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オズ  作者: 紗パカルギ
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試練④

「じゃあ、よろしく頼んだぞ!マコト!!」

「うん、必ず、伝えておくから」


エステルという時の管理者である少女に別れを告げて歩き出す。

手にはパズルのピースと銀色の鍵が一つ。


これで五つのパズルのピースが集まった。

真はふとこの五つ目のピースが集まるまでに何日経ったのだろうかと考える。


「アリババさんので約1日、ラグさん(イケメン狼)のも1日、ワイナーさん(気の弱い巨人)のは三時間ぐらいでガルシア(騒がしい骸骨)のは半日、ニーナちゃん(可愛い小人)のは1日でエステルのは一時間ぐらいだから…4日間ぐらいかな?」


結構時間が掛かってしまったようだ。


(皆もうとっくに終わって外で待ってたら申し訳ないなぁ)

そんな不安を抱えつつ真は最初にもらった地図を見ながら出口を目指す。

そしてすぐにたどり着いたのだが、何故か出口らしきものは見当たらずただの行き止まりのようだ。

真は何度も地図を確認するが間違えてはいないはずだという自信はある。


少しの間周りを見渡しているとなにやら行き止まりの壁に模様らしきものを発見した。


真っ白な壁に薄い模様がありよく観察すると、横長い長方形の形が線で形作られており、中にはパズルのピースをあてがえと言わんばかりの線が入っていた。


真は自分が獲得したパズルのピースを一つ持ってどこにはまるのかを探してみる。

少し時間が掛かってしまったが場所が特定できたのでそこにパズルを押し当ててみた。


すると、パズルはまるでシミのように壁に染み込んでいくではないか。

そしてたちまちパズルは壁に彩りを加えるものになっていた。


同様に他の四つのパズルのピースもはめ込むことができた。

「これで、どうしたら…」

まだまだ壁の長方形にはパズルピースをはめ込むスペースが残っている。

もしかして、これをすべて埋めなければならないのだろうかと不安になりだした頃、突然どこからかインターホンの音が聞こえた。


ピンポーン



「?」

真は音の聞こえた方向がわからずに首を捻る。


そのとき、足下から何かの音が聞こえた。

真はすかさずに足下を見る。

とほぼ同時にガバッと廊下が抜け落ちた。


「えっ?」


真はまるで遊園地のあの恐ろしいアトラクションに乗った時の感覚に襲われる。

「うぇぁぁぁ!?」

そんな可愛さの欠片もない声を出しながら落下していく真はパニックに陥っていた。だが、死にたくないという思いが真の硬直した身体をなんとか奮い立たせてくれたおかげで少し頭が働きだす。


(風を使えば落下した身体の衝撃を和らげることはできる筈だから、落ち着け、真!集中!!)


そうやって自分を励ましながら真は落下しているという現実に怯えつつ風を自分の身体の周りに集めることに集中する。

先程から真っ暗で何も見えない状況だが、落ち続けている感覚はある。

だから真は目だけでチラッと下を見た。

すると、段々僅かな光が見え始めたので改めて風を自分に集めることだけに集中した。


(落ちるっ!)

真はギュッと瞑りたい目を頑張って開いて風を自分の身体にクッションのような役割をするように操る。


流石に落ちる直前に目は反射的に閉じてしまい焦ったのだが、真が想像していたよりも身体には衝撃が襲ってこなかった。


というよりも少しも痛くない。

(何で?)

真は恐る恐る目を開いてみた。

すると真の目に最初に飛び込んできたものは藍色の瞳だった。


「…」

「…」


真は状況が理解できずにただただその瞳を見つめる。

すると、相手は痺れを切らしたようで舌打ちをしつつ真を落とした。


ドサッ


「うぶっ!」

真は見事に地面に尻餅をつく。


「あ~ぁ…無駄なことした」

真を落としたその人物はそう言ってから大きく欠伸をしてスタスタとどこかへ歩いていく。


(え?どういう状況?)

真は未だに状況が把握できずに尻餅をついたまま歩き去る人物の背中を見つめる。

紛れもない、あの癖っ毛のある黒髪に藍色の瞳でムカつく言葉を吐く人物は海藤拓斗しか考えつかなかった。

そこは理解した。

しかし、今さっき真は拓斗をどういう体勢で見つめていたのだろうか。


結構至近距離に拓斗の瞳があった。


真は上から落ちてきて、

(拓斗が受け止めた…?)


