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オズ  作者: 紗パカルギ
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実技テスト①

時間があいてしまいました…できるだけ更新の間が大きく空かないように気を付けます!

真はすごく憂鬱だった。なぜなら今日は実技テストだからだ。


昨日二人組を作れと言われてすぐに拓斗に強制的にペアにされた(何故か)。

中丸先生は「対策を練るように」と言っていたにも関わらずに、真と拓斗は昨日しょうもない言い合いをして一日を無駄にしてしまった。


そして今日がその実技テスト本番の日なのだが、不安しか真にはなかった。


朝早くから訓練場には大勢の実技中心クラスの生徒達が集まっていた。しかし、この訓練場は森じゃないかと突っ込まれるほど広いのですごく沢山いるなぁとはあまり思えない。


そんな訓練場に中丸先生がいつも通りの眠そうな顔で入ってきた。

「おはようさん、全員いるか?」

そんなことを言いながら大きく欠伸をする。


本当にこの人今日実技テストする気あるのかと疑われるほどの緩んだ中丸先生の姿に真は半ば呆れた目をしてしまったが、バレていないので良かった。


「まぁ、いるだろうから、今日の実技テストについて説明する」


その一言で皆一気に真剣な顔に変わったので真は思わず息を飲んだ。

「今日、お前らにはこの訓練場の中にいる悪魔をできるだけ多く討伐してもらう」


その言葉を聞いた途端皆が一斉に騒がしくなる。

しかしそれを中丸先生は手で制して説明を続けた。

「悪魔の強さは弱い奴から強い奴までゴロゴロいる。本当に嫌という程な。お前らは今後悪魔を倒す仕事に就く可能性が高い。だからこそ今、少しでも慣れる必要がある。勿論、下手すればお前らの命はない。それだけはしっかり覚えとけ。行動は昨日決めたペアと共にすること。悪魔を倒す際、他の二人組と協力をするのは認める。ただし、ペアの入れ替えは失格になるから気をつけろよ?制限時間は今日の日付が変わるまでだ。できるだけ強い悪魔を多く討伐したペアが優勝だ。んじゃ、健闘を祈る」


そう言うが早いか中丸先生はすぐに姿を消した。

ま、まるで忍者みたいだ…

そんなことを思っていると頭に手刀が降ってきた。

「おい、いつまでアホ面でいるつもりだ」

犯人は憎きイケメン拓斗様様(嫌味)だった。


真は自分の額が怒りで引き攣るのを感じたが大人な精神で耐えた。

「それはどうもすみませんでしたねぇ」

(あれ?少し喧嘩腰な口調になってしまったかも)


そんな心配をする真に対して拓斗は大げさにため息を吐いてから頭を抱える。

「あー、俺何でこんな奴と組んだんだろ…」

これには流石に真は耐えきれなかった。

「それはこっちのセリフだっ!!」



と拓斗に掴みかかろうとしたところ真の目の前に金髪碧眼の天使が現れた。

(あ、天使)

真は普通に内心でそう呟いてしまったがあと少しで声に出してしまうところだった。


「真、こんなくだらない奴の言うことなんか気にしない方が良いですよ。無駄な時間を過ごしてしまうだけで何の得にもなりません」


そう言って目の前の天使(真は勝手に呼んでる)こと光は真に微笑みながらそう言った。


(あ、天使様が毒舌だ)


そんなことを思いながらも光に癒された真は黙ってコクリと頷いた。その次の瞬間真の腰にものすごい勢いで誰かが飛びついてきた。


「ぐふっ!?」

「真っ!!そんな堕天使と俺様ナルシストに騙されちゃ駄目っ!!」


そんな事を言いながら可愛い真っ赤な瞳を心配そうにうるうるさせて恋が真を見上げていた。


腰に巻きつけてきた腕のせいで真の骨がきしむ音がした。恋ちゃん、意外と力強いのね…と真は思ったがそれを口にするよりも先に光と拓斗の声が耳に入ってきた。


「だてん…?」

「な、なるしすと!?」


上から光、拓斗の順なのだが、なんとも二人ともショックを受けたような顔だったので真はこの後の対処法がわからずに焦っていた。


(というか恋ちゃんなんてストレートな言葉を言ってしまうのかな!?下手したら俺様ナルシスト君がブチ切れちゃうかもしれないのに…)


そんな真の心配などどこ吹く風というように恋は真にぎゅうっと抱き着いたまま離さない。


「真、何もされてない?少し顔がいいからって調子に乗ったナルシストに何もされてない?」

「だ、大丈夫だよ。恋、大丈夫だから落ち着いて?」

「堕天使にもなんかセクハラs」

「恋ちゃんお口チャック!!!」


真は咄嗟に恋の口を手を塞ぐ。これ以上この子にしゃべらせたら命がなくなりそうだと判断したからだ。


真は恐る恐る堕天使と俺様ナルシストの方を向いてみた。

すると、光は微笑んだ顔のまま固まっており、拓斗も無表情で固まっていた。


(え?これはどういう反応??)


