ダンスを踊りましょう
学園祭はオズ戦も終わり、最後の一大イベントであるダンスパーティーが始まろうとしていた。
皆、学園の生徒達は思い思いの相手と手を取り合って音楽に合わせて踊るということなのだが、何やらこのイベントには代々言い伝えがあるらしく『学園祭二日目の最後のダンスパーティーで一緒に踊った者たちは好きな人なら恋人として上手くいき、友達ならより仲良くなれる』というジンクスのようなかんじだ。
(だから男女ペアが多いのか)
真は辺りを見渡してからそう理解する。
今、真は恋と向かいあっているのだが、真達のように友達同士の人もいるのはいるが、やはり男女ペアの方が多くいるのが目立つ。
このダンスパーティーは全校集会が開かれる大きな体育館(見た目はもうただのダンス会場のようだが)で開催されている。
このイベントは全員必ず出席しなければならないのだが、絶対にダンスを踊らなくてはならないわけではないらしい。踊る人の人数も中々のものだが、踊らずに用意されている食事を黙々と食べている人々も踊る人と同じ人数くらいいた。
本来なら真も食事を黙々と食べる方に徹していたいのだが、目の前の可愛い友達のお誘いがあった以上ダンスは踊らなければならない。
恋と踊るのが嫌なわけじゃないのだが、真はワルツは踊ったことがない。というか、ダンス自体踊った経験がほとんどないのだ。
(ダンスなんて中学生の時の体育祭で踊ったことある程度なのに…)
不安しかないまま会場内に生のオーケストラの演奏が響き始めた。
すると、恋がそっと真の手を取って自分の方に引き寄せる。
「真、行くよ?」
まるで真の思っていることを見透かしたように恋が真をリードして踊り始めた。
恋は真よりも身長は低いのだが、それでもしっかりと真を支えながら勝手に引っ張っていってくれる。
「恋、ダンスできるの?」
「うん、少し…たしなむ程度だけどね」
ハニカミながら恋は軽やかに真をエスコートしている。
(な、何このイケメン。惚れちゃいそうだよ)
真はそんなことを思いながら恋を見つめていると、恋がこっちの視線に気づいてニコリと笑った。
なので真もつられて笑顔になってしまう。
本当に良い友達に出会えて良かった。と真は心底そう思ってダンスを踊るのだった。
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「あ~ぁ、真は恋と踊ってんのか~残念」
モグモグと口を忙しく動かしながら新崎は呟く。
「霧は奥橋さんと踊りたかったのかい?」
若宮が新崎の隣で本を片手にそう尋ねる。
「んー、真か恋のどっちか!」
「おや、赤姫さんも候補の一人だったんですね」
「あぁ!だってあの二人、反応が面白いじゃん?」
楽しそうに笑い合いながら踊っている真と恋を見つめながら新崎は言う。
若宮も同じくその二人に目を向けてからクスリと笑う。
「そう、ですね。僕も踊るならあの二人のどちらかがいいですね」
その言葉を聞いて新崎は少し驚いた表情をしてから珍しそうなモノを見る目で若宮を凝視する。
「光が女の子に興味を持ってるとこ俺、初めて見たかも」
「そうですか?」
「そうだよ!!な?拓斗」
そう言って海藤の方を見ると海藤はテーブルに頬杖をつきながらボーっとしていた。
「拓斗…お前まさか?」
「あ?何だ」
「今、もしかして…真達のほうに見惚れてたんだろー??」
新崎はニヤニヤしながら拓斗にそう言う。
「は?馬鹿かお前、灰にするぞ」
海藤は不機嫌さマックスの顔で新崎に向けて手を向ける。
そこからボワリと炎が出てきており、新崎の髪の毛を少し焦がした。
「照れ隠しで人の髪を焦がすなよー!」
「照れ隠しじゃねぇ」
「まったまたー」
そんな二人を見ながら若宮はやれやれといったふうにため息を吐く。
「僕も含めて厄介な人たちに好かれましたね…あの二人」
誰に言った言葉でもなく若宮はそう独り言のように呟いたのだった。
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「琴音、その、私とで本当に良かったのですの?」
愛奈はエメラルドグリーンの瞳で申し訳なさそうに琴音を見つめつつそう尋ねた。
今、琴音と愛奈は一緒に踊っている。
周りは二人の美女が手を取り合って踊っているのをうっとりと眺める人でいっぱいだった。
「勿論!むしろ愛奈も私と踊る事になって良かったの?」
「も、勿論ですわ!とっても嬉しいもの!!」
「本当?良かった!私も愛奈を踊れてとっても嬉しい」
こうやっていつも琴音はごまかすのだ。長年一緒にいるのでわかる友人の癖。
なので愛奈は少し口を尖らせて呟く。
「遠慮しなくてもよろしいのに…」
「ん?何か言った?」
「い、いいえ、なんでもありませんわ!!」
愛奈は知っていた。琴音はダンスが始まる前に東堂先輩のところに行こうとしていたのだ。
だが、何故か琴音は東堂先輩に声を掛けずに愛奈の方へ来てしまった。
琴音がずっと昔から東堂先輩のことを慕っており、好いていることはよく知っているので余計にじれったい。なので愛奈は決心した。
「琴音、来年は私、協力しますわ!!」
「え?何のこと??」
「だから、覚悟していなさい!」
「??」
話の内容を省き過ぎて琴音には一切何のことか伝わっていなかったが、愛奈は心の中で強く誓った。(必ず、来年は琴音と東堂先輩を一緒に踊らせますわ!)
