表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒薔薇の檻  作者: 麗夜
22/150

第22話「リーナの目」

その日の午前中、リーナがエレナを見て首を傾げた。

「エレナさん、今日なんか……雰囲気が違いますね」

「そうかな」

「なんか、柔らかい感じ。いつもはもっとピリッとしてるのに」

エレナは書類を整理しながら、平静を装った。

「気のせいじゃないかな」

「気のせいじゃないと思います。なんかいいことありましたか?」

「別に」

リーナはまだじっとエレナを見ていた。十七歳の少女は、時々大人より鋭い。

「……殿下に何かしていただきました?」

「仕事を評価してもらっただけ」

「そうですか」

リーナは引いた。でもその目が、完全には納得していなかった。

エレナは内心で息をついた。

気をつけなければならない。王宮は、観察する目が多い場所だ。些細な変化が、噂の種になる。

午後、エレナはルシアンの執務室に書類を届けた。

いつも通りのやりとりだった。ルシアンは書類を受け取り、短い指示を出す。エレナは頷き、メモを取る。

ただ——ルシアンの目が、書類を確認しながらエレナを一度だけ見た。ほんの一瞬。他の人間が見ていたら気づかないほどの。

でもエレナには分かった。

その目に、昨夜の記憶があった。

エレナも視線を一瞬だけ返した。それだけで、二人の間に言葉以上の何かが流れた。

退室して廊下に出たとき、エレナはまた顔が緩むのを感じた。

(これは、まずい習慣だ)

でも——まずいと思いながらも、心が温かかった。

その夜、エレナはルシアンの部屋に行った。

「考えた結果ですか」

ルシアンが言った。

「行くと決めたら、迷わない性格なので」

ルシアンが、低く笑った。

それが嬉しかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