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黒薔薇の檻  作者: 麗夜
108/150

第108話「国王の変化」

九月、国王がルシアンを呼んだ。

「カルセンとの条約が正式に調印された。セルディアも、新しい枠組みを受け入れた」

「……ありがとうございます」

「礼を言うのはお前ではなく、私が言う立場だ」

国王が、ルシアンを見た。

「……お前は、この半年、何も言わずに仕事を続けた」

「言うべきことは言いました」

「エレナのことは言わなかった」

「……仕事で証明しようと思っていたので」

国王はしばらく黙っていた。

「……王妃に、叱られた」

ルシアンが少し驚いた顔をした。

「王妃が?」

「お前とエレナを引き離すことに加担したことを——王妃が、ずっと気にしていた。あれは間違いだったと、言われた」

「……王妃は」

「あの人は、私より人を見る目がある。エレナという人間を、最初から評価していた。私が外交上の都合で動かしたことを——責めていた」

ルシアンは黙って聞いていた。

「エレナは、今どこにいる」

「……まだ見つけられていません」

「探しているのか」

「ずっと」

「見つかったら——」

国王が少し間を置いた。

「……連れて帰っていい。私は——もう、反対しない」

ルシアンの目が、わずかに動いた。

「……本当に」

「お前が半年間、何も言わずに仕事で示したことは——私が間違っていたことを証明している。エレナが遠くから動かした関係が、この国を助けた。それは認めなければならない」

ルシアンはしばらく黙っていた。

それから——静かに言った。

「……ありがとうございます、兄上」

「礼はいらない。早く見つけて来い」

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