閑話 水面下の思惑
ある組織の話になります
明治35年、1902年。
ある組織が、一人の男によって密かに設立された。
それから100年以上の歳月が流れた。
時代とともに組織は少しずつ規模を拡大し、創設者の思想に共鳴する同志たちも増えていった。
そして、この日。
組織の会議室には、各部門の責任者たちが集まり、ある議題について話し合っていた。
重厚な円卓を囲む責任者たち。
しかし、誰もが気まずそうに視線を逸らし、自ら意見を口にしようとはしなかった。
会議室には、重苦しい沈黙が漂っている。
その沈黙を破ったのは、白髪の穏やかな老人だった。
「私は、彼ら一味は危険だと判断します。速やかに行動に移すべきです」
老人の発言に、円卓の一同がわずかに反応する。
組織のトップに座る男は、老人を見据えながら口を開いた。
「彼らには監視も付けておる。今すぐ行動を急ぐ必要もあるまい」
「それが、彼らはさらにSNSで情報を発信しています。その中には、看過できないものがあります。このままでは、組織の存続にも影響を及ぼしかねません」
老人の声に迷いはなかった。
しかし、トップの男はすぐには答えなかった。
しばらく考え込んだ後、静かに口を開く。
「お前がそこまで危惧するほどか……。だが、我らは水面下での活動を基本方針としている。あまり手荒な真似はやらん……」
「よろしければ、私に任せてください。悪いようにはしません」
老人は、穏やかな口調を崩さずに答えた。
トップの男は老人の顔をしばらく見つめていたが、やがて小さく頷いた。
「……分かった。任せる」
「ありがとうございます」
老人は軽く頭を下げた。
その表情には、相変わらず穏やかな笑みが浮かんでいた。
だが、顔を上げた瞬間、その口元がほんのわずかに歪んだ。
まるで、これから起こることを楽しみにしているかのように。
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