その時密かに愛奈は新崎、海藤、若宮の三人が一緒のテーブルで雑談?をしている光景を目の当たりにした。
「あ」
「?どうしたの?愛奈」
「い、いえ、なんでもありませんわ」
(なんだ、あの三人は誰とも踊っていないのですわね)
何故かつまらないのと思うと同時に少し嬉しい気持ちになっている自分がいた。
「愛奈、何かいい事あったの?」
「ふふ、どうでしょう?琴音も良い事がありましたの?」
「えへへ…どうだろ?」
そんな琴音の表情を見た後に愛奈はふと周りに視線を移す。
そして、すぐにその嬉しそうな表情の理由がわかった。
なぜならどっかりとイスに座って黙々と食事をする東堂先輩が見えたからだ。
先程は沢山の女子生徒からダンスのお誘いを受けていたはずだが、全部断ったようだ。
(東堂先輩は何気にモテますわよね…注意しておかないといけませんわね)
愛奈は一人でうんうんと頷きより強く来年のことを決意するのだった。
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「なーかーまーるー!!!私とダンスを踊りなさい!!!」
金髪碧眼ナイスボディーのステラが中丸に抱き着きながらそう言った。
大きな胸を頭に押し付けられながらも平然とした顔で中丸はただため息を一つ吐く。
「今、俺は忙しいの。だから、踊るなら他の奴を誘え。あと、苦しいから離れろ」
「嫌よ!私は中丸がいいの!!こんな美女が誘ってるのに断るなんて頭おかしいわよ!?」
確かにステラは本当に美人だ。それは中丸だけでなく他の人々も認めている程である。
だが、中丸にとってはそんなことあまり関係なかった。
「頭おかしくて結構ですので、お引き取りください」
「何でよ!!私のどこが嫌なのよ!!」
「別にいやなわけではなくて、俺は眠いから」
(睡魔>私ってこと!?まさかこの私が睡魔ごときに負けるというの…!?)
ステラはあまりのショックで石のように固まる。
「お~い、ステラさんよー、そろそろ離れてくれません?俺、眠れないんだが…」
「…嫌」
まるで拗ねた子供のような声を出してステラは中丸にギュッと抱き着いて離れない。
なので、中丸は大きくため息を吐いてからゆっくりと手をステラの頭に乗せた。
「ステラ」
ポンポンとステラの頭を撫でながら中丸はそう囁いた。
すると、ゆっくりとステラは中丸から離れて「コホン!」と一つ咳払いする。
「ま、まぁ、本当ならそんなことじゃ離さないつもりだったけど、特別に今回は私が諦めてあげる!!」
そう言って仁王立ちのステラは睨んで中丸を見下しているが、頬が少し赤く染まっておりあまり怖くない。
「はいはい。ありがとな」
中丸はそう言ってから足と腕を組んで頭を仰向けにしてその上に本の開いた状態をのっけてスヤスヤと寝息をたてだした。
なので、ステラは少し頬を膨らませて中丸に近づいて本の上から軽くキスをした。
(待ってなさいよ、いつか振り向かせるんだから)
ステラはそう内心で呟いてから中丸の元からはなれていくのだった。
各々の気持ちがこれからどうなっていくのやら。
ここまで読んでくれてありがとうございました!!




