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オズ  作者: 紗パカルギ
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交流会④

「柳先輩…いい加減起きてくださいよ…」


真は自分の首にからみついた柳先輩の腕を少し揺する。


が、柳先輩は相変わらずスヤスヤと気持ちよさそうな寝息を立てている。



あれからもう一時間は経過しているはずなのに何故起きないんだよ柳先輩!




交流会はなんかもうそろそろ終わるような雰囲気が伝わってくる。

案の定、東堂先輩からのお言葉でこの後はまだ話したい人どうしが場所を変えて仲を深めてもよし、ここで話しこんでもよし、帰ってもよし、ということを言われた。




「じゃ、解散」

というが早いか東堂先輩はどこかへ去っていった。



他の人達も動き始めたので真は慌てて柳先輩の腕を軽く叩く。



「や、柳先輩!ほら!皆お開きだから帰り始めましたよ!」

「ん…」


「ちょ、い、一時間経ちましたよ!?」

「……わかった」

「!?」



突然の耳元での柳先輩の声に起きないだろうと思っていた真は固まる。




約一時間ぶりに真は柳先輩から解放された。



真はその瞬間にソファーから飛び退く。


また捕まっては大変だからだ。




柳先輩は怠そうにゆっくりと起き上がって一つ大きな欠伸をする。



なんか猫みたいだな…



真はそう思いつつ柳先輩を見ていた。



すると、先程まで焦点が合っていなかった金色の瞳が真を捉えた。



真は思わず固まる。



「奥橋、真」

「は、はい」


柳先輩は真の名前を呼んだ後ゆっくりとソファーから立ち上がった。



そして、真の目の前で真を見下ろす。



ここで真はふと気づく。や、柳先輩、意外と背が高い。




真が柳先輩の顔を見上げる形になっていた。




「柳先輩、どうしました?」



柳先輩がなかなか話さないので真は痺れを切らして自分から話しかけた。




その言葉を聞いた途端、金色の瞳が少し細められた。





あ、笑った。




美形に近距離で微笑まれたらもうノックアウトされますよ?



真は自分の顔が真っ赤になっているのが自分でもわかるくらい顔が熱かった。




「奥橋真、またね」柳先輩はそう言って真の頭を優しく撫でるとどこかへ行ってしまった。





残された真は自分の顔の火照りを手でパタパタと扇いで覚ますことに集中することにした。




どうしよう、キングの先輩方は惚れてしまいそうなくらいにかっこいい。


一年しか学年変わらないのになんか色気が、大人びた色気が凄い。



拓斗や光も勿論美形なのだが、柳先輩の微笑みは今まで見た美形の微笑みの中で一番反則だと思った。




あんなの見せられたら誰だって照れるわ!




あぁ、どうしよう、このドキドキは、もしや…青春!?


そんな時、


「おい」


「にょ!?」


突然呼ばれたので反射で変な声が出てしまった。



「お前…熱でもあんの?」


そう言って拓斗が真の顔を何故か不機嫌な表情で見ている。



「いやいやいや!違うよ!ただ、柳先輩が」

「何かされたのか!?」

「??いや、違うよ。ただ、柳先輩の笑顔は、反則だよね…」

「は?」

「何でもな~い」




真は少し意地悪気に微笑みつつ拓斗にそう言うと、何故か拓斗は俯いた。



「?拓斗?」

真は俯いた拓斗の顔を覗き込もうとしたがふいと顔を逸らされた。




「どうしたの?」

「……うるせ、馬鹿」

「えぇ!?なんで!?」




真はただただ俯いた拓斗の表情は見えなかったが耳が赤くなっていたことに気づく。


「耳、赤いけど…拓斗の方が熱あるんじゃない?大丈夫?」

「…ばーか」

「いや、だから何でだよ!?」



結局、耳が赤くなっていた理由を拓斗が口にすることはなかった。







真はその後寮に戻った。




「で、何してるんですか?清子先輩」



只今、二年生キング専用の寮内の一階。

真が戻ってきて最初に目に飛び込んできた光景は桃色の長い艶やかな髪をなびかせて、ツリ目の色っぽい桃色の瞳をキラキラ輝かせた麻美清子先輩が何故か恋を大きな胸に押し付けて抱き締めている光景だった。



心なしか恋の息が止まっているように見える…



「あ!真ちゃん!おかえり~!!柳君の抱き枕になった感想は~?」


清子先輩はニヤニヤしながら真にそう問いかける。


「だきっ!?も、もう心臓が止まってしまいそうでしたよ…」


「真ちゃん、柳君に懐かれたみたいだからアドバイス!柳君って猫みたいな人だから、真ちゃんきっと振り回されそうね~」

「今回は油断しただけなので、次からは柳先輩に会ったときは気をつけるつもりですよ?というかアドバイスは!?」


「ふふっ、頑張って☆」


何ですかその☆の意味は!?



