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黒薔薇の檻  作者: 麗夜
141/150

第141話「知らせ」

ライアンがルシアンに手紙を送った。

帝国の正式な文書ではなく、個人的な手紙として。

『ルシアン殿下。エレナが双子を産みました。二人とも男の子で、元気です。一人はあなたによく似た目をしています。エレナは回復しています。記憶も、少しずつ戻り始めています。ただ——父上の意向で、状況は複雑です。焦らず、しかし諦めずにいてください。ライアン』

その手紙がルシアンに届いたのは、双子が生まれて十日後だった。

ルシアンは、手紙を読んだ。

双子。男の子が二人。一人はルシアンに似た目をしている。

「……エレナ」

ルシアンは手紙を握りしめた。

一人でいる部屋で、しばらく動けなかった。

子どもたちが生まれた。エレナとの子どもたちが。

なのに——そこにいられなかった。

立ち合えなかった。名前も、まだ知らない。

「……必ず行く」

ルシアンは立ち上がった。

アグネスを呼んだ。

「帝国への外交訪問を、再度申請する」

「殿下、前回断られていますが——」

「今回は違う形で申請する。ヴァルドラ王国と帝国の正式な友好条約の締結交渉として」

アグネスが少し驚いた顔をした。

「それは——国王陛下のお許しが」

「兄上は協力してくださる。昨日、話をした」

「……では、準備を」

「急いでくれ」

ルシアンは机に向かい、エレナへの手紙を書いた。

『エレナへ。二人の誕生、おめでとう。会いに行く。必ず。名前を教えてくれ。ルシアン』

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