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オズ  作者: 紗パカルギ
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ポイントを見てみよう!

学生寮から外へ一歩出ると吐く息が白く目に映った。

「冬になったねぇ…」

真はしみじみとそう呟く。

只今、十二月に入り皆落ち着かない季節になりました。


何故かって?それは当然『キング』の人々が決定するからですよ。

『キング』とは言わば学園内の超特待生というポジションなのだ。

一学年でたったの上位十人しかこの『キング』になることはできないので皆必死に今までポイントを稼いできたと言っても過言ではないだろう。


真にはそんなに魅力的ではない。何故なら『キング』に入ると授業の内容が一般生徒とは違うものに変わるし危険な任務も任されるようになるし何かと注目を浴びる存在になること間違いなしといったように何が良いのかさっぱりわからない特別感しか味わえる気がしない。



将来オズを使って仕事をしたい、活躍(主に悪魔討伐)したい人は『キング』になりたい人が多い。

あとは、『キング』に入っているということだけで他の仕事にも(何故か)就きやすくなるとか…


まぁ、兎に角『キング』になれば将来は保障されるぜ!みたいな思いで皆狙っているようだ。


(なら、私はキングなんて称号はいらないな…)

真は密かにいつもそう思いながら授業を受けている。

先生達は「キング入り目指して」とこの頃よく言ってくるようになったのだが、今さらではないだろうか。

ポイントを今から一気に稼ぐためにはものすごい大手柄を立てるくらいしか方法はない。と光が言っていた。



「ものすごい大手柄って例えばどんなの?」

「そうですね…例えば、ないでしょうけど、学園内に不審者や悪魔が侵入してきて、それを捕まえたり倒したりしたら結構なポイントがもらえるとは思いますよ」

「へっ…へぇ、そうなんだ…」

「?どうしました真?なんだか顔が青ざめていますけど…」

「いや、そんなことないよ!いつも通りだよ!!」

「そ、そうですか…?なら良いのですが」



とまぁ、そんな会話を思い出して真は一気にテンションが下がる。

生徒は自分のポイントを見ることができる。しかし、真は今までポイントを見てこなかった。一度だけだったが学園内に突然出没した悪魔を倒したことがあるので自分のポイントを見るのが怖くて怖くて仕方がないのだ。

(だからと言ってさすがに今まで見てないのはまずかったよね…)


そう思った真は今日の夜にでも自室でこっそりと見ることを決心して教室に入っていく。


「おはよう、真」

朝一で女神に微笑まれた真はとても幸せな気分になる。

「おはよう、琴音」

真っ赤な色の髪と瞳はまさに神々しく輝いており、それでもって抜群の容姿に性格も優しさで溢れている白木琴音は『キング』候補の一人と言われている人物だった。


彼女は頭も良く運動神経も抜群でオズの評価も高い。


(きっと琴音はキングになるんだろうなぁ)

