表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒薔薇の檻  作者: 麗夜
133/150

第133話「皇帝の命令」

その夜、ルシアンに伝えられた。

「陛下の意向で——殿下の滞在は、明後日までとなりました」

ライアンの従者が伝えた。

ルシアンは静かに聞いた。

「エレナに会える時間は」

「明日、一時間だけ許可されています」

一時間。

「分かった」

その夜、ルシアンは手紙を書いた。

エレナへの手紙だ。これまで書き続けてきた手紙とは違う、今この状況のための手紙。

『エレナへ。記憶がなくても、お前はお前だ。声を聞いて、顔を見て——確信した。何があっても、私はここに来る。どこにいても、何度でも来る。待っていてくれ。必ず、状況を変える。ルシアン』

翌日の面会で、ルシアンはエレナに手紙を渡した。

「読んでくれ」

エレナは受け取り、読んだ。

読み終えて、顔を上げた。

「……何度でも来ると、書いてある」

「本当のことだ」

「でも——皇帝陛下が」

「兄上もいる。帝国の皇帝も、越えられない壁ではない」

「大げさです」

「大げさではない」

エレナは少し間を置いた。

「……私のことを、そこまで」

「そこまでも何も——お前を見つけるために、何ヶ月もかかった。それだけのことをする理由が、あるかどうか分かるだろう」

エレナの目に、涙が浮かんだ。

「……ありがとうございます」

「礼はいらない」

「言います」

ルシアンが、エレナを見た。

「覚えているか、それ」

「何を」

「礼はいらない、と言ったとき、お前はいつも——言います、と返した」

エレナは少し驚いた。

「……そうだったんですか」

「そうだ」

「では——体が覚えていたんですね」

二人は、静かに笑った。

一時間が、あっという間に過ぎた。

ルシアンが去る日、エレナは見送った。

「また来ます」

「……はい」

「待っていてくれ」

「はい」

ルシアンが馬に乗り、去っていった。

エレナはその背中が見えなくなるまで、見送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