表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オズ  作者: 紗パカルギ
58/72

ペアの人は…

「きゃぁぁぁぁ!」

赤姫恋は只今、落下している真っ最中であった。

集めたパズルを壁にはめ込んだら何故か自分が落下することになってしまったのだ。

どうしようどうしようと頭が混乱している中、地面が迫ってきていることだけははっきりと理解できた恋は自分は地面に叩きつけられるのだろうと思い強く目を瞑る。



が、いつまでたっても痛みなどまったくなく誰かにキャッチされたようだ。


恋が恐る恐る目を開くとそこには金髪碧眼の堕天使(勝手に恋が呼んでる)の顔があった。

「恋、大丈夫ですか?」

「…うん。大丈夫です…あ…ありがとう」


そう言うと若宮光はニコリと微笑んでそっと恋を下ろしてくれた。


こういうこと(横抱き)をサラリとやってのけるのできっと若宮は「王子様」などと呼ばれているのだろうと恋は半ば感心してしまった。



と、ここで恋はやっと辺りを見渡す。どうやらどこかの一室のようだ。

高価そうな黒色の皮のソファーが一つ置かれているだけのすごく違和感のある内装ではあるが。

そして恋はある重大な事実に驚愕する。


「…真がいない」

「他の皆もいませんね」


光は少し苦笑しつつ恋の言葉を訂正する。が、当の本人はまったく気づいていない。



「光が一番最初に試練をクリアしたの?」

「わかりません。ただ、この部屋に来てから今まででは、恋しか見ていません」

「そっか…」


そして少しの沈黙。

恋は真達女の子には積極的に話せるようになったのだが、異性に対してはまだまだ免疫などなく、こういう空気ではどうしたらいいのかまったくわからない。


(どうしよう)


気まずい沈黙が続く中、それを先に断ち切ったのは光だった。

恋がどうしようかと悩んでいるうちに光は口を開いた。


「恋はどんな試練をクリアしてきたんですか?」

「え?えっと……ぬ、ぬいぐるみ」

「ぬいぐるみ?」

「動いてしゃべるぬいぐるみさん達のほつれた部分とかを縫うお手伝いとか、あと、人食い花を駆除したりとか……こ、光はどんな試練があったの?」


恋がそう問いかけると光は少しキョトンとした表情をした。

まるで恋から質問されるとは思っていなかったと言っているような顔に恋は少しムッとしたが光はすぐにいつもの王子様スマイル(恋が勝手につけた)で答える。


「僕は生きている家の病気を治したり、ドラゴンと戦ったり…」

「生きている家??」

「はい。その言葉の意味通りどこにでもある一軒家全体が生きているんです。ちゃんと目と口は付いてましたよ」

「……」


恋は目と口のついている家を想像してみた。ちょっとしたホラーだった。


そんな恋の表情を見て光は苦笑し「少しシュールな光景でした」と感想を言って笑う。



その言葉につられて恋は「なんかわかる」と同意した。



会話が今から弾もうとしているまさにそんなときだった。



「確かに、目と口だけじゃ、不気味だな」


「「!?」」


光と恋は突然聞こえてきた見知らぬ声に反応して二人同時にソファーを見る。

するとそこには先ほどまで誰もいなかったはずなのに一人の男性がどっかりと足を組んで座っていた。


「あなたが担任の方ですか?」

光はそう男性に問いかけつつ恋を後ろにかばうように立つ。


「くくっ…そう警戒すんなって!そうそう!!俺がお前らの担任になる城戸きど ひびきだ。皆からはキドリンと呼ばれている。よろしくな」


そう言って城戸は、キメ顔でこちらを見ていた。


黒髪黒目で少し顎に髭があり、なんというか、ワイルドな人だなという印象を恋は持った。

肌は日に焼けており浅黒く服装はなんともラフな格好でジーパンにTシャツと教師なのかと言いたくなるほどのゆるゆる感。

顔は濃いがイケメンの部類に入ることは間違いなかった。

ただ、なんかチャラチャラしている。耳にはピアス、筋肉ががっしりついた腕にはなんの模様かわからないが、タトゥーが彫ってある。



(え…この人先生なの??白い粉を密売しているような人じゃないの?)


