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オズ  作者: 紗パカルギ
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交流会①

タイトルでは交流会なのにまだ今回は交流会までいかないというのは気にしないでください。

一体私はどうしてしまったのだろう。

あれから度々頭の中に映像が流れ込んでくるのだ。

しかもほんの数秒のものばかり。


どの映像も見たことがないものばかりなのだが、何故だか少し懐かしさを感じるという不思議な感覚に陥る。

真はこの症状を抱えたまま過ごしている。別に身体に支障はないのだから大丈夫だろうと思ったのだ。




そして、今日で春休みのちょうど半分に差し掛かった時のことだった。




「おい」

「?はいはい」

拓斗に『おい』という名称で呼ばれることに慣れてしまった今日この頃。

真は反射的に返事をしたものの突然自分の頬に手が滑りこんでくることは予想していなかった。


そしてゆっくりと顔を拓斗の方に向けるように頬に触れている手が仕向ける。


暗くて、でもとても綺麗な藍色の瞳に真が映っているのが確認できた。




何でこうなった。

真は頭の中で今までの行動を振り返るが思い当たることなど何もない。



今、真はキングの皆と春休みの課題をやっている最中だった。

いわゆる『勉強会』だ。しかも、同じ学年のキングみんなで。

そう、男女一緒にということである。


皆、自分のペアの隣に座るということに(何故か)なり、真は拓斗の隣に座ることとなった。


ちなみにここはキング専用の寮の一階である。

この無駄に大きい寮の一階は言うなればリビングみたいな場所だった。


ペアでソファーを陣取ったり、丸いテーブルを陣取ったり…

あれ、陣取ってる人ばっかりな気が…


わからない場所はペアに聞くかその他の子に聞くかでとにかく協力して課題を終わらせようではないか!ということだそうだ。


なにしろこのオズ学園の学力は高い。もう、本当に泣きたくなるほどテストが難しいのだ。


勿論、課題もちょっとやそっとでは終わらない量なのに全部難しいという鬼畜なもの。


だからこそ、ここは皆の(主に、光や恋や瀬木君の)力を借りて終わらせるのだ。






「お前、聞いてた?」

いけない、現実逃避をしすぎてしまったようだ。


「も、もう一度お願いします」

真は震える声でそう言って合掌。


何故震えているかというと目の前の人がものすごく怖い顔しているという理由ともう一つ。


ずっと頬に手を添えていやがるんだこの人。

払いのけようもんならきっと自分の命が危ないし、『何してんの~?』っていう軽いノリができる空気でもなさそうだ。


いや、『何やってんの~?』って言えるなら言ったのだが、何故か目の前のムカつくイケメンは真剣な表情で見つめているので、きっとそんなことを言ったら私は灰にされる可能性が高い。




