占ってもらおう
今日は晴天でとても過ごしやすい気温で風も心地よい強さで吹いている。
さぁ、学園祭の始まりです!!!
今日はなんとこの周りが海で囲まれているオズ学園にたくさんの来客が来る日。
勿論、オズではない人もこの学園に入ることが許される二日間なのである。
まぁ、でも、このオズ学園に来るまでにすんごいお金(主に船代)がかかるので見に来るのはお金持ちの人が多いとかなんとか。
ちなみに学園のОBさんはタダで学園まで船で送ってもらえるらしい。すごいお得だね!!
学園祭開始の花火が上がり、真の気分も上々になってきていた。
「真、どこに行く?」
隣で瞳をキラキラさせながら恋があたりをキョロキョロと見渡す。
それもそのはず、もう学園全体がお祭りのように華やかで目移りしすぎて困ってしまう程の数のゲームや食べ物があるのだ。
これらの品々は学園ではない人々はお金で購入することができるし、学園の生徒達はポイントで買うことができる。
まぁ、売り買いどちらも生徒がするのはやっぱり学生時代の楽しみだ。
真と恋はさっそく近くにあったお店で綿菓子を一つ買ってベンチに腰かけて食べていた。
まずは見て回るのもいいのだが少し話し合って時間を決めておくことにする。見たかったものが見れなくなったりしたら悲しいしね。
「恋はどこ行きたい?」
「うーん…そうだなぁ」
恋は自分の学園祭のパンフレットを見ながら真剣に悩んでいる。
オズ学園はすごくすごーく広いので結構しっかりしたパンフレットが学園祭用で作られており、読んでいると意外に飽きない。
「決めた!!これ!!」
恋が雪のように白い頬を少し赤らめながらパンフレットのある場所を指さした。
「どこどこ?えっと、『黒魔術占い喫茶』……?」
「うん!この喫茶店、学園祭始まる前から噂になってたの」
「噂?」
「そう!二年生の未来を見ることができるオズの先輩が占ってくれるらしいんだ~」
「そうなんだ。じゃあ、そこに行こっか」
「うん!!」
恋ちゃん、黒魔術の方に惹かれたのかもしれないあなたに『黒魔術好きなの?』と聞けない私をどうか許してください。なんだかあなたが黒魔術の呪文とか唱えている姿を想像したら似合いすぎて少しビビってしまった私をどうか許してください。
「真?どうしたの?」
「いや、なんでもない。じゃ、行こう」
『黒魔術占い喫茶』は二年生の実技中心クラスの訓練場の中にある。ちなみに実技中心クラスの訓練場は学年ごとに一つずつあるのだ。贅沢ですよね。
扉を開けると一つ真っ黒なオーラを放ったお店があった。
すでにお客は列を作り始めている程の繁盛ぶりなので占いの腕は相当なのだろう。
恋はそのお店を見つけた途端に瞳の輝きがいっそう強くなり真の手を引っ張ってすぐさま列に並んだ。
幸いまだ、学園祭自体が始まったばかりだったので列もそんなに長くはなく、十五分程で順番がまわってきた。
喫茶店とはいっても占いが主なので軽いお茶菓子と飲み物は列に並んでいる間に頼んで早い人はもう並んでいるうちに食べ物を片付けて占ってもらうというスタイルだそうだ。
一人ずつ占ってもらうことができ、占ってもらう時は噂の二年の先輩と一対一で向き合ってやるらしい。
一人持ち時間三分でお菓子&お茶付きで一回100ポイントで占ってもらえる。
先に恋が占ってもらった。三分後、恋は何故か真剣な顔で出てきた。
一体何を占ってもらったのだろうか?
恋に聞く前に「どうぞ、次のかた」と呼ばれてしまったので慌てて中に入った。
中は薄暗く外の光は黒いカーテンで遮断してあり、目の前にいる噂の先輩も黒いフード付きマントを被っているためよく顔がわからなかった。
「どうぞ、おかけください」
声からして女の人のようだ。
真はゆっくりと近くにあった黒いイスに腰掛ける。
今、真は(真が勝手に付けたあだ名)占い先輩と黒い布が被さっている教室によくある机一つを挟んで向き合っている状況だった。
机の上には丸い水晶玉が置かれている。
「…一年、実技中心クラス防御学科の奥橋真さん、ですね?」
「は、はい」
すごい…なんでわかったんだろう?これが占いの力か!
