子連れ魔法使い
山だ!
キャンプだ!
…鬼の子だよぅ。顔が凶器だよ。
マジで普通の子供に見えるのかよ…。
キャンプに集まった友人達。
ミレアの魔法で、無事童丸がお子さまに見えるらしく、
「澪央、めちゃめちゃ小さい弟いたんだな!」
とか、
「お兄ちゃんっ」とか呼ばれたり
で、盛大に誤解された。
ペットの鬼だよ…
だがしかし。
俺にベッタリな童丸。
テント設営の時も、調理中も
ずっとベッタリ。いつも以上だった。
俺がうっかり焦がした肉。
塩辛くなった、何かの炒め物。
友人達は素直に
「くっそまずい!」と言って
澪央の謎料理って内容のインスタを
あげたりしていた。
童丸だけは、
「みおのごはんおいしいねぇー」
と、小さな手にフォークを持ち、
喜んでたべていた。
あぁ、鬼って味覚ないのか、と俺は感心していた
ただ、隣にいた颯太が、泣きながら
「っく…童丸ぅ、お兄ちゃん大好きなんだな
澪央の料理、こんなにまずいのに…
そんなに嬉しそうにして…童丸が
可愛くて、俺泣けてきたわ」
と言っていた。
いや、お兄ちゃんじゃねえわ!
颯太正気か大丈夫か
いや、大丈夫じゃねえな、その感覚…
そんな感じで時間が過ぎていった。
皆ではしゃいで、ひと息ついた時に
ミレアが耳元で、
「澪央。やっぱり月の魔法使い
いると思う。」
と囁いた。
俺はずっとミレアに対して
気になっていた事を、そっと伝えた。
「ミレア、教えてくれてありがとう。
でもさ…」
「でも?」
「俺の右の肩ばっかり乗るのやめてくんない?
いくらミレアがかるくても、ずっといたら
さすがに肩いてぇわ。」
俺の言葉に、ミレアがカチンとして
ポコポコ頭を叩いてきた。そして
ブリブリ怒って、少し離れた森の中へ
飛んでいった。
うわ、怒らせたな、とは思ったけど
ちょうど、マシュマロが焼けたと
呼ばれて、童丸をおんぶして
移動した。
だんだんと夜が近づいて、
空には綺麗な星が見え始めた。
山の澄んだ空気の中、大きな満月も
見えた。
月の魔法使いは、人間だとか
言ってたよな、
今日のキャンプは、
俺が颯太を誘ったように、
他の大学から来ている人もちらほらいる。
その中に魔法使いがいるとしたら…
ヤッベー、童丸が鬼ってバレてるはず。
うっわ、恥ずかしい
童丸の兄として、下手な演技をしていたからだ。
恥ずかしい気持ちを引きずりながら
夜が訪れてきた。