「お前、何隠してんの?」

「ん?」

真は首を傾げる。

何か隠し事をしていただろうか、私は。


「その顔だとわかってないな?」

そんなに顔に出ていただろうか。


「言い方を変える。最近、変に動きが止まる時があるよな。何で?」

「動きが止まる…?え?私の??」

「自覚すらしてないのかよ」

そういいながら拓斗は真の頬に添えていた手でそのまま真の頬をつねる。


「いひゃい!てぃやくひょ!いひゃいれす!!(痛い!拓斗!痛いです!!)」

「最近、何か変わったことが起こったりは?」

「にゃいれす!!(ないです!)」

「本当に?」


真は首を大きく縦にふる。


すると、ようやく拓斗がつねるのを止めてくれた。


真はつねられた方の頬をさすりながら拓斗を睨む。

すると拓斗も同じくらい睨んできた。


「じゃあ、どうしてこの頃ボーっとすることが多いんだ?」

「そんなにボーっとしてる?」

「してる。寧ろ意識が飛んでることの方が多い」

「そんなに!?」


真は自分の行動を振り返ってみる。拓斗の言っている『ボーっとすること』はおそらくあの映像のことだろう。

確かに、ここ一週間は毎日一度は映像が頭に流れ込んでくるが、ほんの数秒だけだ。


そんなにおかしい行動ではないはずだと思う。


「数秒しかボーっとしてないよ?」

「時間の問題じゃねぇだろうが」

「あ、そうなの?」


拓斗はとても冷たい目で真を見つつ大げさにため息を吐く。


「お前…本当に馬鹿なんだな」

「そ、そんな真面目な顔で言わないでくれませんか!?すごい傷つくから!!」

「傷つくってことは自分でも自覚はしているんだな」

「してない!!何で少し悲しそうな表情なのかな!?」

「…自覚があるのに治らない馬鹿は…つらいよな」

「駄目だこの人私の言葉聞いてないよ!!」



真は頭を抱えつつ「ひどい」と呟く。

そんな時にかぎって今日はまだきていなかったアレが頭の中に流れ込んできた。




『誰ですか!?あなたたちは!?』

『せんせぇ、こわいよぅ』

『おかぁさぁん』

『あのくろいのなに~?』



いろんな声が飛び交う中、おそらくここは保育園のようなところなのだろう。

子供たちは皆、お遊戯会でもするのか、衣装をまとっている。

その中に、おそらく私(真)もいた。

初めてこの映像が流れ始めた時に見た魔法使いの衣装を身にまとっている。

そしてそんな子供たちを背に先生らしき女の人が怖い顔付きで睨み付けている先には黒衣の者が二人。

顔は大きなフードを被っているため見えない。







そこで映像は終わった。



一体どういう状況だたのだろうか。

明らかに、何か嫌な予感しかしない雰囲気だったとは思うのだが。







そんなことえを考えていると声が聞こえてきた。


「おい、真!!!」

「ふぁいっ!?」

「やっぱりお前何かあったろ」

「え、いや、今のは…えぇっとですね」


どう言おうか真が迷っていると拓斗の手が真の頭を掴んで引き寄せた。


コツリ



拓斗の顔が至近距離過ぎて見えない。いや、というよりも今、私はどういう、



「…熱はないか」

そう言って拓斗は何事もなかったように真の頭からそっと手を離す。


今、熱を測っていたんですか!?体温計でよくないですか!?


そんな言葉が真の頭の中を駆け巡るが口はただパクパクと動くだけで役に立ちそうもなかった。

ただ、真は自分のおでこに手を当てつつ拓斗を見つめることしかできない程パニックに陥っていた。

なのに、拓斗は不思議そうに首を傾げつつ「どうした」と言っているではないか。


いや、よくそんな平気な顔をしていられますよね!?普通こんなことしたら、誰だってするほうもされるほうも恥ずかしくなるっての!!


「お前、顔がさっきよりも赤くなってないか?」

「いやいやいや、気のせいでしょう」

「ふーん、……何、もしかして照れた?」

「照れるわっ!拓斗だから照れるだろっ!!」


そう言い返すと拓斗は少し驚いた表情で真を見つつ何故か少し機嫌が良くなった。意味が分からない。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「やっぱり奥橋って天然かもな~」

そう言って真と拓斗の事を見つめてニヤニヤする霧。

「天然…なのか、奥橋さんは。知らなかった」

その言葉に真面目な顔で驚く蘭丸。

「まぁ、蘭丸も天然だからしょうがないんじゃないか?」

「俺は、天然ではないぞ?」

「すごく真面目な顔して言ってるから本心なんだろうけど本当に天然の人って自分は天然ではないって言い張るんだってさ」

「いや、だから俺は天然ではn」

「はいはい!!」


霧はなだめるようにそう言ってから周りを見渡す。


「課題もう終わったからさ~暇だな、蘭丸」

「課題が終わっても予習をすればいいだけだろう」

「それもいいけどさ~、今は春休みなんだぜ?」

「そうだな…?」

「その返事は絶対に俺が考えてることわかってないでしょ」

「悪い。わからん」

「だと思った。つまりね、皆でどこかへ遊びに行こうってことだよ!!」


最後の言葉は皆に聞こえるように霧は大きな声で言う。

案の定、皆の視線が霧に注目した。


「明日さ、この十人で遊びに行こうぜ!!」

「遊びに行くって…どこに?」

「じゃあ…」



霧が口を開こうとしたその時、誰かが外から入ってきた。


「明日はお前ら全員交流会に行くことに決定した!!」

突然入ってきて突然予定を口にしたのは真の担任でもある中丸先生だった。


「「「交流会?」」」


「あぁ、新三年生の生徒会とお前ら新二年生の生徒会の交流会だ。だから明日は予定を開けておくように!!」

「えぇー!?今、予定を入れるつもりだったんだけど」

霧が残念そうな声でそう言うと中丸先生はとても爽やかな笑顔で

「明日は楽しい楽しい交流会だ。食事も美味い物が沢山出るぞ」


「「マジすか!?」」


「おい、お前がなんでそこで霧と声を揃えるんだよ」

真は拓斗にそう突っ込まれてやっと自分のテンションが上がったことに気づいた。



美味しい物が沢山とか、いや、いつもの学食も十分美味しいけどもっ!やっぱり交流会だからいつもとは違った美味しい食べ物があるはず!!うわぁ、考えただけで涎が出そうだ…



(目が輝いてやがる)


そんな真を見て拓斗はただただ呆れるのだった。





ここまで読んでくれてありがとうございました!!

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