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第二話 卒業式
寒さが少し残る三月中旬。
僕より一つ年上の彼女は家で明日の卒業式の準備をしていた。
普段あまりオシャレをしない彼女が真剣にネイルをしていたので、僕はできる限り邪魔せず生活しようと思っていた。
太陽が沈んできて、二人ともおなかがすいてきた。
僕はその日どうしてもオムライスが食べたくて、彼女にお願いしてみたが
「明日卒業式で忙しいからあなたが作って。」と初めて断られた。
夜遅い時間にお願いしても作ってくれる彼女が断るなんて相当珍しかったので、さすがに自分で作ることにした。
かといって作り方もわからなかったので、リビングからの彼女の指示を聞いて作っていた。
最初の工程であるバターをフライパンに引く作業。
早くもここで失敗した。
次の作業が遅く火加減も強くて、バターが焦げた。
完成したのは大きく卵がはみ出た中のご飯が黒いオムライスだった。
僕は完成直後
「もうあなたが作ったオムライスしか食べない」とかなりいじけていた。
見た目がかなり悪かったが、彼女は一口食べ
「味は美味しい。見た目は悪いけど。」と笑っていた。
僕は彼女のそういうところがたまらなく好きだった。
言葉で表すのは難しいけど、一緒にいるとどんなことでも笑える、そういうところにあったんだと思う。