恋は自然にそんな疑問が内心で湧き上がってきたが口に出すことは我慢した。

以前、真に言われたのだ。「疑問に思っても初対面の人にはすぐ口にしちゃだめだよ」と。



光は恋が固まっている間に淡々と話し出した。


「そうですか。これからよろしくお願いします。僕は」

「若宮光、だろ?んで、そのうしろのちっこい嬢ちゃんが赤姫恋」


ちっこいお嬢ちゃんと言われて恋は少しムッとしたが堪えた。

なぜなら以前、真に(以下略


「よろしくお願いします。城戸先生」

恋は光の後ろからしぶしぶ姿を現してそう言った。

すると、城戸は「そう、固くなんなって!!」と言ってソファーから立ち上がる。


そして城戸は自分自身に親指を突きつけつつすごく真面目な顔でこう言う。


「俺の事は以後、キドリンと呼ぶように」



「「……」」


恋も光も少しの間沈黙。

そして二人同時にこう言った。


「「わかりました。キドリン(棒読み)」」


「おいおい、そんなに感情がない呼び方しなくてもいーじゃねーか!」

「すみません、つい棒読みに…」

「光…悪気はないのか?」

キドリンは少し悲しそうな表情でそう問いかける。

すると恋がすごく真面目な顔でこう言い放つ。

「キドリンっていうわりにはあんまり可愛くn」

「恋はキドリン呼びが気に入ってるそうですよ!!」


光は恋の言葉をさえぎってそう言った。

キドリンは少し寂しそうな顔で「そういうタイプの子なんだな」と呟いた。


そしてすぐに先ほどの笑顔に戻りキドリンは光と恋の頭をワシャワシャと撫でる。


「お前らは教えがいがありそうだ!!」


そう言って大きな笑い声をあげるのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


~とある美術館のような場所~


「……あ、あの、ステラ先生」

真っ赤な髪と瞳を持つ美少女こと白木琴音は控えめな声でそう口を開く。


「だから、中丸は私の事を本当は好きなくせに…って何かしら?」

金髪碧眼の女神(自称)ことステラ・ウォーカーは本当に不思議そうな顔をして琴音の方を見る。


「ステラ先生が私と愛奈の担任ということですよね?」

「えぇ、そうよ。光栄に思いなさい!この美の女神のステラ・ウォーカーの生徒に選ばれたということはあなたたちが美を追求することを許されたってことなんだから」

「は、はぁ」

「で、質問はそれで終わりかしら?じゃあ、話を戻すわね、そうそう、中丸が何で私を好きかって」


(これから先が思いやられますわ…)

オレンジの髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ白木琴音と同じく美少女こと宮崎愛奈はこっそりとため息を吐いたのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


