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第126話「手がかりと壁」
ルシアンの訪問申請に、帝国から条件が付いた。
「正式な外交使節団としての訪問は受け入れる。ただし——個人的な調査や、皇宮内の人物への接触は認めない」
明確な壁だった。
ルシアンは表向きは外交訪問として入るが、エレナに会うことは、正式には認められていなかった。
それでも——入ることはできる。
「外交使節として入れば、情報は集められる」
ルシアンは従者に言った。
「殿下、慎重に動かなければ。帝国の皇宮で問題を起こせば——」
「分かっている」
訪問の日が決まった。一週間後だ。
ルシアンは待ちながら、できることをした。
帝国の商人、外交官、旅人——様々な人から情報を集めた。
皇宮に黒髪の若い女性がいる。皇后陛下と縁がある。表舞台には出ていない——それだけは分かってきた。
「エレナだ」
確信に近いものがあった。
でも——なぜエレナが皇宮にいるのか。なぜ表に出ないのか。何があったのか——分からなかった。
「倒れた、という話だった。体は大丈夫なのか」
それだけが、気になり続けた。
一週間は、長かった。
毎夜、ルシアンは眠れなかった。
草薬茶を飲んでも、効かなかった。
エレナがいないから、と——今では素直に思えた。




