さんの俺達に、
「気持ちはわかるけど、藤井さんと
話をしなくちゃね。」
朔夜が、真面目な顔でそう言った。
「話を聞かなくても、もうバケモノいないから
大丈夫じゃないの?」
「まだ、だめだよ。怨霊が憑いたのは、
藤井さんにも原因があるはず。
だれかれ構わず憑いてしまうヤツらは
神社仏閣で十分払えるんだよ。
魔法使いじゃないと退治出来ないのには
それだけの怨霊がついてる。」
「えー。でも理由聞いてどうするの?って
思うんだけど。」
颯太は腕組みしながら、朔夜を見る。
「うん。理由聞かないと、また藤井さんに
怨霊が憑いたらたまんないでしょ?
解決策を探る。」
まずは、話を聞く。
早く焼肉屋さんに行きたいから、
早急に解決しないと。
澪央はそう考えていた。




