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オズ  作者: 紗パカルギ
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内心

「おはよう!美夏」

「…明日嵐が来るのかしら?」

美夏は真面目な顔でそう呟く。


「ちょっと、挨拶を無視してなんて失礼な!」

真はそう言って美夏の肩を掴む。


「だって真が遅刻ギリギリじゃない時間に学校に登校してるなんて…」

「私だってやればできる子だからね!?」

「いや、早起きだけはできない筈なのに…」

「な、いつもは目覚まし時計が悪い!」

「いや、目覚まし時計に罪はないね」

「なんかこの会話この前もしなかった?」

「これで十五回目」

「…そんなに?」

美夏は微笑みながら優しく頷いた。


真はごめんなさいと何故か謝ってしまった。


「で?何で真さんは今日はお早い登校なのかしら?」


美夏さん明らかにふざけていらっしゃる!私を馬鹿にしてらっしゃる!

「今日はたまたまだって!」

「本当に?」

「うん」

「…」

探るような目つきで美夏は真を見る。


だが何も言わずに

「明日やっぱり嵐だわ」

と言って笑った。


真は内心で美夏にお礼を言う。

きっと美夏は私の気持ちを読み取ってくれたのだ。オズ学園の人達の手伝いのことは誰にも知られちゃいけない。


とにかく美夏はきっと私の知られたくないオーラを感じとり追求しなかったのだ。


優しいな…美夏は。

私はいつも美夏のこの優しさに甘えている。ダメだなぁ…


「おい、奥橋」

「はい?…って…あ」

振り向くと海藤が立っていた。

一気に緊張状態に陥る真の身体。

「何?」と海藤は少し不機嫌な声で言う。あまりに真が見つめたまま固まっていたので無理はない。

いえいえ、今日も変わらずイケメンですよ。なんて言わないけど内心で呟く。

「いや、ただ、」

「ただ?」

「何でもないです」

「は?」


「それより、海藤君こそどうしたの?」

すると海藤は「手」と呟く。


うん?どういう意味かわからない。


「えっと…手?」

「いいからさっさと手をだせ」


先程よりも苛立った声で海藤は真の片腕をグイッと自分の方に寄せる。


そして真の手に何かを持たせた。


真は手に持たされたモノを見る。


指輪だった。


えっと…


「海藤君、これは?」


「つけてみろ」

「…はぁ」


真は渋々指輪を右手の人差し指にはめる。


その途端《声》が聞こえ出した。


《奥橋さん海藤君とどういう関係なの!?》

《羨ましいな~!!私だって海藤君と…》

《海藤君海藤君海藤君海藤》

《指輪をはめる関係だったなんて…》


うわー…なんか全部海藤君loveの人達の心の声じゃない?

怖いよ~絶対後で冷たい目で見られるよ~


《奥橋…声聞こえるか?》


!!海藤君?

《あぁ。つーわけで、オズ捜し頼む》


え?いやいや!全然わからないんですが!?

《はぁ…だからその指輪はめれば内心ダダ漏れ状態のやつらしかいないこの教室内で楽にオズ捜しできるってことだ》


はぁ…まぁ…少し理解しましたけど…


《んじゃ、後よろしく》


はい?

《俺は今日は寝る》

はいぃぃ!?

ちょ…そんなこと言われても…


《大丈夫大丈夫。お前ならできる!》


適当だ…この人適当だ…


《適当で何が悪い》

あ…そうか。私の内心も聞こえるのか

《当たり前だろ。…お前、実は馬鹿か?》


バカじゃない!です!

《ふーん…》


何その答え!

《別に?》


海藤は真にニヤリとした顔で


「じゃ、そういうことで」

そう言うが早いか自分の席に座り机に突っ伏して寝る準備に取りかかりだした。


……


真は内心で黙った代わりに海藤を睨みつけた。


そしてそれと同時に周りからの視線が…うわぁぁ


「真、あんた海藤君といつからそんな仲だったの?」

美夏は驚いた表情のまま聞いてきた。


「・・・・ちょっとね・・・」


真はそれだけしか答えられなかった。


どうやらこの指輪をはめている時だけしか他人の心の声は聞こえないし、あんまり遠くの人の声は聞き取れないようだ。


とは言っても教室の中にいる人たちの声は全員聞こうと思えば聞けるほどの範囲らしい。


そして特に聞きたいと思った人の声に絞ることもできるとわかった。


恐ろしい道具だな・・・・

そんなことを真は内心で思ったが自分の心の声はオズ学園の人たちにしか聞こえていない。


まぁだからこそ恐ろしいんだけどね・・・・・

あぁ、いけないまた内心で呟いてしまった。




海藤は本当にずっと寝ていた。有言実行なのはすごいのだがそこは頑張ろうよ・・・・


海藤が働かないので結局真は指輪をずっとつけっぱなしで一日を過ごしてみた。


でも、もちろん極力聞きたいときにだけ聞こえるように調節していた。

美夏の内心は見なかった。親友の心の中を無断で見るのはなんか申し訳ない。


なんやかんやで指輪をつけたまま放課後になった。


真とオズ学園メンバーは進路指導室に集合していた。

中丸先生が全員集まったのを確認すると全員から指輪を回収した。

「どうだった?何か収獲あったか?」

中丸先生は首を傾げながらみんなに向けてそう言った。


「俺のクラスは別に怪しい人物はいなかった!」

新崎が元気よくそう答える。


「私のクラスも特に目立った生徒はいませんでしたわ」

宮崎は可愛らしい声でそう言う。


「私のクラスも二人と同じような感じです」

はきはきとした声で白木が答える。


「僕のクラスも同じくです」

若宮もそう答える。


「・・・・・・」

そんななか海藤は黙っている。


「?拓斗のクラスは何かあったのか?」

中丸先生はそう海藤に聞く。


「さぁ?俺、寝てたから」


みんなキョトンとした表情になる。

真はあわてて答える。

「あ、私のクラスもオズらしき人は誰もいませんでした」


「ありがとう奥橋。やっぱり拓斗のクラスに一人協力者入れといてよかったな~」

新崎は真にキラキラ笑顔でそう言葉をかける。


あぁ、私はこの人の身代わりみたいなもので協力を頼まれたのか・・・と何故か無性に腹立たしい気持ちになった。


「奥橋さん、あと数日間拓斗の面倒よろしくね」

中丸先生は真に微笑みながらそう言う。


「・・・・はい」

真は無理やりに愛想笑いを浮かべてなんとか持ちこたえた。


「さて、やはりこれじゃきりがないってわかった。なので明日から少ししかけていこうと思う」

中丸先生はそんなことを言った。

仕掛ける!?

真は内心で一気にあせった。


「何すんの?」

新崎は瞳を輝かせている。


「それはだな・・・秘密」

「「「「はい?」」」」」」

皆の声がそろった瞬間だった。

「明日になってからのお楽しみってことで。んじゃ、解散!」







その夜、真は自分の部屋でベッドに寝転がりながら天井を見つめていた。

「明日、休もうかな」

あながち本気でそう考える真であった。

内心をのぞかれるのは一番恐ろしいですね。

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