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第144話「レインとソーン」
ルシアンが双子に初めて会ったのは、翌日だった。
ライアンが案内してくれた。
乳母が二人の子を抱いていた。
ルシアンは近づいた。
小さかった。こんなに小さいのか、と思った。
一人が、目を開けた。
銀灰色の目が、ルシアンを見た。
「……レイン、か」
乳母が頷いた。
ルシアンは、その目を見た。
自分の目と、同じ色。
「……」
言葉が出なかった。
これほど言葉が出ないことは、記憶にない。
もう一人——ソーンも、目を開けた。
深い緑灰色の目。エレナの目だ。
「……」
ルシアンは少し膝をついた。
二人の小さな顔を、ゆっくりと見た。
「……会いに来るのが遅くなって、すまない」
小さな声で言った。
子どもたちには、分からない言葉だ。でも——言わずにはいられなかった。
「必ず——そばにいられるようにする」
ライアンが、ルシアンを見た。
「……殿下」
「何だ」
「父上を、説得してみます」
「え?」
「完全には無理かもしれない。でも——この二人を見ていたら、私も考えが変わってきた」
ルシアンは立ち上がった。
「……ありがとう」
「礼はまだいい。まだ何もしていないから」