そんなことを真は考えて少し切なくなる。

仲良くなった友達がキングになってしまうと授業も別々になってしまうのだから無理もない。


「真、どうしたの?」

真のしんみりした空気を感じ取ったのか琴音が心配そうにそう尋ねてきたので真は首を振る。

「なんでもないよ」

できるだけ笑顔で真はそう答えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



思えばキング決めの日まで残り一週間をきっているということに真はお昼休みに気づいた。

真は琴音、愛奈、恋と一緒に仲良くご飯を囲んで食べている最中だった。


「真、星いくつ?」

「ん?え、ごめん恋ちゃん。話の内容がさっぱりわからないんだけど」

相変わらず突然の質問をかましてくる恋に真は首を傾げる。


「多分、ポイントのことじゃないかな?」

そこですかさず琴音が通訳係として口を開いてくれた。


「ポイント?」

「真、知らないの?ポイントは1億ポイント貯まるごとに表示画面の右端に星が一つ刻まれていくんだよ」

「そうなんだ…」

「そうなんだって、真、あなた今までポイントの表示画面を一度は見たことくらいありますわよね?」

愛奈がエメラルドグリーンの瞳をこちらに向けてそう言ってきたので真は思わず口ごもる。


「ま、まさか…見たことないの?」

琴音が驚いた表情でそう問いかけてきたので真はコクリと頷いた。

真以外の三人は固まってしまった。


「真、すごい(いろんな意味で)」

「信じられませんわ!あなたって人は!」

「一度もないとは思わなかった…」


三人は真を珍しいものを見るかのような目でじっと見つめながら各々の感想を言う。


真はその視線に耐えられなくなったので咄嗟に話を切り替えることにした。


「み、皆ポイントどのくらいあるの??」

「私は…星が四つくらいかなぁ」

と琴音はにこやかに答える。

「私も星四つですわ」

愛奈も少し照れくさそうにそう答える。

「私は、星三つ」

恋は少し申し訳なさそうにそう答えた。


「それって…すごいの?」

「へ、平均は皆星一つあればいい方だって中丸先生は言ってたよ」

恋がそう答えながらニコリと笑う。


(ふむ、じゃあ、兎に角星一つならキングにはなることはないのか)

真は安心した。


(別に成績上位でもないし運動神経は並だし…キングは百パーないな!)


そう思うとつい口元が緩んだ。


「な、なんか真が黒い笑みを浮かべてる」

「そっとしておきましょ」

「うん、だね」


そんな会話を三人がしていることに気づかなかった程真は浮かれていたのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



夜、真は自分の部屋のベッドの上に寝転んでいた。

普段ならすぐに夢の中へと誘われるのだが、今日は違った。

真は自分の手首にいつも付けている腕時計を眺める。


琴音達の説明によると、時計の側面に小さい赤いスイッチがあるのでそれを押せばポイントがわかるのだそうだ。


「だ、大丈夫大丈夫。そんな目立ったことしてないし、ただ、ちょっと悪魔を一回だけ倒して、…いや、ご、五回くらいは倒したかもしれない…で、でも!それだけだし!!私は平凡の中の平凡女なんだ」

そう自分を励ましながら真は時計に付いているスイッチに手を伸ばす。


ポチッ


押した瞬間に目の前に画面が浮き出てきた。

青い横長の長方形サイズの画面に黒い文字で数字が記されてあった。


「ど、どれどれっ!私の平凡っぷりを見ようじゃないかっ!!」




『奥橋 真 (女) 実技中心クラス 防御学科 一年              ☆

          今日までの合計ポイント9650000p               』



「っ…良かったぁぁぁぁぁぁ」

真は涙目でそう言ってから安堵のため息を漏らす。


「星一つってことは絶対にキングには入らないじゃーん!良かったぁぁ!!本当に良かった!!」




こうして真は安心して眠りにつくのであった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



その同時刻、職員室にて。

「中丸!キング候補は大体絞りおわったんでしょうね!」

金髪碧眼の女神(自称)ステラがいつものように中丸の首に腕を巻きつけながらそう尋ねる。


「あぁ、まぁ、大体な。というか、ステラ、暑いからどけ」

「いいじゃない、今は寒~い冬なんだから」

「いや、そういう問題じゃなくてだな」

「じゃあ、問題なしでしょ!…ってえぇ!?」


何気なく中丸が手にしていた資料を見たステラはすぐに中丸からその資料を奪い取って穴が開くんじゃないかというくらいに見つめている。


「こ、これって…嘘でしょ?」

「嘘じゃないんだなこれが」

中丸は苦笑しながらそう言ってからステラの資料を奪い返す。


「だ、だって…そんなポイント…とることって不可能でしょう!?」

「俺もそう思ったが、どうやらとれるみたいだな。事実、こうして記録されてる」

 

そう言って中丸は自分の仕事机に資料を置く。


「あいつ…やっぱり只者じゃないわね…!中丸もたぶらかされてたみたいだし」

「何の話だよ。あの子はそんな奴じゃない」

「あー!何でそっちの肩をもつのよ!!」

「俺は生徒の見方だ」

「ぐっ!上手い言い訳をっ!!」



そう言ってステラは中丸の首を抱きしめている腕にさらに力を込める。


「何よ~!!奥橋真がそんなにいいのっ!?どこがいいのっ!?細さ?あんなひょろいのがいいの!?」

「うるせえ!いい加減にっ……ちょ、くっ…首、首締まってる」

「もう、私も生徒にな~り~た~い~っ!!」

「ステ…マジでっ…い、息がっ…死ぬっ!!」


そんな二人をまわりの教師一同は微笑ましく見守っているのでした。




ここまで読んでくれてありがとうございます!

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