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第136話「ルシアンの試み」
ヴァルドラに戻ったルシアンは、すぐに動いた。
国王に、帝国の状況を報告した。
「エレナが帝国の皇宮にいます。皇族の血筋だという判定が出たそうです」
国王が驚いた顔をした。
「……帝国の皇族?」
「詳細はまだ分かりません。ただ——皇帝がエレナへの関与を認めない意向を示しています」
「それは——外交上の問題になる」
「なります。だから——正式な外交ルートで動く必要があります」
「お前は、どうするつもりだ」
「帝国との関係を正式に構築して、その上でエレナとの関係を認めてもらう」
国王が少し間を置いた。
「帝国の皇女と、ヴァルドラの王弟——それは確かに、外交上の意味があるが」
「そういう計算ではありません」
「分かっている。ただ——帝国は強大な国だ。正面からぶつかれば、ヴァルドラが不利になる」
「では、知恵を使います」
「どういう意味だ」
「帝国が必要としているもの——それを、ヴァルドラが提供できるなら、皇帝の姿勢も変わるかもしれない」
国王が、ルシアンを見た。
「……お前は、エレナのためにここまでするか」
「します」
「何年かかっても?」
「何年でも」
国王はしばらく黙っていた。
「……協力する。ヴァルドラ王国として、帝国に正式な友好関係を申し入れる」
「ありがとうございます、兄上」