結局アドバイスなしですか!!



「あ、ところで清子先輩」

「なぁに?」

「恋を…放してあげてくれませんか?」

「あ、いけない!」


清子先輩はすぐに抱き締めていた恋を解放する。


と同時に恋は「まことぉ」とか細い声で言いながら真に抱きついた。



「ごめんね~恋ちゃん!つい可愛くって!」



「だ、大丈夫です…」

と言いつつ恋は真の後ろに隠れた。



言葉と動きが合ってないよ恋…


真はそう思いつつも恋の頭を撫でてやるのだった。


「恋、言葉と動きが合っていませんね」「まぁ…恋らしいじゃない?」

「そうですね」

「…っていうか、光!?いつからそこに!」

爽やかスマイルがキラキラ眩しい光がいつの間にか会話に参加していた。



「今さっきですね」

全然気がつかなかったんだけども。




「ところで、真。僕の頼みを聞いてくれませんか?」

「あぁ!うん、いいよ!場所、移動したほうがいい?」

「いえ、ここで構いません」



真はこのとき光からの頼み事がまさかあんなに大変なことになるとは思ってもみなかった。



「演劇に出てくれませんか?」

「…………え?」



演劇って、あの演劇だよね…



「私が、出るの?」

「はい。是非真に演劇に出てほしいから頼んできてくれと部長から頼まれてたんですよ」



「いや、出るのはいいんだけど…経験者じゃないよ?というかやったことないよ?」


「構いません。指導しますから」


その時の光のスマイルは少し黒く見えた。

あれ?おかしいな。



「引き受けてくれますか?」

「…が、頑張ります!」

「良かった!」



その時、真の服をくいと引っ張った人物がいた。


「どうしたの?恋」

「真、演劇やるの?」

「うん、不安だけど何事も経験しなきゃ損だしね!!」

「経験…………」


すると、何故か恋は黙り込んでしまったので真は恋の顔を覗き込もうとかがむ。


「……る」

「えっ?何て?」

「わ、私も演劇やる!やりたい!!!……で、す」


最後は段々声が小さくなっていった。



真はポカンとした表情で恋を見つめつつ、次いで光を見る。



すると光は何故か優しく微笑んで恋を見つめていた。

そして、口を開く。


「構いませんよ」

「いいの?」

「はい、実は真の他に恋も誘えたら誘ってきてくれと頼まれてましたから」


その言葉を聞いてから恋はパァッと花が咲いたような可憐な笑みを浮かべた。


「さて、そうと決まれば今から挨拶しにいきませんか?」

「挨拶?」

「はい、演劇部に」

「い、今から?」

「はい、今から」


どうやら嘘ではなさそうだ。




真と恋は光に連れられて演劇部の部室内に入った。




そこは結構な大きさのホールだった。


ここが部室、だと?大きいな…

広さに目を奪われていたところで光が立ち止まった。

「真、恋、知っているとは思いますがこちらが我が演劇部部長の波田優心先輩です」



……………え?



「波田…先輩?」

そこには先程まで交流会で一緒だった背丈の大きなお母さん的存在だと判明した波田優心先輩が立っていた。




波田先輩は無表情で少しだけ頭を下げた。



「演劇部部長の波田優心だ」


まだ真がポカンとしていたからか波田先輩が自らそう言った。




あ、そういえば自己紹介の時に言っていたような気がする…

今思い出したけど。


「早速だが、台本を渡しておく」

「え?もう、ですか?」


波田先輩は力強く頷く。

「基本の発声練習などは勿論教える。がその間に台詞に目だけでも通しておいてくれないか。そうしたら時間短縮になる」



「わ、わかりました」


そうして真と恋にノート一冊分ほどの厚さの台本が配られた。



「まずは、オープニングの台本だけ渡しておく」




……まずは?


「波田先輩…台本って何冊ぐらいあるんですか?」


真は恐る恐る波田先輩にそう尋ねる。




波田先輩は少し微笑んで一言。



「二十冊くらいだな」





真達が演劇部にいるころ拓斗君は様々な怒り(真に対しての)をためています←


ここまで読んでくれてありがとうございます!!

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