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黒薔薇の檻  作者: 麗夜
114/150

第114話「瞳の色」

三日が経った。

エレナの体は少し回復したが、記憶は戻らなかった。

ライアンは宿に留まり続けた。従者たちは不思議そうにしていたが、何も言わなかった。

四日目の朝、ライアンがエレナの部屋に来た。

「少し話せるか」

「はい」

「お前の目を見せてくれ」

エレナは少し驚いたが、ライアンを見た。

ライアンが、エレナの目を細かく見た。

「……やはり」

「何ですか」

「その目の色——深い緑がかった灰色で、光の当たり方によって金色に見える。この色の目を持つ人間は、限られている」

「どういう意味ですか」

「帝国の皇族に受け継がれる目の色だ。ヴェルク帝国の王族の血を引く者だけが、この色の目を持つ」

エレナは自分の目を確認しようとした。手鏡を取って、見た。

深い灰色の中に、緑と金が混ざった目。

「これが……特別な色なんですか」

「帝国では知らない者がいない。この色の目を見れば、誰でもヴェルクの血筋だと分かる」

「私が……帝国の血を引いている?」

「可能性がある。それに加えて——」

ライアンが、少し間を置いた。

「お前の顔が、帝国の皇后——私の母に、非常によく似ている」

エレナは黙っていた。

「どういうことですか」

「母は二十五年前、一人の娘を産んだ。しかしその娘は、生後まもなく何者かに連れ去られた。以来、行方不明のままだ」

「……それが、私だと?」

「断言はできない。だから——確かめたい」

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