新崎霧①
結構間があきました。
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大役に任命された日の放課後、真は早速困っていた。
チラリと海藤の席を見る。
海藤は机に顔を伏せて寝ていた。
帰りのホームルームから十分が経過していた。
どうすればいいのかな…この状況。
今すぐに海藤を起こして職員室に行きたいのはもちろんなのだが、問題は…
真はまるで専属のSPのように海藤の周りに張りついている女子生徒達を途方のくれた目で見つめる。
例えるならば私は総理大臣の演説中に何も武器を持っていない状況で挑むテロリストかな…
もし海藤に触れようものなら私はきっと…
ダメだ。これ以上は想像するだけでも恐ろしい。
真は小さく溜め息をつく。
(どうしたんですか?)
いや~、海藤君を連れて職員室に行きたいんですけどね…
(?…何かあったんですか?)
いや、ただ海藤君が眠ってしまったので…
(あぁ…成る程。叩き起こして大丈夫ですよ)
起こしたいんですけどね…周りの女子生徒の方々が…恐いんです。
(…わかりました。少し待っていて下さい)
わかりました。
ここまで会話をしてきた真は違和感に気づく。
今、私は誰と会話してたんだっけ?
てか、私はさっきから言葉を一言も発していないはず。
今、誰かが私の内心に語りかけてきた。ということになる。
なるほど!私はテレパシーで会話をしていたってことか!
……あれ?それって、つまり、
「えぇぇぇ!!?」
私の叫びに海藤の周りの女子生徒達は少なからず驚いたようだ。
「つまり、…い、いやいやいやいや、でもさっきのは相手が語りかけてきただけだから誰でもできることなんだよ!うん!はは…ははは」
ブツブツと自分を落ち着かせるためにしゃべる私を女子生徒は不気味なものを見るかのような目で見ている。
そんな視線など気にもせず、真は自分を落ち着かせるためしゃべり続けていた。
その時教室に1人の男子生徒が入ってきた。
「拓斗!いくぞ!」
そこにいたのはキラキラ笑顔の新崎霧だった。
他の女子生徒たちが黄色い歓声を上げる。
そんな女子達には目もくれず、新崎はズカズカと海藤へと歩み寄る。
そしてとうとう海藤の目の前まで来た。
「拓斗!いくぞ!」
再びそう呼びかける新崎。だが海藤はピクリとも動かない。
すると、新崎は少し黙ったあとなぜか教室の窓を開けて指笛を吹いた。
ピイィィィィィィィィィィ
一体何をしているんだろう
真は一人首をひねる。
だがその疑問もすぐに解決された。指笛が鳴ったあと、一羽の鳩が窓のふちに飛んできた。
そのあとから、すごい勢いでスズメ、カラス、ウグイスなどのとにかく鳥がわんさか集まってきた。
そして何羽いるのかわからないほど集まったところで新崎は
「来てくれてありがとな。ちょっと頼みがあるんだけど」
とあきらかに鳥たちに話しかけている。
動物と話せるオズってこと?そんなオズあるんだ・・・・
と真が一人で驚いているうちに新崎は鳥たちに何かをしゃべり、そして
「んじゃ、一つ目が覚めるようによろしく!」
と言って耳を塞ぐ。
今まで黙っていた真は思わず尋ねる。
「ちょ、新崎君!あの、何をする気で・・?」
すると新崎は耳を塞いだまま真に向かって
「奥橋!耳塞いだほうがいいよ」
と言われる。
真はとっさに耳を塞いだ。その時真はハッと思い出す。
周りの女子生徒たちは!?
見るとなんとまぁ一人残らずいなかった。
「何で?」
「さっき俺が今日は帰ってくれるように頼んだらすぐ帰ってくれた」
新崎がそう言って真を落ち着かせる。
あぁそういうことか・・・あれ?なら私もその流れで逃げればよかったのでは?
という後悔が押し寄せてきたがもうどうにもならなかった。
「奥橋!来るぞ」
「え?は、はい」
真は耳をより強く塞いだ。その瞬間、
強風が吹いた。
真は鳥たちの鳴き声だけで体が吹き飛ばされそうになった。
いろんな鳥たちの鳴き声が重なってすごい爆音となっている。
数十秒それは続いた。
音が止んだ後、真はゆっくりと耳を塞いでいた手をのける。
教室は静まり返っていた。
まさか、さっきの爆音でも海藤は寝ていたというのだろうか?
海藤は今さっき見たときと一ミリも変わっていない。
「すごい・・・・あの爆音でも眠れるなんて・・・」
と真が呆れつつ感心しているとき新崎は鳥たちにお礼を言っていた。
そのあと鳥たちは一斉に散り散りに飛んでいってしまった。
「さてと、奥橋、拓斗を起こしてくれ」
「えっ?今さっきの爆音で起こしたんじゃ?」
すると新崎はいたずらを成功させた子供のような目で真を見つめながら
「海藤をゆすって起こしてみてくれ」
と言う。
言われた通り真は海藤の肩をゆすってみる。するとうつ伏せで寝ていた海藤がゴトリと顔を横に倒した。
「海藤く・・・・あれ?なんか・・・・目が・・虚ろじゃない?」
「いやぁ、あの近距離で鳥さんたちのアラーム聞いたら耳の鼓膜破れてるんじゃね?」
海藤はよく見るとピクピクと痙攣していた。
「海藤君!?ちょ、大丈夫?」
「あははははははは!!!!」
真が混乱する中新崎は一人大笑いしていた。
新崎霧・・・・・すこし悪戯っ子みたいですね・・・・
真は一人内心でそう呟いた。
悪意のない悪意。
一番たちが悪いですよね…