だから痛くなかったのか。

そう気づくまでに結構なタイムログがあったなぁと真は自分自身に呆れる。


そして、はたとまた新たに違うことに気づいた。


(横抱きされてた…)


誰かに横抱きいわゆるお姫様抱っこをされたのは麗矢先輩(生徒会長)が初めてだったが、まさか、拓斗にされるとは…


何故か非常に申し訳ない気持ちに襲われてしまう。


(絶対重かっただろうなぁ。だって落下してきたもんなぁ~…どうしよう、骨、折れてたりしたら)

そんな心配をしつつ随分と小さくなっている拓斗の背中を見つめる。


「って、ちょ、待って!どこ行くのか私知らないんだけども!?」

そう叫びつつ真は慌てて拓斗の後を追うのだった。




「拓斗さーん?待っ」

「うるさい」

(凄く不機嫌!?)

真はやっとの思いで拓斗に追いついたのだが何故か拓斗は不機嫌度がMAXの状態だった。

真はそっと拓斗の後ろについて歩く。

「あの…えっと…さ、さっきは…あの~…た、助けてくれてありがとうございました」


真は小さな声で拓斗にそう語り掛けた。

すると、突然拓斗は足を止める。


「ぶふっ」

そのせいで真は思いっきり拓斗の背中に顔面をぶつけた。


「ちょ、いきなり立ち止まるのは危ないと思うんですけど!?」

若干涙目で真はぶつけた顔面の特に痛かった部分である鼻をさすりながらそう文句を言った。


そんな真の方に拓斗は身体をくるりと向けて、じっと見つめてきた。


「…あの~…な、何か?」

流石に綺麗な顔の人に見つめられるということにまだまだ慣れていない真は少し後ずさりしつつそう尋ねる。

すると、拓斗は何か言いたそうな顔をしていたが何故か溜め息を吐いてまた真に背を向けて歩き始めた。


(な、なにそれ!?)

真はわけがわからずにただ拓斗の背中を見つめることしかできなかった。


しばらくお互いになんの会話もなしにただ黙々と歩いているとやっと拓斗は立ち止まった。


目の前には大きな大きな大木が一本どっしりと構えていた。

「拓斗…一体これからどうするの?」


真のその問いには答えずに拓斗は大木に向かって声を張り上げた。


「おい、揃ったぞ!」


拓斗の言葉の後、すぐに大木の上の方から大きな欠伸をする声。


その声はとても聞き覚えがあるような気がした。


「はいはい。今いくからそう急かすな」

その言葉と共に木の上から誰かが飛び降りてきた。


その人物はやはり真もよく知る人物だった。


眠そうな青い瞳に髪は拓斗と同じくらいの癖っ毛で暗めの藍色。


「中丸先生…」


「よぉ、数日ぶりだな」

そう言ってにこりと微笑んだ中丸は普通に格好いいので真は少し神様に不平等な世界について抗議したい気持ちになった。


「俺の担当するキングはお前らか…」

「担当?」

「あぁ、言っただろ?この試練で担任が決まるって」


(そう言えばそんなこと言っていたような…)



「俺のことはまぁ、知っているだろうが一応言う。今日からお前ら二人の担任になる中丸 暁だ。よろしく」



「お前ら…っていうことは、」

真は拓斗の方を見る。

拓斗も偶然真の方を見ていたようで目がバッチリ合った。


「そう。お前ら二人が同じチームってこと」


真はピシリと固まった。

拓斗も物凄く「面倒くさい」と言いたげな表情でこちらを見ているが恐らく真も拓斗と同じような表情をしていると自分で理解できた。


「お互い仲良くし」「「絶対に無理だろ(でしょ)!」」



お父さん、お母さん、私はこの先の学園生活が不安で不安でなりません。



中丸は頭をかきつつ大きな溜め息を吐く。

(前途多難、かもな)



「よりによってお前か…」

拓斗が大袈裟に頭を抱え込んでそう呟く。

「それはこっちの台詞ですが?」

真も額に怒りマークを貼り付けつつそう言って拓斗を睨みつける。


「せめて、もっとマシな奴が良かったなー」

凄く棒読みでそんな言葉を真に吐く拓斗。

「私もー俺様ナルシストだけは一緒になりたくなかったわー」

真も負けじと棒読みでそんな言葉を拓斗に吐く。


すると、拓斗があからさまにピクリと反応した。


「お前、今なん」

「俺様ナルスィスト~」

「…いいだろう。ちょっと動くなよ?灰にしてやるから」

そう言って拓斗は手に炎を集めていた。

「やれるもんならやってみろ」

真も手に風を集めて攻撃体勢に入る。


「まぁ、ケンカするほど仲が良いって言うし、俺は安心したよ」

中丸はそんな呑気なことを言ってから欠伸をする。


「「仲良くない(ねぇ)!!」」


その日、声だけはよく揃う二人だった。

ここまで読んでくれてありがとうございました!

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