「あ、あの…恋の失言は悪気は…な、なくてっ…そ、そのですね」

真は必死に言い訳を取り繕うとするが恋はまだ言い足りないのか真の手で塞がれている口をモゴモゴと動かして何かを言っていた。


駄目だ、フォローできない(泣)


冷や汗ダラダラな真に拓斗よりも早く硬直状態から復活した光が微笑んだ。


「大丈夫ですよ。恋の毒舌には慣れました」

(早い!!天使様の免疫強い!!!)

そのあと、少し不機嫌そうな顔に戻った拓斗もそっぽを向きながら答える。

「俺だって赤姫の毒舌には慣れてる」

(俺様君も心が強かった!!!)


二人の意外な反応に真は少し呆気にとられていたがすぐに言葉をつなげる。


「そ、それなら良かった。恋は少し不器用なんだ~!ね?恋?」

「…本心d」

「じゃなかったんだよね~?少し恥ずかしかっただけだよね!!!」

真は少し涙目になりながらそう必死で言う。

(私は今日、死んでしまうかもしれない)

本気でそう思ってしまった瞬間だった。



恋は少し不満そうに真を見上げていたがそれはスルーして話題を変えることにした。


「そ、それにしても、もう今実技テストって始まってるんでしょ?光は恋とペアなんだよね?」

「はい、恋がなってもいいと言ってくれたので」

「…知ってる人が少なかっただけ」


そんな恋の言葉に光は苦笑しながらも「はい」と答えた。


「真は拓斗とペアを組んだんですね」

「うん、何か(強制的に)ね…」

「組んでやったんだよ」

「それはこっちのセリフですけど」


真と拓斗はお互い睨み合ってから同時に顔を逸らした。



「まぁ、仲が良さそうで何よりですね」

光が一体どこを見てそう思ったのかわからない感想を漏らした。


そんなとき、真の腰に抱き着いていた恋が「真」と呟く。

「ん?どうした、恋」

「真達と私たち、悪魔を一緒に倒そう?」


確かに先ほど中丸先生は悪魔を倒す際は他の二人組と協力をしても良いと言っていた。

「いいね!一緒に行動しよっか!」

「うん!!」

「おい、勝手に」

と反論しかけた拓斗を光はなだめる。


「まぁ、いいじゃないですか。恋の治療の腕は学年一だと言われていますし、僕や真も拓斗よりは役に立つ自信があります」



このとき拓斗の何かがプツリと途切れた。

「上等だ…俺がお前よりもできることをはっきりと証明してやる」

「それは、楽しみですね」


二人の間に何故か火花が散っていた。



「じゃ、真行こう?」

「うん」


恋は真の傍にぴっとりとくっついて歩いて行く。

真はそんな恋を可愛らしいなと自分の娘を見るかのような感覚で見守っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


訓練場の中はただの森の中にいるような感じだった。

真達は森の中をゆっくりと歩いて進んでいるのだが、今のところ悪魔に一度も遭遇していない。


「沢山いるって中丸先生言ってたけど、中々いないね…」

「多分弱い悪魔は他の人たちがすでに倒したと思う」

恋が平然とそう言ってのけるので真は固まる。

「え、じゃ、じゃあ、残ってるのって…」



強い悪魔と言いかけたその時はるか頭上から耳をつんざくような鳴き声が聞こえてきた。

あわてて見上げるとそこには真っ黒い翼を生やした瞳が五つ顔についた鳥のような悪魔がいた。


その悪魔は口から涎を垂らしつつこちらを五つの目でじっと見ている。

すごく気持ち悪いと同時に真は鳥肌がたった。


「やっときやがったか」

「丁度手始めにはもってこいですね」


拓斗と光はそれぞれそう呟いてから瞬時にその悪魔に向かって何かを放った。


悪魔の目の前に手りゅう弾らしきものと小さな氷の破片が飛んでいったなぁ、と真が見つめていると次の瞬間悪魔は大きな爆発音とともに煙に包まれた。

と思ったのも束の間でその煙がピキピキとおとを立てて凍りつき、鳥のような悪魔は大きな氷の結晶になった。そして数秒でパキィィンという音とともに粉々になり消滅した。


真と恋はその光景をただただ見つめているだけだった。

そして後ろから何か言い争いのようなものが聞こえてきた。

「俺の攻撃だけであんな雑魚は倒せた」

「はいはい、君の先ほどのオズの使い方は真達にも被害が及ぶ可能性がありましたが?」

「そんぐらいの調節ぐらいできるに決まってんだろ」



(さっきの悪魔結構強い方だとおもうな)

真はそんなことを内心で思いつつ光と拓斗を見つめる。


やはり、キング候補の人は強さが違う。先程の攻撃はそう思い知らされる一発だった。


(この先、この二人に任せれば簡単に終わるテストだけど、私の評価が何もつけられない気がする…)

そんな不安を真は抱えつつこっそりため息を吐くのだった。


ここまで読んでくれてありがとうございます!!

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