~とある図書室~


「なぁ、蘭丸!!この本読んだことある?」


そう言って新崎霧は分厚い本を取り出す。

すると瀬木蘭丸の眼鏡のレンズの奥の濃い青色の瞳がキラリと光った。

「ある」

「まじで!?すげぇ!!じゃあ、これ!」

「それもある」

「なら、これでどうだ!!」

「ある。というか、ここの本棚に置いてある本は一通り読んだことがある」

「何ーっ!!お前、本当にすごいな!!」

「本が好きなだけだ」


そう言いつつ蘭丸は少し目を逸らす。


そんな蘭丸に誰かが声をかけた。

「ここの本の内容はすべて知っているということか。大したものだな」


「!あんたが、俺らの担任の先生?」


霧はそう言って目の前の人物に問いかける。


そこには長い紫の髪と瞳のスラリと細身の女性が立っていた。


「その通りだ。今日からお前らの担任になるすみ 京香きょうかだ。よろしくな」


「わかりましたー!京香先生!!」

その言葉に角と蘭丸はキョトンとした。

そして蘭丸は首を傾げる。

「霧、何故先生を下の名前で呼ぶんだ?」

「ん?だってその方が親しみやすいじゃねーか!!な!京香先生!!」

霧の悪意のない笑顔を向けられて角は反論できなかった。

「……勝手にしろ」


そう言って角はふいっと視線を横に逸らす。まるで照れ隠しに見えた。


「よっしゃー!んじゃ、京香先生は俺と蘭丸のこと呼び捨てしてくれるだろ?」

「………わかったよ」

「じゃあ、蘭丸も京香先生って呼ぶよな!」

そう言って霧は蘭丸の方に顔を向ける。

すると蘭丸は何も言わずに角を見つめた。

角はこの時、瀬木蘭丸という生徒は至って真面目で勉強熱心な生徒と聞いていたのでそれはないだろうと思っていた。


確かに新崎霧はとても人懐っこく他人との距離感を詰めるのが上手いと聞いているので突然の京香先生という呼ばれ方も頷ける。


だが、瀬木はきっと「角先生」と呼ぶだろうと角は何故か確信していた。



しかし、それはどうやら間違っていたようだ。



瀬木は綺麗に背筋を伸ばしてお辞儀をしながら自己紹介をした。



「初めまして。瀬木蘭丸です。どうぞこれからよろしくお願いします。京香先生」

「………せ、瀬g……蘭丸も下の名前で呼ぶのか?」

角は思わずそう尋ねてしまう。


すると、瀬木は顔を上げてこちらを見ながら無表情でこう言う。


「こう呼んだ方が、親しみやすいと言ったので…違いましたか?」

「い、いや、そのだな、……ま、まぁ…親しみやすくはなる…かもしれないが……っ何でもない」

(親しみやすいと言ったのは新崎なんだがな)


瀬木の瞳はまっすぐ角を見つめており、彼は本当に真面目に考えて本気でそう思って行動したのだろうなという思いはヒシヒシと伝わってきたので角は何も言えなかった。



(どちらも素直過ぎる生徒だな…)

角はこれから先のことを考えて少しだけ不安になったのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~とある体育館~


「足影って女の子?」

「俺を見て開口一番にそんな発言が来るとは予想してなかったが、違う。俺は男だ」


爽やかスポーツマンのような黒目と同じく黒色のピンピンはねている短髪男子の柏谷凪は本当に驚いたような表情で足影を見つめつつ疑問に思ったことを口にしたら即答で否定された。


目の前で額に怒りマークが張り付いているのは髪も瞳の色も濃い橙色のなんとも綺麗な顔立ちの男子、足影麓なのだが、髪が長く後ろの低い位置に一つに束ねてあるのだがなんとも女子が羨ましがるような艶のある髪で柏谷は思わず見つめてしまった。


そんな視線など気にせずに足影は怒った声で柏谷に話しかける。


「お前、今度また同じことを言ったら本当に」

「でも、赤姫さんが足影は実は女の子なんだよって言って」

「またあいつかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



足影は頭を抱えてしまう。

そんな足影を見つつ柏木は辺りへと視線を移した。


「そういや、他の奴らがいないよな」

「あ?あぁ…そうだな」

「そりゃあ、お前たちが儂の生徒だからじゃろーて」


「「は?」」


突然会話に入ってきた声の方をみると見た目は足影達よりも幼い少年が立っていた。


服装が夏に着るジンベイで足には下駄という格好で幼い顔立ちながらも余裕を感じさせる微笑みでこちらを見ている。


髪は白髪で瞳は真っ赤だった。


「儂の名前は雷蔵。お前らは儂のこと『師匠』って呼んでくれると嬉しいのう」

そういってさらに瞳を細めて微笑む少年はとても奇妙に見えた。


「じゃあ、あなたが俺らの担任の先生なんですね?」

「そうじゃよ。これからビシバシと鍛え上げてやるからな?覚悟しとけよ?」


足影は少し戸惑いつつ柏木の方を見る。柏木も足影の方を見てから力強くうなずく。


「「これからよろしくお願いします、師匠!!」」


二人の声は綺麗にそろった。


すると、師匠はホッホッホッと老人のように笑い、微笑み続けていた。






~新しく出てきた先生達~

城戸きど ひびき:通称キドリン。ちょび髭が生えたワイルドなおっさん。意外と面倒見が良い。年齢35歳。

すみ 京香きょうか:教師内ではこっそりと『京香様』と呼ばれるほどの強くてたくましい女性。不器用だが、本当は優しい性格。不器用だが。年齢28歳

雷蔵らいぞう:教師内では『不死身』などと呼ばれている。見た目と口調があまりにもあっていないが本人はまったく気にしていない様子。結構はっちゃけてる性格。年齢?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