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オズ  作者: 紗パカルギ
34/72

前日

少し短めです。

真を抱きかかえていたのは生徒会副会長如月友音だった。

「ひどいなぁ、友音ちゃん…俺生徒会長なんですけど」

麗矢先輩は蹴られた背中をさすりながらゆっくり立ち上がる。


「そんなもの知りません。ただ、一つ言うとすれば『黙れ』でしょうか」

如月先輩はそう言いながら真をそっとおろしてくれた。


そして麗矢先輩の首根っこを掴んでから真達の方を向いてすごく真面目な顔付きで「この人、少しお借りします」と言って麗矢先輩を引きずってどこかへ消えて行った。


如月先輩に連行されている時も麗矢先輩は爽やか笑顔で「またね~」と真達に手を振っていた。

すごいな麗矢先輩…



そんなことを考えていると生徒会室からひょっこりとチー先輩が「終わった?」と言いながら出てきた。

チー先輩、見てたんですね…



とにかくすぐにチー先輩は淡々とオズ戦の時の仕事の説明をしてくれた。

どうやら、係員には結構細かく役割があるようだ。その中で真はすぐさま『結界を張る』という役割に挙手した。

せっかく自分の学科の出番があるのだ。是非とも結界を張らせていただこうじゃないか。


当日に私がする仕事はそのままの仕事だが、結界を張る事である。オズ戦は毎年大勢の観客が観戦する程の一大イベント。そんな中、万が一攻撃が観客に当たって怪我人でも出したら大事になってしまう。


だから、オズ戦の出場者のいる闘技場と観客席との間に結界を張るのだ。

その大事な役割を私は任された。まぁ、交代制なのだが。


真は学園祭二日目の午前中の二時間だけ結界を張りつづけることになった。

結構体力を使う仕事になるのだが、やりがいはありそうなので少しワクワクしている。

しかも、あわよくば間近でオズ戦を観戦できるかもなんてね…



というか、係員になった人の数は少ないわけではないことが判明した。

どうやらあの女の子大好き麗矢先輩が昨日直々に各学年の各クラスに宣伝しに行っていたそうです。

私はその時、保健室で寝ていたのでそのことを知らなかっただけで別に人で不足ではなかったみたいだ。

むしろ女子生徒からなりたいという人が殺到していた。

じゃあ、どうして恋は『人数が足りない』と言っていたのかと疑問に思い尋ねると、どうやら「防御学科」の生徒の人数が足りない。ということだったらしい。


成程、納得です。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



それから時は進んで着々と準備も整い、皆一気にテンションが上がってきている学園祭前日。

もう、夕方の六時過ぎだった。


「ふぅ、終わりかな?」

真はその場に倒れ込みながらそう言って自分の額の汗を拭う。

「お疲れさん。これで明日の学園祭の準備は終了だ」

中丸先生のその言葉によって真は「やった~」と力なく言って伸びをした。



真は目の前に飾ってある大きな銅像を見て満足げに頷く。

ここは実技中心クラス専用の訓練場なのだが、学園祭のある二日間は各クラスや学科の出し物が並ぶお祭りみたいな場所になるらしい。


通常は大きな森みたいな景色の部屋なのでなんか物足りないと言ってオズ学園の学園長の銅像を付けることにしたのだが、これがなかなか移動させるのが難しい。



真の風を使って配置の微調節を行うのだが、この銅像見た目はそんなに大きくないのにすごく重いのだ。

だから、動かすのがもう大変で大変で…壊しちゃいけないから慎重に運ぶとなるともう神経使いまくりであった。




これで今日の自分の仕事が終了した真は中丸先生から「もう帰ってもいいぞ」という許しを得たのでお言葉に甘えて寮の自分のベッドで少し仮眠を取ることにした。


明日は学園祭を思いっきり楽しむのだ。疲れていてはもったいない。


女子寮にたどり着くまで少し時間がかかるのだが、その途中いろんな学科の発表や出店のようなものをたくさん目にして早くも胸が高鳴ってきていた。


なにしろ高校一年生の真にとって学園祭は初なのだ。楽しみではないわけがない。

最初はこの学園に転校になると決まって憂鬱な気持ちしかなかったが今ではここの暮らしも悪くないと思えてきている。友達も前より増えたし、先生たちも個性的だが良い人達だし、設備も整っているしお金にも困らない。最高ではないか。




そんな中、また面倒なことに巻き込まれなければそれでいいと思っている。

私が待ち望んでいたのはこんな学園ライフだったんだよ…!!



そんなことを内心で呟いて拳をグッと握る真の肩に軽く誰かがぶつかった。


「あ、すみません」

真はすぐさまそう言ってぶつかった相手を見る。が、真横を見ると、

するとそこには二メートル以上の大きな男子生徒がいた。

「あぁ?」

ギロリと睨み付けられた真は固まる。

金髪に耳にはたくさんのピアス。おまけ下唇にもピアス。

明らかに柄の悪そうな人とぶつかってしまった。

しかも、ネクタイの色は青。つまり二年生。


これはやばいかもしれないぞ?

そう思ってどうしようかと頭の中で考えていると意外にもそのピアス先輩(真が今付けたあだ名)は興味がないのか「気ぃつけろ」とだけ言ってさっさと歩いていく。が、数歩歩いたところでピアス先輩は立ち止まり「おい」と真を呼び止めた。


呼び止められた以上立ち止まるしかない真は「はい!」と返事をする。

ピアス先輩は何故か真の顔を覗きこみ数秒間見つめた後、「気のせいか」と呟いてさっさと歩いて行ってしまった。


一体なんだったんださっきの間は…と疑問に思った反面真はとりあえずホッとしてすぐさま寮へと向かった。真はこの時ピアス先輩が今後どう関わってくるのかなど知る由もなかった。




ここまで読んでくれてありがとうございました。

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