「で、今日は何を占ってほしいの?」
「え、っと~…」
実は何にも考えていなかったのだ。困ったな。
「特にはなさそうね。じゃあ、勝手にこれから先(未来)の事であなたの分岐点になるところを占うってのはどう?」
「あ、じゃあ、それでお願いします」
「了解じゃあ、この水晶玉に手を軽く置いて」
言われた通りに真が水晶玉に手を置くとすぐに占い先輩は水晶玉に手をかざして何やらブツブツ言っている。
結構サバサバした性格なのかな…まぁ、その方がこちらとしても楽なのだけども。
その時、水晶玉がわずかに赤く光って消えた。
「これは…」
そう言って占い先輩は大げさに手を震わせている。
「占いせ…どうしたんですか?」
「奥橋ちゃん、あんた、オズ戦に出場したい?」
「………へっ?それってどういう」
「いいから、出場したいのかしたくないのか答えて」
「したくないです!!!全力でしたくないです!!!」
すると占い先輩はグッと身を乗り出してきた。
そして真の前に人差し指を立ててこう言う。
「今から言うことを絶対に守ったら回避できるからよく聞いときな!」
「は、はい!!」
「この後に出会うであろう金髪ピアス野郎と絶対にしゃべらないこと。それだけ」
「…それだけですか?」
「あぁ、だが、あっちから話しかけられる可能性が高い。だから、もし話しかけられたらさっさとその場から逃げな。それしか助かる方法はないよ」
「わ、わかりました。頑張ります」
占い先輩は力強くうなずくと「幸運を祈る!」と言って親指を立てた。
その時、真は三分が経過しそうだと外の店員さんに言われたので急いで立ち上がる。
でも、そうしても最後に聞いておきたいことがあった。
「あの、先輩最後に一つ質問いいですか?」
「なんだい?」
「私がオズ戦に出ると…何かやばいことがあるんでしょうか?」
先程、占い先輩は大げさに手をわなわな震わせていたのでどうしても聞いておきたかった。
占い先輩は少し黙ったあとにただただ、ずっと親指を立てたまま
「やばいかどうかは自分の目で確かめな。そうじゃないと人生楽しくないだろ?」
そう言ってあははと笑った。
「いや、あの、答えになってな」
「はい、時間切れです。ご利用ありがとうございました~」
真は煮え切らない気持ちのまま『黒魔術占い喫茶』を後にするのだった。
恋は真が占い喫茶からでてきたあとは急いで手を引いて次のお店へと引っ張っていく。
「恋、次はどこに行こうとしてるの?」
真は前しか見ていない恋にそう問いかけたところ「この先にあるよ」とだけ恋は答えた。
この先…真は恋が見つめている前方に目を向ける。
そして思わず真は立ち止まった。
「真、どうしたの?」
恋は真を急かすようにそう言って掴んでいる手をクイクイと引っ張る。
「恋ちゃん、これって」
「うん、一緒に乗ろう?」
「えっと、じゃなくてこれってもしかして、あの、絶叫系マシーンでしょうか?」
すごい音をたててレールの上を走っているあの乗り物がまさかの室内にあるのですが…
「もしかしなくても、ただのジェットコースターだよ!」
恋は先ほどよりもキラキラと輝いた瞳で真を見つめながらそう言った。
「うわーぉ。まじですか(いろんな意味で)」
「真…苦手?」
そ、そんな潤んだ瞳で見つめられて「うん」とは言えないじゃないか…!!
「いや、平気だよ。多分…」
「そっか~!!じゃあ、乗ろう乗ろう!!」
この後、真は当然のごとく心臓が止まる危機に陥ることとなったのだった。
「し、死ぬかと思った…」
「楽しかった~!!!もう一回乗る??」
「いや、ほら、行列になってるから今回はやめとこう?」
「うん、そうだね…また、明日も行けたら行こうね!!」
「え、ウン、ソウダネ…??」
やばい、私明日死ぬかもしれない…と本気で焦る真だったがそんなこととは露知らず、恋はニコニコと笑顔でいるのでまぁ、いいかと真は思った。
「次は~射的がしたい!!」
「射的とかあるんだね」
「うん、しかもね、景品が豪華なんだって!!」
「おぉ、それは楽しみ!」
「でしょでしょ、あとは~」
恋は次から次へと行きたい場所を言っていく。その姿がまるで小学生に見えて可愛かった。
やっぱりなんか恋を見てると保護者目線になるなぁ。
そんなことを考えて恋に手を引かれるがままついて行く途中に誰かとぶつかった。
「あ、すみません」
「あぁ?」
……ん?何だこの違和感。このやりとりを最近どこかでしたような…
ぶつかった相手を見ると身長二メートル以上はある大きな人でした。
しかも、金髪で耳にはたくさんのピアス、おまけに下唇にもピアスが付いて…………
いやぁぁぁぁぁぁ!!!!昨日のピアス先輩じゃあないかぁぁ!!
てか、占い先輩が言ってた金髪ピアス野郎ってまさか…ピアス先輩だったのか!?
だとしたら今、かなり危険な状況ではないか??仕方ないこうなったら、逃げよう。
「おい」
「あ、本当に申し訳ございませんでした!!では、これで!!」
真は恋を引っ張りながら勢いよくピアス先輩の元から離れる。
はずだった。
が、何故か真はがしりと頭を掴まれていた。
あぁ、誰か救済ルートをくださいな…
ここまで読んでくれてありがとうございます!!




