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黒薔薇の檻  作者: 麗夜
145/150

第145話「エレナとルシアン、隔てられた窓」

ルシアンはエレナに直接会えなかった。

皇帝の命令で、エレナのいる棟への立ち入りが制限されていた。

しかしライアンが、一つの方法を作ってくれた。

庭の向こうの窓。

エレナの部屋の窓から庭が見えて、庭の反対側からであれば——距離はあるが、顔を見ることができた。

ルシアンは庭に立った。

窓の向こうに、エレナが見えた。

双子の一人を抱いて、窓の外を見ていた。

視線が合った。

エレナが、少し目を見開いた。

ルシアンは動けなかった。

遠い。声は届かない。触れられない。

でも——見えた。

エレナが、窓を少し開けた。

「……ルシアン」

かすかに、名前を呼ぶ声が聞こえた。

「ああ」

「来てくれたんですか」

「来た」

「……子どもたちに、会えましたか」

「会えた」

「レインが——あなたに似ていますよね」

「……ああ」

エレナが、少し笑った。

窓越しの、遠い笑顔。

でも——確かに、エレナだった。

「また来ますか」

「来る。毎回来る」

「……待っています」

そこへ——廊下から足音が来た。

侍女が、エレナに何かを言った。

エレナが窓を閉めた。

ルシアンは、閉まった窓を見た。

それだけだった。でも——胸の中に、確かな温もりが残った。

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